新製品を日本市場へ大量投入するファーウェイの狙いとは? 米国政府による禁輸措置に立ち向かう現在の状況

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●好調な業績に忍び寄る貿易摩擦の影
ファーウェイ(HUAWEI)は都内にて新製品発表会を行い、4製品を一気に発表しました。
・新型スマートフォン「HUAWEI nova 5T」
・新型スマートウォッチ「HUAWEI WATCH GT 2」
・新型スマートバンド「HUAWEI Band 4」
・新型完全ワイヤレスイヤホン「HUAWEI FreeBuds 3」

ファーウェイと言えば、現在のSIMフリースマートフォン市場において常に上位にランクインするほどの人気を誇るスマートフォンメーカーです。
またNTTドコモやau、ソフトバンクといった移動体通信事業者(MNO)からも端末が販売されるなど、日本国内で大きなシェアを獲得するまでに至っています。

しかし、ファーウェイと言えば米国による輸出入規制が大きな不安材料です。

米中による貿易摩擦に端を発したファーウェイへの圧力は2019年春に顕在化し、
・5月には米国政府による同社および同社関連企業68社の輸出規制リスト(Entity List)追加が決定
・11月にはさらに同社関連企業46社を輸出規制リストへ追加
このような緊張した状況が続いています。

いわゆる禁輸措置とも言える決定ですが、
現在は猶予期間が与えられているほか、米国政府の許可を得れば米国企業がリスト入りした企業と取引を行うこともできるとしています。

今回の発表会では、こうした状況下でありながら2019年第1四半期〜第3四半期の売上高では前年同期比+24.4%となる6108億人民元と、同社の業績は好調であるとアピールしています。


スマートフォンの出荷台数も堅調だ


とはいえ米国による禁輸措置は、米国外での製品展開にも大きな影響を与えています。
例えば9月に海外で発売されたハイエンドモデル「HUAWEI Mate 30」シリーズは、禁輸措置の影響でGoogle Mobile Service(GMS)に非対応であるため、Google PlayやGmailといったGoogleが提供するサービスが一切使えない状況です。

では、日本で発売されるHUAWEI nova 5TはGoogleのサービスが使えないのでしょうか。
答えは「NO」。Google PlayもGmailも問題なく利用できます。

HUAWEI nova 5Tは米国政府が輸出規制リストへ追加した5月よりも前にGoogleより認証を受けているため、そのサービスやサポートを受けることができます。
また、ユーザー保護の観点から、セキュリティアップデートやOSアップデートについても保証されるため、購入後にGoogleのサービスが使えなくなったり、OSの機能が制限されたりといった心配は現在のところありません。


日本で正規販売される端末については禁輸措置の影響を考えなくて良さそうだ



●独自プラットフォーム「HMS」にも着手
ファーウェイも、米国政府による禁輸措置に対して座して死を待つばかりではありません。
GMSが使えないならば、自分たちで作ってしまえば良い、ということから、
独自のアプリケーション開発プラットフォーム「Huawei Mobile Service」(HMS)を開発・公開し、専用のアプリマーケットの構築にも着手しています。


ファーウェイ製品のユーザーは世界で5.7億人。その巨大市場を背景に新たなマーケットを構築する計画



日本でもHMS向けアプリの開発者へ総計10億ドルの投資を行う


当然ながら、ファーウェイもすべてHMS移行しようというわけではなく、GoogleのサービスやAndroid OSを優先する姿勢もいまだに崩していません。
米国政府による禁輸措置が解除された場合、
・欧米および日本向けのGMS対応端末
・中国国内および途上国向けのHMS対応端末
この2つが併売されていく可能性は十分にあります。

5月に決定された禁輸措置では90日間の猶予が与えられていましたが、
11月18日にはこの猶予がさらに90日延長されることが決定しています。
米国内でもファーウェイへの制裁の是非について大きな議論を呼んでおり、その動向は予断を許しません。

ファーウェイは、国家間の政治や安全保障の問題による貿易摩擦によって翻弄され、影響を受け続ける厳しい状況ですが、攻めに出て怒涛の新製品ラッシュを仕掛けています。

こうした強さと野心に、世界を股に掛けるグローバル・テクノロジー企業としての矜恃や意地が見てとれます。


執筆 秋吉 健