50歳未満世帯は貯蓄より負債が超過 コロナ時代に見直したい家計のあり方
総務省統計局は15日、2019年の平均的な家計の収支をまとめた家計調査(貯蓄・負債編)を発表した。調査によると、2人以上の50歳未満世帯の家計は、平均的に貯蓄額より負債額が上回っている。負債の9割が、住宅・土地のためのものだ。
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マイホームを持つことは、多くの人にとって人生の目標の1つだろう。しかし、コロナ時代には何が起こるかわからない。負債超過となっている家計は見直す必要がある。
■新型コロナで浮き彫りになった家計への不安
2020年4月27日に明治安田生命総合研究所が、家計に関するアンケート結果を発表した。全体の71.1%が新型コロナウイルス感染拡大の影響で、家計に不安を感じると回答。その理由の60%以上が給与・収入の減少だ。2008年にリーマンショック、2011年には東日本大震災が起こった。現在は、コロナショックで経済が停滞している。いつ、何が家計に影響を与えるか、予測がつかない。コロナ時代で、貯蓄よりも負債が多い状況は危険だ。
■家計調査の概要
総務省統計局の家計調査によると、貯蓄額は、2人以上の40歳未満世帯が最も少なく、691万円だ。一方負債額は、40歳未満世帯が最も多く、1341万円に上る。年を重ねるごとに、貯蓄額は増えていき、負債額は減っている。当然、貯蓄は時間をかければかけるほど増えるし、負債は減る。問題は、一時的ではあれ、負債が貯蓄額を上回ることだ。
■40〜50代が最も家計の負担が大きい世代
40〜50代は家計の負担が最も大きい。今回の家計調査からも、その結論を導ける。子どもの教育費や住宅ローン、自動車代など出費が多い。だからこそ、日本企業では年功序列制度を取り入れ、家計負担の多い40〜50代の待遇を厚くした。しかし、今や年功序列の伝統は崩壊し始めている。今回のコロナショックのような緊急事態が起これば不安が増すのは当然で、最悪の場合、家計は破綻する。
貯蓄より負債が大きいということは、定期的な給与を頼りに人生を綱渡りで渡っているのと同じだ。給与が減ったりなくなったりすれば、その時点で破滅が待っている。
■コロナ時代の戦略は、一括購入できないものは買わないこと
コロナ時代のシンプルな戦略は、一括購入できないものは買わないことだ。家計に余裕ができ、非常事態時に柔軟に対応できるからだ。コロナショックで収入が減り、負債の支払いに困窮した人も少なくない。その証拠に、10万円の特別定額給付金は、負債の支払いにあてる傾向が強いようだ。
稼ぐ力を増やしたり、貯金を増やしたりする努力も必要だ。しかし、そもそも負債をつくらなければ、家計は楽になる。そのためのシンプルな戦略として、一括購入できないものは買わないことに徹してみてはどうだろうか。マイホームの夢は、地道な蓄えで実現しても遅くはない。