高速道路の加速車線から本線に合流する時、スムーズに車線変更をしてクルマの流れに乗ることができれば、自分だけでなくほかのクルマにもメリットがあります。車線変更はどのタイミングが最適なのでしょうか。

もちろん「十分に加速した時点」

 高速道路のICやSA、PAなどから本線に合流する際、クルマは加速車線で加速し走行車線へ移ります。走行車線を走るクルマのあいだにうまく入れず、合流のタイミングを逃してしまうというのはちょっとした恐怖ですが、ではスムーズに合流するためには加速車線のどのあたりで車線変更するのが良いのでしょうか。それとも、加速車線の終点まで走るべきなのでしょうか。


高速道路のPAから本線への合流地点にある加速車線。写真はイメージ(佐藤 勝撮影)。

 東京都世田谷区の自動車学校、フジドライビングスクールの田中さんに聞いたところ、「十分に加速できた時点」が合流すべきタイミングだといいます。

「教習生には、まず80km/hから100km/h程度まで素早く加速し、それからミラーなどで走行車線のクルマを確認して合流するように教えています。走行車線を流れているクルマはだいたい80km/hから100km/hで走行していますので、それらのクルマと自分のクルマのスピードを合わせた時が最適なタイミングなのです。走行車線のクルマと隣り合ってしまった場合には、残りの加速車線を使って速度を調整して合流します」(フジドライビングスクール 田中さん)

 田中さんによると、運転に慣れない段階で最初からクルマの流れを見てしまうと、気持ちが萎縮して加速が遅れてしまうこともあるといいます。

「十分に加速しないまま走行車線に入ってしまうと、後続のクルマが追いついてきて急ブレーキをかける可能性があります。交通量が多い時はその急ブレーキがさらに後方のクルマに連鎖したり、車線変更でそれを避けようとするクルマが出てきたりして、渋滞発生の原因にもなるのです」(フジドライビングスクール 田中さん)

 逆に、最初からしっかり加速することを意識すれば、ほかのクルマに迷惑をかけずに合流できるということになります。「合流の操作も落ちついてできますし、後続のドライバーにブレーキを踏ませるような心配もなくなります」と、田中さんは話します。

合流地点がすでに渋滞している場合は?

 ただ、高速道路の本線が渋滞し、並んだクルマがノロノロ運転をしている場合は、一見、加速車線のどこでもスピードを調整しながら合流できそうに見えます。この場合はどの位置で合流するのが良いのでしょうか。

「渋滞している場合は、加速車線の終点まで行って合流するように教えています。手前の方で合流しようとすると、後続のクルマが左側から追い越していって、先の方で車列に入ろうとして渋滞がさらに悪化したり、加速車線で渋滞が発生する原因にもなるのです」(フジドライビングスクール 田中さん)

 渋滞の列を目の当たりにすると、人によっては不安を感じて早く列に入ろうとしたり、「前の方から割り込むのは申し訳ない」という心理が働いて、加速車線の途中で合流しようとするケースもあるようですが、「渋滞を悪化させないためにも、加速車線が終わるところで合流するのが最も合理的です」と田中さんは話します。


本線だけでなく加速車線も渋滞している、高速道路の合流地点。写真はイメージ(佐藤 勝撮影)。

 高速道路の合流地点は渋滞が発生しやすい場所のひとつで、その原因の多くは合流してくるクルマと走行車線のクルマとの速度差によるものといわれています。加速車線を上手に使ってスムーズに合流することは、自分だけでなくほかのドライバーや道路交通そのものにもメリットがあるといえそうです。

【写真】合流を「2車線化」で渋滞解消、海老名JCT


海老名JCTでは渋滞の解消を目的に、東名高速から圏央道外回り方面の合流ランプを2車線化している(2017年10月、佐藤 勝撮影)。