生活費トラブルは離婚事由にも!共働き世帯が円満に貯めるコツ
コロナ禍で考えることが多い家計の見直し。夫婦が共働きの場合、どのようにやりくりをしていくのが正しいのでしょうか?
多くの世帯の家庭診断をしている節約アドバイザーでファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんに、教えてもらいました。
夫婦間でお金の管理はどうしていますか?(※写真はイメージです)
コロナ禍で家計の見直しをした家庭も多いかと思います。なにかしら収入に変化があったときに、夫婦や家族単位で家計の見直しや協力ができる家庭はまず安泰と言えるでしょう。多くの家計診断をしていますが、ほとんどの家庭が「合算」、「一部合算」、「分担」のいずれかで管理をしています。
世帯としてしっかりとお金を貯めて、夢や目標を達成させたいなら「合算」がおすすめです。そしてまた、家計診断をしていても、世帯貯蓄額が多いのも「合算」タイプです。「合算」家計で多いのが、一方の収入のほとんどが貯蓄になっており、年間の貯蓄額が300万円を超えているケースも多々あります。貯蓄額が多い理由として考えられるのが、お金全般の意識が個人よりも世帯に向いているからではないかと思います。
たとえおこづかいが少なくても、その分家庭にお金が使え、そのお金で家族の幸せとなり、それが自分の幸せであると考えることができるタイプです。
住宅や車を買う、家族旅行をするといった家族で使うための目標をもって、貯めて、実現させているため、夫婦で家計の不満が出にくいのも特徴です。
その次に貯まりやすいのが、「一部合算」、「分担」と続きます。夫婦共働き世帯が増えてきているためか、このどちらかの方法が増えてきています。この方法が必ずしも悪いとは言いきれないのですが、個人が使う分が増えてしまい、なかなか世帯での貯蓄が増えにくい傾向があります。また、「相手が貯めていてくれているだろう」といった期待をしてしまい、自分はあまり貯蓄をしておらず、いざ住宅など高額の買い物をしようとしたときに、お互いの貯蓄額の少なさに驚くケースもあります。
夫婦共働き子どもなしのDINKS家計の場合、「一部合算」や「分担」でもあまり不満が出てきません。それは払うべきものを払えばあとは自由に使えるお金となるため、趣味費や被服費、交際費、外食費など個人として楽しむことができるからと考えることもできます。ただし、子どもが生まれるとそのバランスが崩れることがあるので、お金の話し合いはできるだけ早めにしておくことをおすすめします。
昨今では、夫婦共働き世帯と妻が専業主婦世帯を完全に逆転しており、ほとんどの世帯が共働きになっています。
ところが、これだけ年々夫婦共働き世帯が増えていても、じつは家事関連時間(育児と家事時間などの合計時間)はほとんど変わっていないのが実情です。
夫婦共働きで、同じ割合でお金を出し合い、家事の時間は妻の負担が多いとどうしても不公平感が出てしまいがちです。夫婦共働きで子どもがいないときは、そこまで不満に思わなかったことも、子どもが生まれたときに不満が噴出するケースがあります。
妻は産休、育休、時短で復帰をした場合、手取りの収入がどうしても減ってしまいます。しかし、「一部合算」や「分担」の場合、妻が家計に入れる金額は変わらずに、家事育児の負担をほとんど背負っているご家庭が多いのも現実です。それだけではなく、子どもの身の回りの費用までもが妻負担になっているケースもあります。
こうした夫婦間での不公平感を軽減させるためには、家計負担割合と家事負担割合を決めることがポイントとなるでしょう。つまり、家計負担割合が5:5ならば、家事負担割合も5:5というようにお金と家事をセットにすることです。もちろん、家事に関しては、得意不得意があると思うので、どの部分をどのように担当するかは夫婦での話し合いになるでしょう。
家計も家事も個人で考えるのではなく、世帯として考えて話し合い、お互いが行動することが家庭としては円満に向かうのではないでしょうか。
表は平成29年度婚姻関係事件、申仕立動機別申立人別、全家庭裁判所の司法統計を筆者がグラフにしたものです。おもな理由3つまでの回答数値です。
妻が離婚を申し立てる理由のトップ3は「性格が合わない」「生活費を渡さない」「精神的に虐待をする」でした。つまり、生活費がもらえないことは十分な離婚原因にもなることがわかりますね。
確かに、共働きで家事育児はほとんど妻がやって、生活費はもらえないなら結婚している意味とは? と考えるのは当たり前とも言える結果でしょう。
もし、現状家計と家事負担割合に不満があるのであれば、食洗機といった家事がラクになるような家電を導入したり、食事も下味冷凍やミールキットを使って、調理の負担を減らすといった、ゆとりがもてるような工夫をしていきましょう。もちろん、そのお金は夫婦共通の口座から出してもOKですよ。
夫婦のお金は、家計の土台となるとても重要な部分です。現状うまく話し合いや意思確認ができていないなと考えているのであれば、まずは共通の目標をつくって、専用の貯蓄口座で貯め始めることから始めてみてはいかがでしょうか。また、家計簿アプリには情報を共有できる機能があるものもありますので、一緒に家計管理をするのもいいですね。
●教えてくれた人
節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー。著書に『50代から知っておきたい! 年金生活の不安、解消します
』(共著、幻冬舎刊)などがある。新しい家計簿『節約家計ノート2021
』(東京新聞刊)、『シングルママのお金に困らない本
』(徳間書店)も発売中
多くの世帯の家庭診断をしている節約アドバイザーでファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんに、教えてもらいました。
