天皇誕生日が2月に移ったことで休日が1日減った2019年12月。11月の「BLACK FRIDAY」から12月に入って一気に冬物SALEが本格スタートしたが、例年のレディスコートの実売ピークでも、いかにトレンド商品でも、今年の霜や降雪が無い状態ではお客の買う気が起こらない。特に着丈75cm以上のアウターは厳しく、関連してマフラー、手袋といった防寒グッズも軒並み苦戦を強いられる厳しい結果となった。

[商業界オンラインの今日の記事(トップページ)へ]

〈明暗を分けた理由〉防寒重衣料が売れずに苦戦

 12月は11月と並ぶ防寒衣料の最盛期だが、良品計画(店舗は無印良品)を除く5社が既存店売上高が前年割れ。前年よりも休日が減り暖冬傾向だったにせよ、それぞれ条件は同じはず。では、何の違いかがこの結果に影響を及ぼしたのかというと、やはり「全体の品揃えに占める防寒重衣料の比率の違い」だろう。

 ここ数年を振り返っても「ダウンジャケットブーム」と言いたくなるほど中綿、ダウンジャケットに勢いがあり、「インナーダウン」と呼ばれる薄い物から「ボリューム」と呼ばれるタイプまで品揃え数は年々増えていっていた。そうした中、トレンドがかさ高を競うフィルパワーの数値競争からハイブリットやエコロジーをうたった高機能中綿へと移っていったわけだが、一般消費者にはそこまで響かなかったように見える。

東京都の平均最高気温は12.6℃、平均最低気温は5.2℃と最高気温、最低気温は昨年と同レベルだった。過去5年の月の最高気温平均を比較しても2017年(11.1℃)を除けば2016年(13.8℃)、2015年(13.4℃)と比べても比較的低い気温の12月だったといえる。

〈1位〉良品計画(既存店)売上高 108.4%*1、客数 119.7%、客単価 91.7%

【主要施策】無印良品週間12141225(メンバー10%OFF)/【話題の取り組み】1213まで期間限定価格/【注目アイテム】〔レディス〕ヤク入りウールワイドリブ編みモックネック(税込み4990 期間限定割引)、〔レディス〕撥水起毛フラットシューズ(税込み2990円)、〔メンズ〕首のチクチクをおさえた 天竺洗えるタートルネックセーター(税込み2990 期間限定割引)

  日中の寒暖差の大きさから冬物商品の動きが良かった。アパレルではヤク入りウールニットや防寒小物、肌着の売上げが上昇。中旬に催した「無印良品週間」も奏功し、客数の伸びに伴い、ケア用品、キッチン用品などの小物も好調に推移した。

※Webサイトのシステム更新のため、2019年12月31日〜1月上旬(日にち未定)までオンライン販売はできない状態にある。

〈2位〉ユナイテッドアローズ(既存店*2)売上高98.0%、客数94.1%、客単価104.2%

【主要施策】AUTUMN&WINTER SALE12/26〜/【話題の取り組み】2BUY 20%OFF12/11〜12/23(グルーンレーベル)/【注目アイテム】〔レディス〕リバーシブルグリーンダウンJK(税込み27500円)、〔レディス〕ラグラン ハイネックニット9G(税込み7590円)、〔メンズ〕Patagonia レトロJK (税込み29700円)

  前年との休日数の差やメンズ冬物衣料の鈍さなどが影響し、既存店売上高は前年を割り込んだ(前年同月より休日が2日少ない影響はマイナス3.2%程度の影響があったと推測)。カナダグース、エルベシャプリエ別注ビッグポシェット、ノースフェイス(オンライン限定)等の人気ブランド商品を販売、12月の売上げに寄与できたと推察する。

〈3位〉アダストリア既存店) 売上高 95.9%、客数 95.6%、客単価 100.3% 

【主要施策】SPECIAL PRICE DOWN SALE(グローバルワーク)/【話題の取り組み】WEBストア限定 春物予約20%還元キャンペーン、Fabulous JP(ニコアンド)/【注目アイテム】〔レディス〕変形プリーツロングスカート(ニコアンド、税込み4928 20%OFF)、〔レディス〕マシュマロタッチスタンドプルオーバー(グローバルワーク、税込み4290 13%OFF)/ 〔メンズ〕サーモライトフードブルゾン(グローバルワーク、税込み11781 10%OFF

