日本代表に半年ぶりの復帰を果たしたメキシコ1部パチューカFW本田圭佑【写真:Getty Images】

写真拡大

元イタリア代表の名手を引き合いに、自らのプレースタイル論に言及

 日本代表に半年ぶりの復帰を果たしたメキシコ1部パチューカFW本田圭佑は、「晩年の選手で、これだけ“個”に集中している選手はいない」とアタッカーとして31歳の今も成長を追求している。

 その一方で、「本来はピルロみたいなのを目指せよという感じなんですけど……」と、元イタリア代表の名手を引き合いに自らのプレースタイル論を語った。

 昨夏ACミランとの契約が満了となり、新天地のメキシコに渡った本田は、怪我の影響で序盤戦こそ出遅れたが戦列復帰後は徐々に順応。今年1月からのメキシコ後期リーグでは12試合に出場し、4ゴール6アシストと出色のパフォーマンスを見せつけており、パチューカに欠かせない得点源となっている。

 本田のアタッカー化は年齢を追うごとに先鋭化しているようだ。本田は「晩年の選手が、これだけ“個”に集中し始めている頭のいかれた選手も今までたぶんいない。そして日本だけじゃなく、世界的に見てもいない。だから面白い」と自らの歩みを俯瞰している。

「本来であれば……」と本田が例に挙げたのは、元イタリア代表MFアンドレア・ピルロだ。「ボランチで捌くようなピルロみたいなのを目指せよという感じ」と、自らのスタイルを客観視しているという。ピルロは正確なキックや卓越した戦術眼を備え、中盤の底から長短織り交ぜたパスで攻撃を構築するレジスタとして活躍した。

苦境に直面しながら屈しない男の原動力

 本田の頭の中には、目指すべきスタイルとしてピルロという選択肢もあったことを匂わせている。少なくとも本田は、自身のプレースタイルや年齢などを踏まえて、“ピルロ・スタイル”が一つの可能性であることを示唆した。だが本田はそうせず、あえて避けた節さえある。「常に真逆を行ってきた」という哲学がそうさせているのだろう。

 現在の本田が追求しているのは、純然たるアタッカーとしての成長だ。本田は自身を“晩年の選手”としながら、そんな選手が“個”に執着し、アタッカーとしての能力を今も高めようと奮闘すること自体が珍しいと主張。「足が遅いけど、1対1の成長をもっと促していくスタイル。そんな10年間を歩んできた気もする」と“真逆スタイル”を貫いてきた強烈な自負が本田の根底にある。

「改めて面白い挑戦をしてきたと思っているし、もっと面白い挑戦をせなあかんなと思っている」

 真逆を行く男――本田圭佑。苦境に直面しても屈しない男の原動力がそこにある。(大木 勇(Football ZONE web編集部) / Isamu Oki)