隣県同士を「人口推計」で比較したら、なぜか望郷の念に駆られました
各都道府県の人口を知るうえで最新の資料となるのが、統計局の発表している「人口推計」だ。国勢調査のデータをベースに、各地の人口の自然増減(出生や死亡による増減)、社会増減(転出入や出入国による増減)のデータを加え、毎月1日時点の人口の推計値が出されている。
単に数値が並べられているだけではなく、都道府県別の人口増減率や増減要因、人口に占める年齢割合なども分析、公開されており、読み物としても興味深い。2018年4月13日には、最新のデータとなる「人口推計(平成29年10月1日現在)」が公表された。
当たり前ですが全国的には減少傾向です
47都道府県の傾向を見ると、人口増加が見られるのは7都県のみ。残りの40道府県は減少だ。増加と言っても増加率は最も高い東京でも0.73%で、次いで埼玉県が0.28%、沖縄県が0.26%となっている。増加の要因も社会増加(県外からの転入や外国人人口の増加)がほとんどで、出生率増加による人口増が見られるのは沖縄だけだ。
東京集中の構図は相変わらず(画像は統計局「人口推計」ページより)
一方の減少率は1%を超える県が40道府県中5県あり、どこも自然減少・社会減少と出生率の低下と人の流出が進んでいる状態。改めて言うまでもないが、少子高齢化が進み、全国的には人口減少傾向が進んでいる。
自然増加は沖縄のみという状態に(画像は統計局「人口推計」ページより)
ここで日本の人口推移を憂いても仕方がない。Jタウンネットが注目してみたのは、隣り合う県の人口推移だ。例えば群馬と栃木の人口を見ると、群馬196万人(増減率順位16位)に対し、栃木195万7000人(増減率順位19位)。3000人という(人口的には恐らく)僅差で群馬が多い。
隣り合うだけあって、人口でほのかなライバル意識があるのか、4月20日付の群馬の地方新聞、上毛新聞は「2年連続で栃木を上回り、差が3000人に広がった」と報道。
「1度は栃木県に逆転されたが、16年に再逆転」
として、自県の勝利感を思わせる取り上げ方をしている。ちなみに僅差の要因は外国人労働者数の差では、との推測も紹介されていた。かつて「ぐんまのおみやげ総選挙」に関する記事でコメントをしてくれた、館林市在住の20代男性SさんにJタウンネットが話を聞いたところ、
「別に栃木と人口で張り合っているわけではないですし、数字に意味はないですね。僕の家の周りなんか野生動物と人の数がいい勝負ですよ。それにしても3000人差ですか」
と、ややにやけながら答えてくれた。「熊の数も含めれば、もっと人口が増える」とも話してくれたが、熊は人に含められない。
ちなみに、北関東三県を見てみると、茨城は289万2000人と群馬、栃木を大きく引き離している。同じ関東では埼玉が731万人、千葉は624万6000人と、規模感が急に変わった。100万単位での差がついているが、東京に近づけば人口が多くなるのは必然だろう。
視線を中国地方に移してみると、記者の地元広島は282万9000人、お隣岡山は190万700人、山口県は138万3000人。一応中国地方の雄(?)としての面目は保っているようだ。ただし、前年までは社会増加が続いていたのが、2017年になって社会減少に転じており、人の流出が始まっている。
記者個人の感想レベルの話だが、昔から広島県外志向、もっと言うと中国地方外の大都市志向(それも関西圏より関東圏)が、強いような気がする。現に、記者も上京して仕事をしているわけだ。別に広島に魅力がないわけではなく、なんとなく離れてしまったのだが、今になると妙に懐かしい思いに駆られ、折を見て帰省してはカープの試合を観戦している。
山陰側では鳥取56万5000人、島根が68万5000人と、8万人の差がついている。そもそも面積で島根は鳥取の2倍近くあるので、広さがネックになったと見るべきか。もちろん、面積と人口が単純に比例関係にあるわけではないので、他の要因もあるだろう。ただし、人口推計上では、減少率は共に0.7%台、人口に占める年齢構成や男女比もほぼ同じで、極端な差は見られない。
読者の方々がお住まいの地域の人口は、どのような状況にあるだろうか。