 ヤングブランドから始まったシーズン先取りオーダーを強化している。ニコアンドではツモリチサトとのコラボレーション企画でも実施。建値消化の向上と過剰生産削減への取り組みが進められている。ブランド別ではグローバルワーク、ニコアンド、ベイフローが好調に推移。グループ会社の(株)BUZZWITが運営するD2C(Direct to Consumer)型ブランドのアプレジュール、クティールともよく売れている注目のブランドだ。

〈4位〉ユニクロ既存店*3)売上高 94.7%、客数 97.8%、客単価 96.9%

【主要施策】歳末SALE/【話題の取り組み】スターウォーズコレクション、人気ゲーム「フォーナイト」コラボ企画、税抜き1万円以上買い上げでヒートテックブランケットをプレゼント/【注目アイテム】〔レディス〕ヒートテックウルトラストレッチレギンスパンツ(税抜き2990円)、〔レディス〕ウルトラストレッチレギンスパンツ(税抜き1990円) 〔メンズ〕スウエットプルパーカ(税抜き2990円)

 防寒衣料の販売苦戦(中旬以降に気温が高く推移したため)が影響して既存店売上高が4カ月連続で割り込んだ。やはりこの時期は単価の高い冬物防寒アウターが動かないことにはいくら定番的な商品が売れても売上高としては追い付かない。

〈5位〉*しまむら(既存店)売上高 91.0%、客数 93.8%、客単価 97.5%

 

【主要施策】しまむら全力祭(112024)、BLACK FRIDAY SALE 1127121)、しまむら感謝祭/【話題の取り組み】ハッピーバッグ大集合(税込み5000円/3,000円)冬本番 今使えるあったかアイテム特集/【注目アイテム】〔レディス〕モチーフレースリブ編みプルオーバー(税込み1500円)、〔レディス〕6Wコーデュロイ釦スカート(税込み1900円)、〔メンズ〕5Gブークレボーダー柄ニット(税込み1500円)

 ブラックフライデーで打ち出したティーン衣料やインフルエンサーとのコラボ商品が好調だったが、12月上旬の季節外れの暖かさも影響して販売が伸び悩む。昨年比べ休日が1日少なかったことあり、既存店売上高が4カ月連続で下回る結果となった。

〈6位〉ライトオン(既存店)売上高 79.9%、客数 70.4%、客単価 113.4%

【主要施策】WINTER SALE 冬物最大50%OFF GO!GO!BARGAIN 最大70%OFF/【話題の取り組み】期間限定メンズレディススウエットトップス2枚目半額、大晦日限定スウエット各種税抜き2019円、LEVISEDWINボトムス2本目半額/【注目アイテム】〔レディス〕チャンピオン・ハーフジップトレーナー(税抜き5990円)、〔レディス〕バンクシープリントトレーナー(税抜き3990円)、〔メンズ〕ラグマシーン・ビッグシルエットクラックPt.トレーナー(税抜き3990円)

 例年に比べ気温の高い日が多く、ダウンジャケット等の防寒アウターや冬素材のボトムの販売が苦戦した。2年前にヒットした「MOCOMOCO」シリーズなど自社開発型ヒット商品が不足していることも影響しているのではないか。今回で既存店売上高の前年割れは7カ月連続となった。

1月のアドバイス:気温は高めに推移、春の新作中心に訴求せよ!

 1月は初売り商戦、冬物最終処分セール、セレモニー商戦が重要な月。主な社会イベントは成人式と春節。今年の新成人は122万人だが、昨年生まれた赤ちゃんが86万人。20年後の新成人は86万人という市場ボリュームが前提となり、量から質へのビジネスモデルの転換が求められていく。

 また、25日の旧正月の前後1週間から始まる春節休みで韓国、中国、台湾など近隣アジア諸国からのインバウンド客が期待できる。2019年は中国(72万人)、韓国(71万人)、台湾(39万人)とこの3カ国で、この月のインバウンド総数の7割を占めたが、今年は韓国からの数は望めず、例年のような活況は期待できない。

 気象庁発表の3カ月予報によると、今年は寒気の南下が弱く冬型の気圧配置が長続きしないため、3月までの気温は高めに推移するそうだ。最早、ここまでくると季節外れの寒気に覆われるより、小春日和のような日差しの方がありがたい。冬物処分の進捗とともに店頭では商品鮮度が感じられて2月、3月まで着用できるような春アウター、春ニット、春シャツ、春ボトムといった「春の新作」を中心に訴求していきたい。

*印の企業=20日締め、*1=衣料・雑貨(衣料品部門)の数字、*2=小売既存+ネット通販既存の合算数字、*3=既存店+Eコマースの合算数字/文中の売れ筋動向はIR情報および筆者視察によるものです。税込み価格は全て10月1日以降の増税後価格としました。