刑務所の年末年始とは?

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 コロナ禍で2度目の年末年始を迎えることになりましたが、クリスマスや正月は世間の人だけでなく、刑務所の中にいる受刑者にも巡ってきます。“塀の中の年末年始”とは、どのような様子なのでしょうか。クリスマスケーキを食べることはできるのでしょうか。おせち料理や雑煮はどうなのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

就寝・起床時間の変更も

Q.刑務所の年末年始は通常の期間とは、どのような点が違うのでしょうか。刑務官は休みになるのでしょうか。

牧野さん「刑務官は国家公務員ですので、年末年始は一般の公務員と同じく、12月29日から1月3日までがお休みです。事務所も休みになるので、通常時は一定の条件で許可されている、手紙を送ることや面会はできません。ただし、受刑者の管理があるので、夜勤の刑務官は仕事につきます。

受刑者の生活での違いは幾つかあります。通常時の就寝時間は午後9時ですが、大みそかの就寝時間は午前0時前となり、正月三が日の起床時間は通常時よりも1時間遅くなります。入浴はいつもは2日に1回ですが、年末年始は12月30日と1月2日の2回のみになっています」

Q.クリスマスにケーキは出るのでしょうか。

牧野さん「12月24日の夕食にはフライドチキンやケーキなどが出ます。限られた予算の中で工夫しているそうです」

Q.年越しそばやおせち料理、雑煮は出るのでしょうか。

牧野さん「大みそかに年越しそばとして、カップ麺が出ます。元日の昼食には、おせち料理や雑煮が出ます。いつもは麦飯ですが、正月三が日は白飯に変わります」

Q.紅白歌合戦など、テレビは見られるのでしょうか。

牧野さん「チャンネルは選べないのですが、NHK紅白歌合戦を見られるようです。ラジオでも聴けます」

Q.年賀状を出したり、受け取ったりはできるのでしょうか。

牧野さん「年賀状については、枚数は限られていますが発信も受け取りもできます」

Q.クリスマスケーキも雑煮もおせち料理も食べられて、紅白も楽しめてというと、意外と快適な年末年始のような感じがします。

牧野さん「刑務所で受刑者が暮らす居室には暖房がありませんので、冬はとても寒いようです。一般の人と同様にケーキやおせちが食べられるといっても、快適とはとても言えないと思います」

Q.もし、知人や友人が刑務所に入っているとしたら、年末年始を前に、どのような物を差し入れすると喜ばれるのでしょうか。

牧野さん「先述したように居室がとても寒いので、毛布、ダウンウエア、手袋などの防寒着が喜ばれるようです。使い切りカイロの差し入れも許されているようで、冬場は使い切りカイロの差し入れも喜ばれると思います」