トンネル通過時「耳がツーン」なぜ起こる? 飛行機、エレベーターでも 対処法は
電車がトンネルに入ると、耳が詰まった感じになったり、痛くなったりすることがあります。その症状はなぜ起こるのでしょうか。また、どう対処するとよいのでしょうか。
気圧が一気に下がる!
電車がトンネルに入った時や、飛行機の離陸時、エレベーターでの昇降時、自動車で峠を越える際に、耳が「ツーン」となることがあります。
「耳ツン」なぜ起こる?(画像:写真AC)。
これは気圧変化によるもので、耳の鼓膜を境に気圧差が生まれ、鼓膜に力がかかって「ツーン」となる症状を与えます。
電車がトンネルに高速で進入すると、まずトンネル内の空気が圧縮されることで、鼓膜が中へ押し込まれます。その後、トンネルと車両の間で気流の速度差が発生し、車内の気圧が低下する(空気が外へ吸いだされるイメージ)ことにより、今度は鼓膜が外へ引っ張られるようになるのです。
飛行機やエレベータ―に乗った時など、急激な高度変化による大気圧の変動が起きても同様に、鼓膜が押し込まれたり引っ張られたりして不快感が生じます。
この不快感を解消するために、無意識に唾を飲み込む人もいるかもしれません。実は鼻腔(鼻の奥の空間)と耳の奥は「耳管」と呼ばれる管でつながっていて、普段は閉じているのですが、唾を飲み込むことなどで開きます(「ボツ」っというような音が聞こえるでしょう)。それにより、耳の奥は外気と通じ、鼓膜は元の状態に戻るわけです。
「耳がツーンとならない」対策済みの車両!?
ところで、新幹線に乗っていると幾度となくトンネルを通過しますが、在来線に比べてさほど「耳ツン」状態にはならないと思います。実は新幹線は「耳ツン対策」として、車両のドアは圧着されてすき間を無くし、車内に気圧変化を生じさせないようにしています。
同様の「耳ツン対策」がされた車両に、かつて北越急行で特急「はくたか」として走っていた電車があります。北越急行ほくほく線は大部分が単線で、狭い長大トンネルを最高時速160kmで駆け抜けるため、「耳ツン」が起きやすい環境です。このため、この路線を走る特急車両には圧着ドアのほか、急激な気圧変動を防ぐ吸排気口が採用されていました。
かつて北越急行を最高時速160kmで駆け抜けた特急「はくたか」(2008年12月、恵 知仁撮影)。
「耳ツン」解消の方法は?
さて、いざ「耳ツン状態」が起きた時の対処、また予防はどうすればいいのでしょうか。JAL(日本航空)は「快適な空の旅のために」という特設ページにて、次の方法を説明しています。
まず予防ですが、風邪やアレルギー性鼻炎は、鼻の粘膜が腫れ、耳管が開かなくなるため、耳ツンがおきやすくなります。トンネルを通過するのは一瞬ですが、飛行機に乗るなど、気圧変化が継続して発生する環境に行く場合は、できるだけ治しておくといいでしょう。
次に発生後の対処法ですが、つばを飲み込んだり、あくびをしたり、飴を舐めるのが効果的。それでもダメなら、耳抜きを行うといいそうです。耳抜きの方法は、鼻をかみ、息を軽く吸い込んでから鼻をつまみ、口を閉じたまま中の息を耳の方へ送りこんだあと、唾を飲み込むという手順です。息を送り込むとき、強くやりすぎると鼓膜に負荷がかかるおそれがあるので気をつけてください。