交通事故の32%が追突事故! 適正な車間距離を取るべき本当の理由3つ
前走車に近づきすぎると視界が狭くなる
あおり運転の話題が続いているが、悪質なあおり運転は論外として、適正な車間距離をキープしないのは、そもそも安全上に大きな問題がある。
道路交通法にも、「車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その車両が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない(26条1項)」とあるにもかかわらず、車間距離保持義務違反で捕まるドライバーは後を絶たない(高速道路では、速度超過、通行帯違反に次ぐ3番目の件数)。
こうした違反が多いのは、適正な車間距離がわかっていないのと、その危険性の理解度が低いからだろう。十分な車間距離を確保しなければいけない理由は、3つある。
ひとつは安全上の理由。道路交通法に明記されているとおり、前走車が急ブレーキをかけたときでも追突事故を起こさないためというのが主な理由になる。
交通事故全体の約32%が追突事故で、交通事故の死傷者数も約35%が追突事故という統計を見ても、車間距離の重要性がわかるはず。
また地面に落下物が落ちていたときも、車間距離が近いとそれを避ける余裕がなくなるし、飛び石なども喰らいやすくなる。
前走車に近づきすぎると、視界そのものが狭くなるので、アクシデントに気づき反応するのも遅くなり、避けられる事故も避けられなくなる。
高速道路では車間距離約40mをキープすることで渋滞を防げる
ふたつ目は、渋滞の発生を防ぎ、燃費を向上させ移動時間を短くするため。
「渋滞学」で知られる、西成活裕教授(東京大学先端科学技術研究センター)の研究では、高速道路の場合、「車間距離約40m」をキープすることで、渋滞の原因を吸収する「渋滞吸収運転」になり、渋滞を防げるとのこと。
つまり、車間距離を詰め過ぎると、それが渋滞の原因にもなるということだ。
最後は、周囲のドライバーにプレッシャーをかけたり、かけられたりしないため。
車間距離は近すぎると前走車に威圧感を与え、あおり運転ととられることも。そうでなくても車間距離が近いと、前走車のドライバーに不快感を与え、不要なトラブルになることも……。
かといって必要以上に車間距離を広げると、流れをせき止めることになり、後続車のドライバーをイライラさせたり、自分の前にどんどん割りこまれたりするので避けたいところ。
適切な車間距離とは、前走車の2秒後ろの距離だと覚えておこう。内訳は、危機を認識しブレーキを踏むまで1秒。ブレーキが効果を発揮するまで1秒。合計2秒という考え方。
具体的には、40km/h=22.2m、60km/h=33.3m、80km/h=44.4m、100km/h=55.6m。ドライブレコーダーを購入したりする前に、まずこの「車間距離=2秒」の走りをすることが、追突事故やあおり運転を防ぐ最良の方法だということを覚えておこう。