まずは、ある商品のパッケージをご覧いただきたい。


青華堂「雪花青」(公式ウェブサイトより)

こちらは北海道長万部町の製菓メーカー・青華堂が販売する生クリーム味の焼き菓子「雪花青(せっかせい)」。

しかし、パッケージの色合いや、商品名から、まったく別のものを連想した人も多いだろう。

そう、化粧品メーカー・コーセー(本社:東京都日本橋)が展開するスキンケアブランド「雪肌精」だ。


雪肌精(画像はAmazonより)

見比べてみるとフォントもそっくりである。ローマ字表記では1字しか違わないので、よく見ないと見分けがつかない。

こちらの「雪花青」、ツイッターでも、

「雪肌精を彷彿させる商品名と色」
「雪花青ってお菓子がもはや雪肌精だった」
「『雪肌精』がなぜお菓子売り場に?と、一瞬勘違い」

などと言及され、並べて置いて写真を撮るユーザーもいる。果たして、メーカーは「雪肌精」を狙っているのだろうか?

Jタウンネット編集部は青華堂に聞いてみることにした。

広報担当者「偶然です」

2019年12月2日、同社の広報担当者に電話で、「『雪肌精』に似ているお菓子がある、というので『雪花青』を知りました」と伝えると、「ありがとうございます」と一言。直球で、「雪肌精」を意識して作っているのかを尋ねてみると、

「いえいえ、そんなことなくて、偶然です」

とのこと。15年ほど前からこのパッケージで販売しているそうだ。

商品名が似ているのも、偶然だと担当者は話す。

「北海道の雪をお土産にしたようなお菓子を作りたい、ということで始まったお菓子です。『雪花』という言葉に、『青華堂』の青を合わせて『雪花青』という名前になっております。
中国に『雪花青(せっかあお)』という墓石にするような石があるらしく、それにもかけているようですね」


写真は公式ウェブサイトより

なぜよりにもよって墓石の素材にかけてしまったのかは謎だが、担当者も発売当時から同社にいたわけではないので、詳しくはわからないそうだ。ちなみに、石の「雪花青」は黒っぽいが、お菓子の「雪花青」は真っ白なので、見た目も全く似ていない。

「カテゴリーとしてはクッキーですが、食べたらチョコレートのような感じです。
でも、チョコレートよりくちどけが良くて、後味もすきっとしています。粉雪のように、すぐ溶けるイメージで作っております。
光の反射できらきら見えるように、表面に粉末のオブラートをかけています。ダイヤモンドダストを表現するような感じです」(広報担当者)


写真は公式ウェブサイトより

「雪花青」はクッキー生地にホワイトミルクチョコレートや生クリーム、牛乳、練乳を練りこんで焼き上げた「クッキーとチョコレートの中間のようなお菓子」だそうで、口に入れると溶けて、20秒ほどで消えてしまうのだという。

包装に書かれている「Royal Moisty White ロイヤルモイスティホワイト」という言葉が化粧品っぽさを醸し出してしまっている気もするが、この独特な食感を表しているとの話だ。

「パッケージに商品の写真もないですし、味を想像してもらうためにこういう表現にしています」

と担当者。

商品は、青華堂の直営店「はっぴーディアーズ」(北海道長万部町)のほか、新千歳空港でも販売されており、好評だそう。

担当者によると、「雪肌精」のアンバサダーをつとめるフィギュアスケートの羽生結弦選手のファンが、「パッケージが似ている」という理由で購入するケースも少なくないという。