J3では昨季から指揮を執るが、J1はもちろん初のステージ。若き智将・宮本がどんな手腕を発揮するのか、実に興味深い。(C)J.LEAGUE PHOTOS

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 ガンバ大阪は7月23日、政権交代に踏み切った。今春から指揮を執っていた名伯楽、レヴィー・クルピ監督との契約を解除し、41歳のクラブレジェンド、宮本恒靖氏を新監督に指名したのだ。トップチームコーチとU-23チーム監督を務めていたため、昇格人事となる。
 
 クラブは早くから宮本氏を将来のトップチーム監督に据えるべく、堅実に経験を積ませてきた。2015年末にクラブに帰還すると、ジュニアユースチームのコーチで中1クラスを担当。翌年にはユースチーム監督を務め、昨年は1年間、J3を戦うU-23チーム監督を任された。そして今季からトップコーチも兼任と、特大の期待を寄せてきたのだ。

 
 本来はクルピ監督の下で研鑽を積み、2〜3年後の昇格を意図していたはずだが、思わぬ形での前倒しとなった。はたしてファンはこの人事をどう見ているのか。クラブ公式ツイッターに寄せられた意見をいくつか拾ってみる。
 
「宮本さん、何とか立て直してください!」
「絶対ここから巻き返せるよ、恒なら‼️これまで以上に全身全霊で応援する‼️」
「宮本監督、どうかガンバ大阪を救ってください!!!」
「あの05年優勝のつね様の涙、ガンバへの愛は僕らもよく知ってます!つね様について行きます!!!」
「神様、仏様、ツネ様!今年は何が何でも残留して長期的にツネ様で常勝軍団へと成り上がりましょう」
「いろんな問題点はあるけど、もう2012年のような惨めな想いは絶対にしたくない、させない!!!!!」
「この苦しい時に引き受けてくれてありがとうございます!ほんまに大変やと思うけど、お願いします!」
「サトシ(山口智)さん、松代(直樹)さんとのレジェンドトリオでチームを救い出してください!!!」
「日本代表の西野さん以上に難しいチーム作りになると思いますが頑張って下さい」
 
 驚異的な支持率であり、人気ぶりだ。やはり生え抜き第1号で、弱小から強豪へと進化を遂げる過程で、絶大な貢献を果たした名DFへの敬意は計り知れない。この点に関しては明らかにポジティブな空気が生まれている。
 
 その一方で、盛んに使われている言葉が“二の舞”である。「松波さんの二の舞はやめてくれよ?そこはフロントが守ったれよ?」「あの二の舞はごめん。お願いですから松波さんのように辛い目には合わせないでください!」といったものだ。
 
 6年前の2012年シーズン、ガンバはクラブ史上初のJ2降格の悪夢を見た。当時の流れと今回の政権交代がきわめて酷似しているからだ。
 
 西野朗・長期政権が終焉し、ブラジル人のジョゼ・カルロス・セホーン氏を新指揮官に迎え、元日本代表FW呂比須ワグナー氏が右腕を担う二頭体制に切り替えた。しかし内容も結果も惨憺たるもので、わずか2か月で政権は崩壊。監督の更迭とともに、当時の強化部長は引責辞任した。そしてコーチでクラブOBの“ミスターガンバ”松波正信氏が監督に昇格したのである。
 
 なんとか立て直そうと若き指揮官は奮闘したものの、経験不足は否めず、負の連鎖も止まらない。チームは降格の憂き目を見て、シーズン終了後に松波氏は監督の任を解かれ、翌年には20年間籍を置いたクラブを去ったのだ(今春から4年ぶりに復帰してアカデミーダイレクターを担当している)。
 
 長期政権後の移行に失敗し、若きクラブOBに指揮を任せて打開を図る。ここまではまったく同じシナリオだ。結果がどうなるにせよ、フロントは“ツネ”を守れというのが、ファンの強い願いなのかもしれない。

 
 ここでハッキリしているのは、クルピ監督に対しては同情的な意見が大勢を占めているという点だ。もちろんマネジメントに対する純然たる批判はあるものの、「あれだけの戦力しか与えられなかったのだから仕方ない」という見解がきわめて多い。もっと言えば、「苦しい台所事情のなかでたくさんの若手を使ってくれてあるがとうございます」「クルピさんが起用した若手がいつかガンバを支える大事な戦力になると思います」など、感謝の言葉も散見された。