台湾で最も小さな県が、台湾中部に位置する彰化県。その中心都市である彰化には、知る人ぞ知る、台湾唯一の扇形車庫があります。

彰化へは、台湾第2の都市・台中から台鉄で15分〜。台中から一日どころか、半日でも行けてしまう気軽な小旅行先です。

彰化扇形車庫は、日本統治時代の1922〜1932年にかけて建造された歴史的車庫。その名の通り、扇の形をした機関車の保管庫です。

かつて台湾には5つの扇形車庫がありましたが、現存するのは彰化だけ。日本では、京都の梅小路機関区のものが有名です。

彰化扇形車庫は、現役の鉄道施設であるものの、古跡指定されたのに伴って、2000年に一般公開がスタート。開放時間内であれば、誰でも無料で見学することができます。

見学時間は、平日13〜16時、休日は10〜16時。特に平日は見学時間が短いので要確認です。

彰化駅から徒歩約5分。機関区に到着したら、まずは入口にある案内所で記帳を済ませます。外国人の場合はパスポートの提示を求められることがあるので、パスポートの携帯を忘れずに。

必要事項を記入すれば、あとは自由に敷地内を見学できます。安全確保のため、一般見学者の立ち入りが禁止されているエリアもあるので、「遊客禁止進入」の札が立っているところにうっかり足を踏み入れないようご注意を。

敷地内を奥に進んでいくと、昭和初期にタイムスリップしたかのようなレトロな光景の数々が目に飛び込んできます。

グリーンの壁には、ノスタルジックな書体で「禁止煙火」の文字。注意喚起のための表示にもかかわらず、写真を撮るためにあるのではないかと思うほどフォトジェニックです。

さらに奥に進むと、ついに台湾で唯一現存する扇形車庫にご対面。12列の車庫には、現役のディーゼル車や蒸気機関車などが格納されています。

誇らしげに並ぶ昔なつかしい列車の姿は、とってもカッコイイ!鉄道マニアならずとも、この独特の光景に興奮せずにはいられません。

ここにある車両は、使われなくなったものではなく、現役で活躍しているものばかり。ディーゼル車のみならず、100年をもつ蒸気機関車の姿もあります。

現在台鉄が所有する蒸気機関車のうち、まだ使えるものは4台だけということで、現役の蒸気機関が見られる貴重なチャンスです。

12列の機関庫の屋根には、それぞれ2つずつ、計24本の煙突があります。蒸気機関車の排煙のため、前後2本の煙突が必要だったのだとか。煙突に描かれている数字も、レトロで可愛らしいですね。

見学時間中は、車庫前の線路に腰かけての記念撮影も自由。鉄道施設だけに、鉄道マニアの訪問が多いのかというとまったくそのようなことはありません。

普段は撮れないような、珍しくてレトロな写真が撮れることから、彰化扇形車庫は、家族連れやカップルなどにも高い人気を集めています。

現役の鉄道施設であるこの車庫では、日々保守や点検の作業が行われているので、運がよければターンテーブル(転車台)が動くところが見られるかもしれません。

鉄道ファンならずとも、非日常の光景と写真撮影だけでじゅうぶん楽しめる扇形車庫。まだ外国人旅行者の姿はほとんどありませんが、今後人気に火がつくのは時間の問題かもしれません。

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「彰化扇形車庫」
住所:彰化市彰美路一段1号
公式サイト:https://www.railway.gov.tw/Taichung-Transportation/CP.aspx?SN=12376