夫婦間でお金の管理はどうしていますか?(※写真はイメージです)
夫婦のお金から見える!貯まる家計とは
コロナ禍で家計の見直しをした家庭も多いかと思います。なにかしら収入に変化があったときに、夫婦や家族単位で家計の見直しや協力ができる家庭はまず安泰と言えるでしょう。多くの家計診断をしていますが、ほとんどの家庭が「合算」、「一部合算」、「分担」のいずれかで管理をしています。
「合算」…夫妻の両方の収入を合算してその中でやりくりをする
「一部合算」…夫と妻が10万円ずつなど定額を共通口座に入金して管理をする
「分担」…住居費や水道光熱費は夫、食費や日用品費や妻といった費目ごとに分担して管理をする
「一部合算」…夫と妻が10万円ずつなど定額を共通口座に入金して管理をする
「分担」…住居費や水道光熱費は夫、食費や日用品費や妻といった費目ごとに分担して管理をする
●世帯としてしっかりとお金を貯めたいなら「合算」
世帯としてしっかりとお金を貯めて、夢や目標を達成させたいなら「合算」がおすすめです。そしてまた、家計診断をしていても、世帯貯蓄額が多いのも「合算」タイプです。「合算」家計で多いのが、一方の収入のほとんどが貯蓄になっており、年間の貯蓄額が300万円を超えているケースも多々あります。貯蓄額が多い理由として考えられるのが、お金全般の意識が個人よりも世帯に向いているからではないかと思います。
たとえおこづかいが少なくても、その分家庭にお金が使え、そのお金で家族の幸せとなり、それが自分の幸せであると考えることができるタイプです。
住宅や車を買う、家族旅行をするといった家族で使うための目標をもって、貯めて、実現させているため、夫婦で家計の不満が出にくいのも特徴です。
その次に貯まりやすいのが、「一部合算」、「分担」と続きます。夫婦共働き世帯が増えてきているためか、このどちらかの方法が増えてきています。この方法が必ずしも悪いとは言いきれないのですが、個人が使う分が増えてしまい、なかなか世帯での貯蓄が増えにくい傾向があります。また、「相手が貯めていてくれているだろう」といった期待をしてしまい、自分はあまり貯蓄をしておらず、いざ住宅など高額の買い物をしようとしたときに、お互いの貯蓄額の少なさに驚くケースもあります。
夫婦共働き子どもなしのDINKS家計の場合、「一部合算」や「分担」でもあまり不満が出てきません。それは払うべきものを払えばあとは自由に使えるお金となるため、趣味費や被服費、交際費、外食費など個人として楽しむことができるからと考えることもできます。ただし、子どもが生まれるとそのバランスが崩れることがあるので、お金の話し合いはできるだけ早めにしておくことをおすすめします。
●家計負担と家事負担割合がカギを握っている
昨今では、夫婦共働き世帯と妻が専業主婦世帯を完全に逆転しており、ほとんどの世帯が共働きになっています。
ところが、これだけ年々夫婦共働き世帯が増えていても、じつは家事関連時間(育児と家事時間などの合計時間)はほとんど変わっていないのが実情です。
夫婦共働きで、同じ割合でお金を出し合い、家事の時間は妻の負担が多いとどうしても不公平感が出てしまいがちです。夫婦共働きで子どもがいないときは、そこまで不満に思わなかったことも、子どもが生まれたときに不満が噴出するケースがあります。
妻は産休、育休、時短で復帰をした場合、手取りの収入がどうしても減ってしまいます。しかし、「一部合算」や「分担」の場合、妻が家計に入れる金額は変わらずに、家事育児の負担をほとんど背負っているご家庭が多いのも現実です。それだけではなく、子どもの身の回りの費用までもが妻負担になっているケースもあります。
こうした夫婦間での不公平感を軽減させるためには、家計負担割合と家事負担割合を決めることがポイントとなるでしょう。つまり、家計負担割合が5:5ならば、家事負担割合も5:5というようにお金と家事をセットにすることです。もちろん、家事に関しては、得意不得意があると思うので、どの部分をどのように担当するかは夫婦での話し合いになるでしょう。
家計も家事も個人で考えるのではなく、世帯として考えて話し合い、お互いが行動することが家庭としては円満に向かうのではないでしょうか。
●生活費問題は離婚問題にも発展することも…
表は平成29年度婚姻関係事件、申仕立動機別申立人別、全家庭裁判所の司法統計を筆者がグラフにしたものです。おもな理由3つまでの回答数値です。
妻が離婚を申し立てる理由のトップ3は「性格が合わない」「生活費を渡さない」「精神的に虐待をする」でした。つまり、生活費がもらえないことは十分な離婚原因にもなることがわかりますね。
確かに、共働きで家事育児はほとんど妻がやって、生活費はもらえないなら結婚している意味とは? と考えるのは当たり前とも言える結果でしょう。
もし、現状家計と家事負担割合に不満があるのであれば、食洗機といった家事がラクになるような家電を導入したり、食事も下味冷凍やミールキットを使って、調理の負担を減らすといった、ゆとりがもてるような工夫をしていきましょう。もちろん、そのお金は夫婦共通の口座から出してもOKですよ。
夫婦のお金は、家計の土台となるとても重要な部分です。現状うまく話し合いや意思確認ができていないなと考えているのであれば、まずは共通の目標をつくって、専用の貯蓄口座で貯め始めることから始めてみてはいかがでしょうか。また、家計簿アプリには情報を共有できる機能があるものもありますので、一緒に家計管理をするのもいいですね。
●教えてくれた人
【丸山晴美さん】
節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー。著書に『50代から知っておきたい! 年金生活の不安、解消します
』(共著、幻冬舎刊)などがある。新しい家計簿『節約家計ノート2021
』(東京新聞刊)、『シングルママのお金に困らない本
』(徳間書店)も発売中