32歳で迎えた3度目のW杯で、神懸かりなパフォーマンスを連発している。モドリッチと“プレミア勢”の至高のバトルに注目だ。(C)Getty Images

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 水曜日に迫ったロシア・ワールドカップ準決勝、イングランドvsクロアチアの大一番。このゲームに並々ならぬ意欲で臨む名手がいる。クロアチアの至宝、ルカ・モドリッチだ。
 
 2008年夏にディナモ・ザグレブからトッテナム・ホットスパーに移籍し、丸4年間プレーした。ワールドクラスへの階段を駆け上がった思い出深いクラブであり、プレミアリーグに対しては「いまでも恋しく感じることがある」と語るほど。現在は世界王者レアル・マドリーで不動の地位を築いているが、身体にはプレミアのDNAが染みついている。
 
 やはりイングランド代表との対戦には、感慨深いものがあるようだ。
 
「いまのイングランド代表には、僕がプレミアでプレーしていた頃にはまだ芽が出ていなかった若い選手たちが多いけど、やっぱり心にグッと来るものがある。彼らとこんな最高の舞台で再会できるなんて、本当に嬉しいよ。昔に比べてチームのスタイルは洗練されていて、パスを重視しているね。僕たち(クロアチア代表)と変わらずポゼッションを大事にしている。(CBの)ジョン・ストーンズがすごくボールに触っていて、まるでマンチェスター・シティのようだ。本心を言えば、昔のままのイングランドと戦いたかったけどね(笑)」
 
 
 トッテナム在籍当時にチームメイトだった現メンバーは、ハリー・ケイン、ダニー・ローズ、カイル・ウォーカーの3人。「みんなまだ若くて、野心に溢れていて、途轍もないポテンシャルを秘めていた。なかでもハリーはまだ10代だったけど、あの頃から練習熱心でハードワーカーだったな。すごいストライカーに成長したものだよ」と微笑む。
 
 警戒しているのは、スリーライオンズお得意のセットプレーだ。
 
「彼らのセットピースは脅威だ。(ハリー・)マグワイアにハリー、ストーンズと決め切れるターゲットがいて、バリエーションも豊か。僕たちはロシア戦(準々決勝)でセットピースから手痛いのをひとつもらっているから、しっかり対応しなければいけない」
 
 疲労の蓄積も気になるところだ。クロアチアは決勝トーナメント1回戦(デンマーク戦)に続き、準々決勝ロシア戦でも120分間を戦った。かたやイングランドは準々決勝のスウェーデン戦は90分間で勝利し、休養日がクロアチアより一日長い。
 
「たしかに厳しい条件ではある。でも、ここはワールドカップだ。また別次元のモチベーションが湧いてくる。すべてが別次元なんだ。お互いにスピード自慢の選手が多いし、攻撃的に振る舞うはずだから、きっとオープンな展開になるだろう。観ているファンにとってはかなり面白いゲーム展開になるんじゃないかな」
 
 最後にスコア予想を問われた英雄は、こう即答して、不敵に笑った。
 
「3対2でクロアチア! 2007年にウェンブリー(イングランド代表の本拠地)で、僕たちが彼らを打ち負かしたときのスコアだ。忘れられない試合でね。あの試合の再現を狙っているんだ」