スマホカメラ卒業と一眼カメラニーズも満足させるコンパクトデジカメ「LUMIX TX2」の実力はホンモノだ
コンパクトデジタルカメラ(コンパクトデジカメ)は、進化し続けるスマートフォンのカメラ機能によって市場から消えつつある。コンパクトデジカメと比べて画質が今ひとつだったフィーチャーフォン(ガラケー)の頃には考えられなかった現象だ。
手軽に大画面で撮影できるスマートフォンのカメラは、自撮りをはじめとする新たな写真文化を掘り起こしたと言っても良いだろう。
こうしたカメラ機能の急速な進化の背景には、スマートフォン本体の性能が頭打ちになってきていることがある。
スマートフォンの訴求ポイントを、性能やネット機能では差別化できなくなった今、カメラ機能の進化で訴求せざるをえなかった。
このスマートフォンの訴求ポイントの変更と、SNS用途やセルフィーをはじめとするカメラ機能に対する市場ニーズが合致したことで、カメラ機能の進化に拍車がかかったというわけだ。
その進化を表すものとしては、初期段階では画素数の数字がそれを担っていた。
数字が大きい高画素ほど高画質であると訴求していたわけだ。
最近では高画素化に代わって、複数のカメラが訴求ポイントになっている。複数のカメラによる
・ボケ効果など、多彩な撮影機能
・ズームでの画質の向上
などが挙げられる。
今後は、複数カメラだけでなく、AIの採用など、ユーザーニーズに合わせた進化をしていくのだろう。
さて現在、市場が縮小傾向にあるコンパクトデジカメはどうなっているのだろうか?
家電量販店の店頭には、
・望遠撮影を得意とする高倍率ズームデジカメ
・ハイエンドな高級デジカメ
・アクションカムや350°カメラなどの特徴的なデジカメ
が並んでいる。
以前、店頭に並んでいたのは、1万円台の低価格なコンパクトデジカメだった。
そうした低価格なデジタルカメラは、大幅に縮小している。
デジタルカメラの薄利多売のシステムは終焉を迎え、ユーザーニーズに合わせた専門的なカメラが台頭しているのだ。
特に最近は、スマートフォンのカメラに不満を持つ層が、次のステップとしてデジタルカメラを選ぶという傾向があるようだ。
スマートフォンと”写真”という文化で繋がりをもつデジタルカメラにとってこれは追い風になる可能性がある。
そこで今回は、パナソニックが3月15日に発売したコンパクトデジカメ最新モデル「LUMIX DC-TX2」(以下、TX2)について取り上げてみたい。
TX2は、高級コンパクトデジカメのカテゴリーに位置する製品だ。
写真好きなユーザーニーズを追求したいわゆる全部入りカメラとして魅力的なモデルである。
高性能、多機能ながら、横幅約111.2mm、高さ約66.4mm、奥行約45.2mm、質量約340gで手のひらに収まるサイズ感を実現している。
TX2は、スマートフォンに搭載するイメージセンサーより大きい2010万画素、1.0型高感度MOSセンサーを搭載する。
このセンサーによってスマートフォンとは、次元の異なる高画質と高感度撮影を実現している。
<広角は35mm判換算24mm>
<望遠は、35mm判換算360mmの超望遠撮影が可能>
そして特徴的な機能が35mm判換算24-360mm相当の光学15倍ズームを搭載していることだ。
スマートフォンの場合、2倍相当の光学ズームを搭載するモデルはあるが、これは少し離れた被写体が大きく撮れる程度のものだ。
Wカメラを活用してデジタルズームで10倍ズームを実現するモデルもあるのだが、画質は著しく劣化してしまう。
TX2は、高性能なイメージセンサーと高倍率ズームで、スマートフォンでは撮影できないシーンに対応すると言うわけである。
そしてTX2のレンズは、ライカの冠を持つ「LEICA DC VARIO-ELMAR」レンズを採用している。
望遠レンズでは、特に光学的な補正が必要となるのだが、このレンズは非球面/EDレンズを1枚、非球面レンズが5枚、EDレンズを3枚使用し、高画質にこだわっている。
高倍率ズームの場合、超望遠での撮影時に気になるのがAF性能と、撮影時のレスポンスだ。
AFが迷ったり、シャッターボタンを押してワンテンポ遅れて撮影されたりすると、シャッターチャンスを逃しかねないからだ。
パナソニックのデジタルカメラは、ミラーレス一眼カメラに搭載する空間認識技術「DFD(Depth From Defocus)」による高速オートフォーカス技術がある。
取得したボケの量で被写体の位置を判断し、レンズを駆動するというものだ。
従来のコントラストオートフォーカスでは、被写体の距離がわからないためレンズを前後に駆動し、被写体のコントラストが高くなるところを検索する。
そのため数回ピンボケを繰り返した後にピントが合焦するという動作となる。
これは、望遠撮影時には手ブレも相まって高いコントラストとなる状態を見つけることが難しくなり、散々迷った挙げ句ピントがあわないという事態も起きてしまっていた。
もちろんDFDも、目的の距離までレンズを駆動した後、最後の微調整にコントラストオートフォーカスを使用するのだが、最後の答え合わせのようなものなので、迷わずピントが合うと言う仕組みである。
<CP+2018では、前後に動く被写体を追い続けるDFDデモンストレーションが行われていた>
