CBS MarketWatchによると、ダラス地区連銀のリチャード・フィッシャー総裁ら3地区の連銀総裁は4日、全米各地で講演し、米メキシコ湾岸に甚大な被害をもたらしたハリケーン「カトリーナ」と「リタ」の米経済への影響について、米経済にとっての最大の脅威はインフレ率の上昇だ、と述べた。

　　まず、フィッシャー総裁は同日、ダラス商工会議所の会合で講演し、「インフレ率はFRB（米連邦準備制度理事会）の許容範囲の上限にあり、下がる傾向を見せていない」と述べた。同総裁はまた、企業がハリケーン被害後に急騰したエネルギーコストを消費者に転嫁しようとしていると指摘した。

　　また、フィラデルフィア地区連銀のアンソニー・サントメロ総裁は同日、ペンシルベニア州のライカミング大学で講演し、「FRBは、循環的な価格上昇圧力を抑制し、一時的なエネルギー価格の上昇が長期化することがないよう、金融政策を現在のやや緩和的なスタンスから、より中立的なスタンスになるよう政策を継続する必要がある」と述べ、FRBによる利上げの継続の必要性を示した。さらに、セントルイス地区連銀のウィリアム・プール総裁も同日、講演し、FRBは価格変動が激しいエネルギーや食料品を除いたコア・インフレ率を1-2％の範囲にとどめることを目標にしていると述べた。

　　各地区連銀総裁はまた、ハリケーンの被害を受けたルイジアナ州とミシシッピ州、テキサス州の南部3州の復興費用の捻出で、連邦政府の財政赤字が拡大することに懸念を表明した。フィッシャー総裁は、政府支出が増大すれば、市場金利は自然に上昇して行き、その結果、政府の国債が買われて財政赤字を埋めるというマネータイゼーション（貨幣化）が起きるとした。その上で、FRBはそうした金利の上昇圧力を抑制する政策を取るべきではないと述べた。こうした地区連銀総裁の一連の発言は、他のFRB幹部の、FRBが短期金利の利上げを「measured（徐々にゆっくりとした）」ペースで続けるという最近の発言とも一致しているものだ。【了】