まず順当にいけばホームでボタフォゴが勝つだろう。太陽がさんさんと降りしきる日曜日の午後、子供も女性も、家族総出で見に来られるだろう。

 結局ボタフォゴは、本田のデビューにはこの試合の方がいいと判断したのだろう。チーム幹部にとっても、監督にとっても、チームメイトにとっても、サポーターにとっても、そして本田自身にとっても。プレッシャーもストレス感じず、リラックスして彼らしいプレーができるはずだ。
 
 本田を目的にチケットを買った人も含まれる1万9000人のサポーターにとって、パラナ戦は残念な試合になってしまった。本田を見られなかったのもそうだが、何より内容が酷かったのだ。

 立ち上がりは、ボタフォゴが力強い攻撃を繰り出し、12分にはルイス・フェルナンデスが早くも先制点を決めた。しかし見るべきところはそれだけだった。その直後からパラナに攻められ続け、後半になるとほぼ一方的な試合となってしまった。多くのチャンスを作られ、勝てたのは運があったからに過ぎない。ふがいない戦いぶりに、サポーターは最後の15分間はブーイングを浴びせ続けた。

 パラナのホームでのセカンドレグは18日にある。ボタフォゴにとっては、さらに厳しいゲームとなる。

 本田の“熱”もこの試合までには下がるだろう。今のボタフォゴには本当に本田の助けが必要だ。

取材・文●リカルド・セティオン
翻訳●利根川晶子

【著者プロフィール】
リカルド・セティオン/ブラジル・サンパウロ出身のフリージャーナリスト。
8か国語を操り、世界のサッカーの生の現場を取材して回る。FIFAの役員も長らく勤め、ジーコ、ドゥンガ、カフーなど元選手の知己も多い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授としても大学で教鞭をとる。