<DFDの動作をイメージ化したデモでは、ピントが合った位置(緑)から奥に行けば行くほど黄色から赤へ、逆に手前は水色から青へ変化し、カメラが捉えた映像から空間上の距離を認識していることを説明していた>
TX2は、このDFD技術も搭載しており、超望遠撮影も高速オートフォーカスで快適にピント合わせができる。このほか、イメージセンサー内部に専用のオートフォーカス用のセンサー(像面位相差)を必要としないため、画質的にも大きなメリットをもたらす。
DFDの面白いところは、ピントが合った位置から被写体が手前か奥に移動したことによるピンボケ状態からでも距離で把握しているため、そこに向けてレンズを駆動することができる。
こうすることで、イメージセンサーからの情報だけで動体追従オートフォーカスを実現しているのだ。
さらに高速オートフォーカスによって、被写体を追い続けながら秒間6コマの連写が可能なのである。
なお、TX2の画面上ではJPEGの連続撮影枚数が最大78枚と表示されるが、高速なSDカードを利用することで78枚以上も軽く撮影することができる。
さらに、ファイルサイズが大きなRAWデータでも30枚の連続撮影が可能であり、これは中級のデジタル一眼レフカメラをも凌駕する連続撮影の機能なのである。
つまり、
・瞬時にオートフォーカスが合い
・最速の撮影レスポンス
・次々連写しても待ち時間がない
撮影が気持ち良い”カメラに仕上げていると言うわけだ。
手ぶれ補正も強力で、超望遠撮影時でも画面がピタッと止まりブレのない撮影が可能である。
こうして撮影した写真は、スマートフォン用の「Panasonic Image App」アプリでスマートフォンに簡単に送ることができる。
TX2とスマートフォンとの接続は消費電力の少ないBluetoothでペアリングし、写真の転送はWi-Fiで送ることができる。
アプリ上からTX2で撮影した写真を選んで転送することも可能だが、TX2で撮った写真を自動で転送することもできる。
転送は、写真のサイズによってかかる時間が異なる。
例えば、
SNSへの共有が主な使い方ならSサイズを選んでおけば転送時間の短縮にもつながるだけでなく、リサイズの手間も省けて一石二鳥だ。
TX2で撮って、すぐにスマートフォンからSNSやチャットアプリで共有することができるため、まるでTX2がスマートフォンのカメラ機能のように利用できるのだ。
ただし、Bluetooth接続は上手く行くのだが、Wi-Fiによる転送が上手く行かないことも稀にあった。
スマートフォン側は、カメラ接続以外にも様々な機能が動作しており、直前に行った操作など様々な要因がありこうしたことも起きてしまう。なお、こうしたケースは、アプリの再起動やカメラとの再接続で回避できた。
<良いと思った景色も、スマートフォンでただ撮っただけでは雑然とした写真になってしまう>
<同じ位置からTX2の超望遠レンズで風景を切り取って、すぐにSNSに共有可能だ>
<イメージセンサーが大きいこと、そして超望遠レンズの組み合わせで背景をぼかした撮影も可能だ>
TX2は、動画機能も強力だ。
・FHD(1920×1080ドット)が約30分
・4K(3840×2160ドット)が最大15分
の連続撮影が可能だ。
5軸ハイブリッド手ぶれ補正によって手持ちでもブレの少ない動画撮影ができることが魅力であると感じた。
TX2は、スマートフォンのカメラだけでは実現できない、
・望遠撮影
・高速レンスポンス
・連写
・手ぶれ補正
・多彩な撮影モード
・コンパクトボディ
・安定した動画撮影
これらが可能であり、全方位をカバーするステップアップの方向性により、満足度が高いモデルである。
TX2は、普段使いに、そして旅行にも、これ1台で事足りてしまう。
唯一の弱点は、背面液晶モニターが可動式ではないことだ。
そのため、セルフィー撮影が苦手といった点だ。
とはいえ、顔認識オートフォーカスが実装されているため、構図の確認はできないがシャッターボタンを押すだけで顔にピントがあった写真撮影は可能である。
TX2が持つコンパクトデジカメとは侮れないレスポンスの良さは、スマートフォンのカメラに満足できないユーザーだけでなく、一眼カメラユーザーにもオススメのカメラと言える。
執筆 mi2_303
手軽に大画面で撮影できるスマートフォンのカメラは、自撮りをはじめとする新たな写真文化を掘り起こしたと言っても良いだろう。
こうしたカメラ機能の急速な進化の背景には、スマートフォン本体の性能が頭打ちになってきていることがある。
スマートフォンの訴求ポイントを、性能やネット機能では差別化できなくなった今、カメラ機能の進化で訴求せざるをえなかった。
このスマートフォンの訴求ポイントの変更と、SNS用途やセルフィーをはじめとするカメラ機能に対する市場ニーズが合致したことで、カメラ機能の進化に拍車がかかったというわけだ。
その進化を表すものとしては、初期段階では画素数の数字がそれを担っていた。
数字が大きい高画素ほど高画質であると訴求していたわけだ。
最近では高画素化に代わって、複数のカメラが訴求ポイントになっている。複数のカメラによる
・ボケ効果など、多彩な撮影機能
・ズームでの画質の向上
などが挙げられる。
今後は、複数カメラだけでなく、AIの採用など、ユーザーニーズに合わせた進化をしていくのだろう。
さて現在、市場が縮小傾向にあるコンパクトデジカメはどうなっているのだろうか?
