ダブル主演の月船さらら&市川知宏

写真拡大

 月船さららと市川知宏が28日、都内で行われたダブル主演映画『完全なる飼育 etude』(公開中)の公開記念舞台あいさつに出席し、台湾で行われた本作の過酷な撮影を振り返った。この日は、金野美穂と加藤卓哉監督も登壇した。

 『完全なる飼育』シリーズ9作目となる本作は、オーディションに現れた青年に対して、サディスティックな舞台稽古を強いる女性演出家の姿を描き出す。月船は強さと妖艶さを兼ね備えた演出家・小泉彩乃、市川はオーディションに現れた若手俳優・篠田蒼を演じている。

 本作のオファーを受けた際、月船は「有名な映画でまた新しいシリーズをやるんだって、自分へのオファーなのに最初は客観的に聞いていました。でも作品が『完全なる飼育』だけに大変だろうなって」と不安もあったことを告白。「監督、プロデューサーと会ってみるととても真摯で、しかも台湾で撮影ができるって。日本が舞台で台湾で撮影ってどういうことだろうと思いながらも、なんだかワクワクしてしまった」と出演に至るまでの経緯を明かす。

 期待を胸に作品に参加した月船だが、撮影は決して楽なものではなかった。「リハーサルなく台湾に行って、エチュード(即興劇)のように、その場に入ってどう動く、どうやりとりをするという感じで進みましたが、それはなかなか面白かった」と回顧しながらも、「でも少人数で、時間もたくさんあるわけでもなく、殴る蹴るの演技も多くて、気を張っていないと怪我をしてしまうので難しいなって。それぞれが必死で役に向き合わないと撮れない作品だったと思います」と過酷だった日々を振り返った。

 月船と共に主演を務めた市川も、「復讐心や憎悪を持って真剣に演技をしていました」とコメント。監督からは「いい人が表情に出ている」と注意されることも多かったそうで、月船と同様、決して楽な撮影ではなかったとのこと。「役とはいえ、3回回ってワンと言えとか。大変でした」と照れ臭そうに話す市川は、役作りのため、月船とは撮影の合間も、馴れ合いのようなことは一切なかったという。撮影が終わった際、月船が「(わたし)怖かった?」と声をかけてくれたそうで、市川は「それを聞いて月船さんは本当に優しい方だなって。月船さんのおかげで僕も役を演じきれたと思います」と感謝した。

 市川の言葉に、月船も「こういう設定の作品って、器用であればポンポン気持ちを切り替えて楽しくできるだろうけど、これはたった8日間で撮影する作品。オンオフをつけてやるより役に思い切り入って演技をしたほうがいい。台湾にいる時はだからずっと彩乃になりきって(市川に)接していました」と続くと、その上で「これからは仲良くしようね」と笑顔を見せていた。(取材・文:名鹿祥史)