列車の指定席と自由席にはそれぞれにメリットがあります。自分の旅行スタイルに合わせてうまく使い分けて活用しましょう。

旅行プランに合わせて選択を

 JR線を走るほとんどの特急列車は、座席を予約できる指定席と、当日好きな席に座れる自由席が設定されており、それぞれメリット・デメリットがあります。


「はやて」をはじめ新幹線の「はやぶさ」「こまち」「かがやき」は全車指定席で運行されている(画像:児山 計)。

 指定席のメリットは座席が確保されている点です。特に途中駅から乗車する場合、自由席だと満席で座れない可能性があります。

 指定席であれば、途中駅から乗車するときも空席が残っているか心配する必要はありません。特にお盆や年末年始、大型連休のように混雑が予想されるときは、早期に指定席を確保した方が安心です。

 最近ではインターネットの予約サービスや駅の指定券販売機でも、乗りたい車両や座席を選べるようになりました。たとえば東海道新幹線で、多目的トイレから近い席にしたい場合は、11号車を指定できます。

 デメリットは旅程を変更しづらくなる点ですが、指定席の事前の変更は1回に限り手数料なしで可能です。予定の列車に間に合わないなどの場合は、早めに手続きをしましょう。

 ちなみにこの変更、必ずしも同じ行先である必要はありません。たとえば新幹線「のぞみ」の「新大阪→東京」指定席特急券を所持していて、急に関西空港に行くことになった場合、「のぞみ」の指定席特急券を、関西空港行きの特急「はるか」の指定席特急券に、1回に限り手数料なしで変更することも可能。急な行先変更の場合、同じ種類のきっぷであれば、払い戻して買い直すより手数料分がお得です。

 ちなみに購入していた指定席の列車に乗り遅れてしまった場合は、そのきっぷのまま後続列車の自由席を利用できます(企画乗車券など一部例外あり)。

自由席は列車や席が「自由」

 一方、自由席のメリットは価格が指定席より安いことと、席や列車を乗車のタイミングで自由に選べる点です。たとえば旅行先でお気に入りの場所が見つかりもう少しゆっくり過ごしたいと思ったときも、指定席利用なら切り上げて駅に戻らなくてはなりません。しかし自由席なら、きっぷの有効期間内・区間内であれば列車を選べるため、スケジュールの自由度は飛躍的に高まります。


繁忙期の自由席は始発駅で満席になっているケースが多く、途中駅からでは座れないことも。写真はイメージ(画像:児山 計)。

 また、車窓を楽しみたいときや、日差しを避けたいときなども、自由席ならそのときに選べます。混雑に比較的余裕のある閑散期の旅行であれば、自由席は旅の自由度を広げてくれる良い選択肢といえるのです。

 自由席のデメリットは、着席が保証されていないこと。途中駅からの乗車はもとより、混雑期は列車の始発駅でも、列に並ぶなどそれなりの“苦労”が必要になってきます。

指定席の事前変更「何度でもOK」のサービスも

 指定席は、予定が変わった際に手続きや手数料などがネックですが、そのネックの改善が進んでいます。JR東日本の「えきねっと」「モバイルSuica特急券」やJR東海・JR西日本の「エクスプレス予約」、JR西日本の「e5489サービス」、JR九州の「JR九州インターネット列車予約」などのネット予約サービスなら、一定条件のもとであれば手数料なしで何度でも指定席が変更できる特典が用意されています。

 自由席と指定席それぞれにメリット・デメリットがありますから、その“いいとこどり”をしても良いでしょう。たとえば帰りの列車だけ指定席を取って、それまで自由席で移動すれば、旅行で疲れているであろう帰りの列車で座席を確保できる安心感と、旅行中の自由な行動を両立できます。自身の旅行スタイルに合わせて指定席と自由席を使い分けるのも、楽しい旅行のテクニックです。

全席が「指定」であり「自由」でもあるJR東日本の新しい指定席システム

 指定券とは本来、座席が指定されているものですが、なかには乗車の列車・号車までが指定されながら座席が指定されないものも。

 東北・北海道・秋田新幹線の「はやぶさ」「はやて」「こまち」、北陸新幹線の「かがやき」は全車両が指定席です。これらの列車が満席の場合、乗車列車と号車が指定された「立席特急券」が発売されることがあります。

 席の指定がないため、このきっぷの利用者は、指定号車のデッキなどで過ごすことになります。また、規則上は途中で席が空いても座席に座ることはできません。

 また、JR東日本では特急「スワローあかぎ」「ひたち」「ときわ」「成田エクスプレス」に、新しい指定席サービスを導入しています。

 これらの列車は全車両が指定席ですが、乗車する日と区間が指定されていて座席が指定されていない「座席未指定券」(指定席特急券と同額)があれば空いている指定席に座れます。つまり、すべての車両が、いわば指定席でもあり自由席でもあるというわけです。

 たとえば特急「成田エクスプレス」の場合、海外旅行からの帰りに、航空機の遅延や入国手続きなどで何時の列車に乗れるか読めないときもあります。このような場合はとりあえず座席未指定券を用意しておき、成田空港駅や空港第2ビル駅で、スケジュールに合った列車の指定席を改めて取るか、比較的空いているようであればそのまま無指定で空いている席に座るといった使い方ができます。なお、駅で指定を受ける際に追加料金は不要です。

 このように、指定席・自由席にもいろいろな種類があります。旅行の際は、自身の旅行スタイルに合わせた組み合わせでうまく活用したいところです。