家電量販店の店頭には、
・望遠撮影を得意とする高倍率ズームデジカメ
・ハイエンドな高級デジカメ
・アクションカムや350°カメラなどの特徴的なデジカメ
が並んでいる。
以前、店頭に並んでいたのは、1万円台の低価格なコンパクトデジカメだった。
そうした低価格なデジタルカメラは、大幅に縮小している。
デジタルカメラの薄利多売のシステムは終焉を迎え、ユーザーニーズに合わせた専門的なカメラが台頭しているのだ。
特に最近は、スマートフォンのカメラに不満を持つ層が、次のステップとしてデジタルカメラを選ぶという傾向があるようだ。
スマートフォンと”写真”という文化で繋がりをもつデジタルカメラにとってこれは追い風になる可能性がある。
そこで今回は、パナソニックが3月15日に発売したコンパクトデジカメ最新モデル「LUMIX DC-TX2」(以下、TX2)について取り上げてみたい。
TX2は、高級コンパクトデジカメのカテゴリーに位置する製品だ。
写真好きなユーザーニーズを追求したいわゆる全部入りカメラとして魅力的なモデルである。
高性能、多機能ながら、横幅約111.2mm、高さ約66.4mm、奥行約45.2mm、質量約340gで手のひらに収まるサイズ感を実現している。
TX2は、スマートフォンに搭載するイメージセンサーより大きい2010万画素、1.0型高感度MOSセンサーを搭載する。
このセンサーによってスマートフォンとは、次元の異なる高画質と高感度撮影を実現している。
<広角は35mm判換算24mm>
<望遠は、35mm判換算360mmの超望遠撮影が可能>
そして特徴的な機能が35mm判換算24-360mm相当の光学15倍ズームを搭載していることだ。
スマートフォンの場合、2倍相当の光学ズームを搭載するモデルはあるが、これは少し離れた被写体が大きく撮れる程度のものだ。
Wカメラを活用してデジタルズームで10倍ズームを実現するモデルもあるのだが、画質は著しく劣化してしまう。
TX2は、高性能なイメージセンサーと高倍率ズームで、スマートフォンでは撮影できないシーンに対応すると言うわけである。
そしてTX2のレンズは、ライカの冠を持つ「LEICA DC VARIO-ELMAR」レンズを採用している。
望遠レンズでは、特に光学的な補正が必要となるのだが、このレンズは非球面/EDレンズを1枚、非球面レンズが5枚、EDレンズを3枚使用し、高画質にこだわっている。
高倍率ズームの場合、超望遠での撮影時に気になるのがAF性能と、撮影時のレスポンスだ。
AFが迷ったり、シャッターボタンを押してワンテンポ遅れて撮影されたりすると、シャッターチャンスを逃しかねないからだ。
パナソニックのデジタルカメラは、ミラーレス一眼カメラに搭載する空間認識技術「DFD(Depth From Defocus)」による高速オートフォーカス技術がある。
取得したボケの量で被写体の位置を判断し、レンズを駆動するというものだ。
従来のコントラストオートフォーカスでは、被写体の距離がわからないためレンズを前後に駆動し、被写体のコントラストが高くなるところを検索する。
そのため数回ピンボケを繰り返した後にピントが合焦するという動作となる。
これは、望遠撮影時には手ブレも相まって高いコントラストとなる状態を見つけることが難しくなり、散々迷った挙げ句ピントがあわないという事態も起きてしまっていた。
もちろんDFDも、目的の距離までレンズを駆動した後、最後の微調整にコントラストオートフォーカスを使用するのだが、最後の答え合わせのようなものなので、迷わずピントが合うと言う仕組みである。
<CP+2018では、前後に動く被写体を追い続けるDFDデモンストレーションが行われていた>
<DFDの動作をイメージ化したデモでは、ピントが合った位置(緑)から奥に行けば行くほど黄色から赤へ、逆に手前は水色から青へ変化し、カメラが捉えた映像から空間上の距離を認識していることを説明していた>
