関連画像

写真拡大

東京五輪で日本代表の快進撃が続くなか、堀米雄斗選手、西矢椛選手が金メダルを獲得したスケートボードに一躍注目が集まっている。

人気の高まりとともに、競技人口の増加も見込まれるところだが、スケボーは遊べる場所に制限があり、地域の理解も必要だ。

「場所」確保のために、愛好者の継続的な尽力がおこなわれてきたが、利用者のマナー違反には厳しい目が向けられそうだ。

●堀米選手「禁止の公園でもスケボーができるようになってほしい」

堀米選手はメダル取得後の会見で、「日本はスケートボードが禁止の場所が多いので、公園とかでもスケボーができるようになって、スケートパークももっと良い環境が増えていってくれたらと思う」と話した。

彼が言うように、スケボーが自由にできる場所は限られている。特に公園は、全国の多くの自治体の公園条例によって、「迷惑行為」として禁止されている。

福岡県北九州市のように、公園でのスケボーを禁止していない場合でも、「人の利用を妨げ、又は他人に危険を感じさせる行為をすること」に該当するとして、公園の一部で夜間の使用等を禁止しているケースもある。

●スケボー禁止を明示していない公園でも「利用させられない」

東京・上野公園(台東区)には、「スケボー禁止」の看板が並べられていた。管理人によると、東京五輪開催(7月23日)の数日前にたてられたという。

「昼間は、われわれのように人が立って注意していますが、夜はおらず、スケボーに関する苦情が少なくなかったので、看板を立てたと聞いています」(公園の管理人)

ところ変わって、東京都世田谷区の公園には、「野球・ゴルフ・サッカー等はあぶないのでやめましょう」と書かれたイラスト付きの看板が出ていた。

特にスケボー向きの公園でもなく、看板にスケボーへの言及はないものの、管理する世田谷区によれば、「等」には「スケボーも含まれており、利用したいと問い合わせがあっても、許可はできない」という。

区の公園条例で禁止されている「公園の管理上支障があると認められる行為をすること」にあたるからだという。

そんな世田谷区でも、世田谷公園の中にある「スケートボード広場(通称SL PARK)」はスケボーができる数少ない場所のひとつだ。

区の緑地公園課によれば、世田谷公園でも、1993年ころから、園内で勝手に物を置いて、スケボーを始める人が増えだしたという。そのため、禁止措置を一時的にとったが、スケボーの活動団体(世田谷ローカルスケーター)が、マナー向上に努めるという約束をしたことから、2010年4月に開設された経緯がある。

●違反が続けば、パークの閉鎖もありえる

しかし、世田谷区によると、スケボーに関する苦情は今でも一定数届くそうだ。

「立地上、騒音の苦情はありませんが、禁止エリアのマラソンコースや公園の外でスケボーをしているなどの苦情は届きます。夜間にフェンスを乗り越えて広場に侵入する場合は、警察に連絡することもあります」(区の担当者)

当初の約束通り、団体が利用者に向けて、何年もかけて、マナー向上に努めてきたことを区も知っている。

それでも、あまりにモラルがない行為が相次いだ場合は、「広場」の閉鎖も可能性としてはありうる話とした。

五輪の注目によって、スケボー利用者は増えていくと見込んでいるが、「役所の施設は狭いこともあり、民間の施設も増えてほしい」と話した。

●「スケボーが悪いのではなく、人間に問題があるのです」(日本スケボー協会)

弁護士ドットコムの法律相談にも、「スケートボード使用禁止と書かれた場所で、深夜にスケボーする人の騒音に悩まされている」という人からの投稿が少なくない。

また、スケボーに乗っている人からも「立入禁止の私道で柵を乗り越えスケートボードをしていたところ、管理者の方に通報され、警察官より軽犯罪法違反と伝えられた」「スケートボードを道に転がしてしまい、バイクが踏みつけてバイクの方が太ももを骨折をしてしまいました」など法的なトラブルに発展した事例が集まってきている。

日本スケートボード協会は、公式サイトの最上段に「スケートボード愛好者の皆さん『法律遵守』で楽しんで下さい」とのメッセージを掲げている。

協会にも、騒音や物が壊されたことなどの問い合わせが多く届くというが、「スケートボードが悪いのではなく、その人間自体に問題があるのです」としている(サイトから)。

なお、五輪のスケートボード会場となった有明アーバンスポーツパーク(江東区)の跡地利用について、東京都は再活用の検討を進めていくという。