NetflixがApp Storeの高い手数料を嫌って月額料金徴収のバイパス法を模索中
ストリーミングサービスのNetflixは、今やApp Storeで最も利益を上げるアプリの一つに成長しています。しかし、Appleが高い手数料を取ることから、Netflixではサブスクリプション(定期視聴)契約者からの月額料金をApp Storeをバイパスする形で徴収する方針を打ち出しました。
Netflix tests a bypass of iTunes billing in 33 markets | TechCrunch
TechCrunchが、NetflixがiOS版Netflixアプリのアプリ内課金システムを日本を含む33カ国で変更する予定だと報じました。これまで、Netflixで定期視聴契約をしているユーザーはiOSアプリ内で月額料金の支払いを行ってきましたが、新規登録者や契約を中断したユーザーの再登録ではiOS版でのアプリ内課金は利用できず、モバイルブラウザを利用してNetflixの公式サイトで直接料金を支払うことになるとのこと。iOSのアプリ内課金の利用停止は2018年9月末までに行われる見込みです。
NetflixがiOS版アプリの月額利用料をアプリ内課金ではなく直接徴収に切り替える理由は、Appleが提供するApp Store(iTunes)の手数料が高すぎるため。AppleはApp StoreでのみiOSアプリの配信を行っていますが、販売時に手数料がかかるだけではなく、月額利用料にも売り上げの30%という高い手数料を課しています。NetflixやSpotifyなどの大手アプリ提供者からのクレームによって、Appleは2年目以降の手数料を下げましたが、それでもなお15%という高額の手数料支払いが義務付けられています。
月額課金分への手数料徴収について、App Store上でアプリをユーザーにアピールするための対価としての意味合いがあるのは否定できませんが、Netflixのように自前でユーザーを集められるだけのブランド力があるアプリだと、この「ユーザーアピール」のメリットが小さいため、Appleになぜそんなに手数料を取られなければならないのかと考えても無理はありません。
TechCrunchによると、Netflixは2018年8月2日から9月30日にかけて33カ国でiOSアプリ内課金を廃止する予定だとのこと。この33カ国はアルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、コロンビア、クロアチア、チェコ共和国、デンマーク、エクアドル、フィンランド、フランス、ドイツ、イギリス、ハンガリー、インド、インドネシア、イタリア、日本、韓国、マレーシア、メキシコ、ノルウェー、ペルー、フィリピン、ポーランド、スロバキア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、台湾、タイです。
ただし、App Storeのガイドライン3.1.3(a)には、「(開発者は)iOSユーザーに、アプリ内の購入以外の方法での購入を直接的または間接的に促してはいけない」という規約があるため、この規約に抵触しない形で定期視聴料の直接徴収にNetflixが成功するかどうかは不明です。
なお、AmazonのiOS版のKindleで電子書籍を購入できない仕様になっているのはこの利用規約のせいです。iOS版Kindleでは有料コンテンツの購入はできませんが、ウェブサイトやAndroidアプリで購入済みのコンテンツを読むことは可能です。同様のロジックでNetflixが月額利用料のバイパスに成功するかどうかは、他のアプリ開発者からも大きな注目を集めそうです。