生田斗真は「現場で台本を見ない」 英語もペラペラ
落語家の笑福亭鶴瓶と俳優の生田斗真が19日、永田町に近い都市センターホテルで行われたテレビ東京開局55周年特別企画スペシャルドラマ「アメリカに負けなかった男〜バカヤロー総理 吉田茂〜」(2月24日夜9時〜)囲み取材&テープカットイベントに来場。鶴瓶が台本を覚えるのに必死だったなかで、生田は現場で台本を一切見ていなかったと舌を巻いていた。一方、生田は、いつもはほのぼのとしていながら、カメラがまわった途端に役になりきる鶴瓶に「乗り移ったんじゃないかと錯覚してしまうくらい」と圧倒された様子だった。本作で、鶴瓶は1953年3月の衆議院解散、「バカヤロー解散」で知られる伝説的首相・吉田茂に、生田は吉田の腹心となる白洲次郎に。この日は、吉田の娘・麻生和子にふんした新木優子も登壇した。
本作は、吉田の娘である麻生和子の著書『父 吉田茂』(新潮文庫刊)を原案に、1945年の終戦後、連合国軍に占領され混乱を極めた日本の独立に向けて、米最高司令軍マッカーサーらと粘り強く交渉を続けた吉田の歩みを追う物語。会場にやってきた鶴瓶は「大変な時にありがとうございます。(放送直前の)キャンペーンはこれが最後ということで、今日は一生懸命しゃべりたいと思います」と意気込み。さらに吉田茂役ということで、「今ちょうどね政局がこんな感じやし。新型コロナウイルスに対して政府がどうするかという時じゃないですか。そういう意味でも、あの時代に吉田茂がどう動いたのか。これは政治批判をしているわけではなく、今とはちょっと違う政治家だなという思いはありますね」と今、この人物を描くことに思いを巡らせる。
一方、白洲次郎役の生田も「俳優・笑福亭鶴瓶に会いたいということで参加しました。現場では鶴瓶さんのお芝居で空気が一変することがいっぱいありました。鶴瓶さんとお芝居をすることができて幸せです」と笑顔。そんな生田の印象について尋ねられた鶴瓶は「この人を叱りたいんですよ……」とちゃめっ気たっぷりに切り出すと、「彼は、現場では台本を一切見ない。どこで(セリフを)入れているのか知らないけど、こっちは(台本を覚えるのに)必死ですからね。しかもこの人は英語ペラペラ。外国人じゃないかと思いましたよ」と圧倒された現場を振り返る。
さらに、吉田の娘・和子を演じた新木も「お二人とご一緒できるということで光栄だったんですが、緊張することもなく、家族のように迎え入れてくれて。生田さんが演じる白洲次郎さんは、日本で初めてデニムをはいた人ということで有名でしたが、本当に(生田が)初めてジーンズをはいたんじゃないかというくらい似合っていらして」と称賛するも、生田は「ベストジーニスト賞は一度ももらったことがない。後輩はもらっているんですけどね」と無念そうな表情。「もらったらええやん。今年はもらえるよ」とのんきに返す鶴瓶に対して、生田は「ハードルを上げるのはやめてください」と笑いながら返していた。
鶴瓶との撮影はリラックスムードで和やかな雰囲気だったという生田だが、一度カメラがまわると空気が一変したとも。「一度カメラがまわると吉田茂がそこにいるというか。乗り移ったんじゃないかと錯覚してしまうくらいに、別人格の鶴瓶さんが目の前にいらっしゃった。(大阪出身の鶴瓶のために)標準語はこうですよと教えていた自分が、置いていかれてしまうくらいに吉田茂になりきっていた。勉強させてもらったなと思います」と鶴瓶のオンオフの切り替えに驚いた様子だ。特に鶴瓶が号泣する芝居を見せるシーンが特に印象に残ったそうで、その芝居を見たカメラマンや照明スタッフも泣くのをこらえるほどだったという。(取材・文:壬生智裕)