日本代表DF槙野智章【写真:AP】

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初戦で2枠、第2戦で1枠が残った交代枠 いまだ出場機会を得ていないのは8選手

 日本代表はアジアカップ・グループリーグで2連勝を飾り、早々に決勝トーナメント進出を決めた。

 2試合とも交代枠を残したまま試合を終えているなか、控え組から不満は出ていないのか。DF槙野智章(浦和レッズ)がチームの現状を明かすとともに、森保一監督の巧みな人心掌握を絶賛している。

 9日の初戦トルクメニスタン戦(3-2)で先制を許した日本だが、後半にFW大迫勇也(ブレーメン)の連続ゴールで逆転に成功。MF堂安律(フローニンゲン)の追加点で突き放したなか、終盤にPKで1点返されるも3-2で逃げ切った。この試合では0-1と劣勢で前半を折り返したが、指揮官は後半途中まで戦況を静観。後半27分、MF南野拓実(ザルツブルク)に代えてFW北川航也(清水エスパルス)を投入したが、これが唯一の交代となり、2枠を残したまま終えている。

 続く13日の第2戦オマーン戦(1-0)では、やや早めの一手を打った。後半11分、FW北川に代えてFW武藤嘉紀(ニューカッスル)を投入。同39分、堂安に代えてMF伊東純也(柏レイソル)を起用したが、この試合でも交代枠を一つ残したまま終えている。

 2試合を終えて出場機会を得ていないのは、GKの東口順昭(ガンバ大阪)とシュミット・ダニエル(ベガルタ仙台)。DFの三浦弦太(G大阪)、室屋成(FC東京)、佐々木翔(サンフレッチェ広島)、塩谷司(アル・アイン)。MFの乾貴士(ベティス)と青山敏弘(広島)の8人だ。

指揮官の観察眼とマネジメント力に心酔しきり 「なんで使わないんだよとかはない」

「なんで使わないんだよとか、交代枠が余っているのに、というのは別に選手の中でもない」

 そう証言したのはDF槙野だ。チーム内で説明がされており、2試合でそれぞれ交代枠を残していても不満は噴出していないという。コミュニケーションを密に取りやすい日本人監督の良さが出ている一面であり、槙野は「珍しいですね。選手一人ひとりの観察とマネジメントがすごく長けている」と森保流に心酔しきりだ。

 森保監督は細部にも目を配るとともに、選手一人ひとりの立場と心情に応じた接し方をしているようだ。当然、ベンチで満足する選手は誰一人いない。槙野自身、初戦トルクメニスタン戦でフル出場するも第2戦はベンチスタートとなり、DF冨安健洋(シント=トロイデン)にスタメンの座を奪われた。「モヤモヤした気持ち」が生まれても不思議ではない状況のなかでも統制が取れているのは、指揮官の優れた手腕があってこそと言えるだろう。

「特に出ていない選手へのアプローチの仕方が素晴らしい監督。今出ていない選手たちがいるし、少ない出場時間の選手たちにも積極的なコミュニケーションを図っている。変な感じはない」(槙野)

 17日の第3戦ウズベキスタン戦はメンバーの入れ替えも予想されるなか、どのようなメンバーを先発で送り出し、交代カードとして誰を投入するのか。森保監督の采配に注目が集まる。(Football ZONE web編集部・大木 勇 / Isamu Oki)