「計算時給が4000円以上」トップ10

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最も時給が高かった三菱商事のビル。時給は7000円以上になる (撮影:梅谷秀司)

大学生がアルバイトを探す際、必ず見るであろう「時給」。では、正社員として入社した会社の平均時給は、いくらになるのだろうか――。


​今回、『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2018年版に記載の各社の平均年収を、残業時間を含む年間の総労働時間(平均)で割り、「時給」に換算した。そのうち「時給4000円以上」の会社146社をランキング。従業員に対して高い時給を払える会社は、高付加価値のビジネスを行っているとも言える。就職シーズン真っ只中だが、ランキング掲載会社は就職先候補としても有望だ。

1位は総合商社の三菱商事で時給7139.2円だ。2016年度の平均年収は1386.3万円で、総労働時間は1941.8時間。同社は上場企業の中でも高収入企業として有名である。社員の平均年齢は42.5歳のため、ほぼこのあたりの年齢の時給と考えてよいだろう。

1位の三菱商事は時給7139円の魅力

教育制度も幅広い。自由応募形式の無料講座や資格取得の受講料一部支援、国内・海外留学制度といったさまざまな研修制度が用意されている。さらに社内公募制度やFA制度などもある。一般的に総合商社は激務のイメージが強いが、近年は有給休暇取得率が向上しており、育児や介護との両立支援を含む、ワーク・ライフ・バランスの面での整備が進む。

同社は幅広いステークホルダーに配慮しながらビジネスを行うCSR面でも先進企業だ。最新の「CSR企業ランキング2018年版」では、総合商社が含まれる卸売業のトップ。各種データを見ても魅力的な職場環境に映る。

しかし、2014年4月の新卒入社212人のうち3年後の2017年4月に残っているのは、202人と10人が辞めている。別の進路が見つかったのかなど理由は不明だが、「もったいない」と思う就活生も少なくないだろう。

2位は同じく総合商社の伊藤忠商事で時給6678.9円。平均年収は1383.9万円と1位の三菱商事とほぼ同じ水準だが、総労働時間が2072時間と多く時給は少し差が出た。

同社も教育体制は充実している。簿記、ビジネス実務法務検定、TOEIC、特殊外国語修得などの取得奨励制度、入社後8年目までに中国をはじめとする新興国の大学もしくは語学教育機関に4〜6カ月派遣、といった魅力的な制度が目白押しである。

残業は20時以降原則禁止で22時以降禁止、朝5〜9時の割増賃金支給、8時前始業社員への軽食支給と、まさに「働き方改革」が進行している。働きやすい会社としての評価も急上昇。ちなみに、2014年新卒入社135人のうち、3年以内に辞めた社員は9人だった。どれだけ恵まれた職場でも新卒時のミスマッチは一定数あるようだ。

3位はビル管理のヒューリックで6438.1円である。年収1418.5万円に対し、総労働時間2203.2時間となっている。

宅地建物取引士、一級建築士、不動産鑑定士などの資格取得のための社外講習費用、受験料、登録・更新料全額を会社が負担。国内の大学院の社会人向けMBAコースへの派遣や海外留学制度など教育体制は充実している。週1回以上のノー残業デー設定、非効率業務や会議の削減など、長時間労働の改善にも力を入れる。

5大総合商社はすべてトップ10に

以下、4位丸紅6427.6円、5位三井物産6407.1円、6位住友商事6376.8円までが、総合商社だ。7位は医薬品の第一三共6110.6円、8位はITの日本オラクル5937.1円と続く。

『CSR企業総覧』回答企業の平均値は、年収635.6万円、年間総労働時間1987.7時間で、これを時給計算すると3197.4円になる。国税庁「平成28年分民間給与実態統計調査」によると、2016年の正規雇用の平均給与(年収)は486.9万円。年間総労働時間を回答企業平均値と同じ1987.7時間で計算すると、時給は2449.6円になる。これを見ると、今回対象の時給4000円以上は、かなり高い水準であることがわかる。

時給換算の高い会社は、事業活動で高い付加価値が得られているため、一般的に教育システムや福利厚生も充実している。さまざまな社内の制度を利用でき、能力を高めるチャンスが多い。もちろん、若いうちはこのランキングの賃金水準よりは低くなるが、それでも世間一般に比べれば、高いレベルなのは間違いない。

こうした職場に身を置き、会社をいい意味で利用し、自分自身のレベルアップにつなげていくという、キャリアの積み方もある。ただし、有名・人気企業がズラリと並んでおり、売り手市場の年とはいえ、就職試験の倍率はいずれも非常に高くなることは覚悟しておいたほうがよさそうだ。