「タクトを振るっている」 横浜FC監督、42歳・中村俊輔を“低い位置”で起用する理由は?
浦和戦は前半のみで交代も、下平監督は全体を見渡しての配給を評価
横浜FCの元日本代表MF中村俊輔は、10日に行われたJ1リーグ第3節・浦和レッズ戦にスタメン出場。
0-2で敗れた試合は前半のみで交代となったが、下平隆宏監督は低い位置での組み立てで「タクトを振るってくれている」と、役割について話した。
中村はリーグ戦では開幕節・北海道コンサドーレ札幌戦(1-5)に続くスタメン出場。マイボール時にセンターバックの間または左サイドに降りてボールを安定させる役割を担い、浦和の2トップに対して数的優位を確保し、そこからの組み立てという形を多く出した。
浦和のリカルド・ロドリゲス監督も「前半はボールを持てずに苦戦した」と話したように、横浜FCは結果的にマイボールの回数が増えたことで、ミスによるボールロストからカウンターを受ける回数が増え、2回もPKを与えて失点を重ねたのはゲームの進め方として良くはない。しかし、かつて日本代表や欧州のレッジーナ(イタリア)、セルティック(スコットランド)といったクラブでもトップ下で活躍してきた中村に与えている役割について、下平監督はこう話している。
「攻撃のところではタクトを振るってくれている。あの位置から相手の状況、出方を見ながら足を止めて、味方の立ち位置を変えながらやってくれている。前で使えば前で使ったなりの良さはあると思うけど、後ろに落ちて全体を見渡しての配球が有効だと感じている」
確かに流れのなかではゴールから遠ざかりながら、マイボールを安定させている。しかし、セットプレーではポジションに関係なく脅威を与えられる。この日は直接狙えるような距離からのフリーキックはなかったが、コーナーキックでは正確なボールを蹴り込んだ。
すでに42歳を迎えている中村だが、そうした年齢的な話題はこの日アディショナルタイムに出場してJ1最年長出場記録を54歳12日に更新した元日本代表FW三浦知良が独占している感がある。しかし、J1最年長ゴール記録はジーコの41歳3カ月12日であるから、たとえば正確無比なフリーキックで更新する可能性は十分ある。
落ち着いたボールコントロールと長短のパス技術は健在。J1の舞台でもまだまだ左足でサッカーファンを魅了してくれそうだ。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)