TX2は、このDFD技術も搭載しており、超望遠撮影も高速オートフォーカスで快適にピント合わせができる。このほか、イメージセンサー内部に専用のオートフォーカス用のセンサー(像面位相差)を必要としないため、画質的にも大きなメリットをもたらす。
DFDの面白いところは、ピントが合った位置から被写体が手前か奥に移動したことによるピンボケ状態からでも距離で把握しているため、そこに向けてレンズを駆動することができる。
こうすることで、イメージセンサーからの情報だけで動体追従オートフォーカスを実現しているのだ。
さらに高速オートフォーカスによって、被写体を追い続けながら秒間6コマの連写が可能なのである。
なお、TX2の画面上ではJPEGの連続撮影枚数が最大78枚と表示されるが、高速なSDカードを利用することで78枚以上も軽く撮影することができる。
さらに、ファイルサイズが大きなRAWデータでも30枚の連続撮影が可能であり、これは中級のデジタル一眼レフカメラをも凌駕する連続撮影の機能なのである。
つまり、
・瞬時にオートフォーカスが合い
・最速の撮影レスポンス
・次々連写しても待ち時間がない
撮影が気持ち良い”カメラに仕上げていると言うわけだ。
手ぶれ補正も強力で、超望遠撮影時でも画面がピタッと止まりブレのない撮影が可能である。
こうして撮影した写真は、スマートフォン用の「Panasonic Image App」アプリでスマートフォンに簡単に送ることができる。
TX2とスマートフォンとの接続は消費電力の少ないBluetoothでペアリングし、写真の転送はWi-Fiで送ることができる。
アプリ上からTX2で撮影した写真を選んで転送することも可能だが、TX2で撮った写真を自動で転送することもできる。
転送は、写真のサイズによってかかる時間が異なる。
例えば、
SNSへの共有が主な使い方ならSサイズを選んでおけば転送時間の短縮にもつながるだけでなく、リサイズの手間も省けて一石二鳥だ。
TX2で撮って、すぐにスマートフォンからSNSやチャットアプリで共有することができるため、まるでTX2がスマートフォンのカメラ機能のように利用できるのだ。
ただし、Bluetooth接続は上手く行くのだが、Wi-Fiによる転送が上手く行かないことも稀にあった。
スマートフォン側は、カメラ接続以外にも様々な機能が動作しており、直前に行った操作など様々な要因がありこうしたことも起きてしまう。なお、こうしたケースは、アプリの再起動やカメラとの再接続で回避できた。
<良いと思った景色も、スマートフォンでただ撮っただけでは雑然とした写真になってしまう>
<同じ位置からTX2の超望遠レンズで風景を切り取って、すぐにSNSに共有可能だ>
<イメージセンサーが大きいこと、そして超望遠レンズの組み合わせで背景をぼかした撮影も可能だ>
TX2は、動画機能も強力だ。
・FHD(1920×1080ドット)が約30分
・4K(3840×2160ドット)が最大15分
の連続撮影が可能だ。
5軸ハイブリッド手ぶれ補正によって手持ちでもブレの少ない動画撮影ができることが魅力であると感じた。
TX2は、スマートフォンのカメラだけでは実現できない、
・望遠撮影
・高速レンスポンス
・連写
・手ぶれ補正
・多彩な撮影モード
・コンパクトボディ
・安定した動画撮影
これらが可能であり、全方位をカバーするステップアップの方向性により、満足度が高いモデルである。
TX2は、普段使いに、そして旅行にも、これ1台で事足りてしまう。
唯一の弱点は、背面液晶モニターが可動式ではないことだ。
そのため、セルフィー撮影が苦手といった点だ。
とはいえ、顔認識オートフォーカスが実装されているため、構図の確認はできないがシャッターボタンを押すだけで顔にピントがあった写真撮影は可能である。
TX2が持つコンパクトデジカメとは侮れないレスポンスの良さは、スマートフォンのカメラに満足できないユーザーだけでなく、一眼カメラユーザーにもオススメのカメラと言える。
執筆 mi2_303