東京都の小池百合子知事が特別顧問を務める「都民ファーストの会」は、7月2日投開票の都議選に向け、先鋭的な受動喫煙対策を打ち出した。公共施設や飲食店の屋内を原則禁煙とするだけでなく、受動喫煙から子どもを守るため、家庭内や自家用車内での喫煙を規制する条例を制定するという。

屋内での原則禁煙を唱える自民、公明、民進、共産各党よりも一歩踏み込んだ形だ。同会の政策顧問である岡本光樹弁護士は、キャリコネニュースの取材に対し「子どもの前で煙草を吸うのは児童虐待になりうる」と語り、「家庭内や自家用車の中での喫煙は控えるのが望ましい」と力説する。

「いずれは自家用車での喫煙に罰則を科すのが望ましい」

現在考えている案では、「学校周辺や小児科周辺、公園や通学路での喫煙も規制する」方針だという。

喫煙所やパチンコ店に子どもを連れ込んでいくことを規制したいと思っています。罰則を付けるのは難しいと思いますので、まずは努力義務を課し、子どもの前での喫煙を控えるよう指導を行えるようにしたいと考えています」

喫煙する保護者への指導は、保育士や幼稚園の先生、小児科医が担うことを想定している。

「保育士や幼稚園の先生が、子どもが煙草臭いと気が付くことがあります。しかし気が付いても『保護者に注意してもいいのだろうか』と躊躇してしまうことがあります。トラブルになっても困りますからね。しかし条例が制定されれば、条例を根拠に注意をすることができます」

屋内の喫煙に罰則を科すことは難しい。しかし車内での喫煙についてはいずれ罰則を科せるようにしたいという。

「車内は範囲が明確ですし、狭く密閉されており煙の濃度が濃くなります。そのため子どもが同乗しているときの喫煙には罰則を科すのが望ましいと思います。オーストラリアやイギリスをはじめとした諸外国ではすでに車内での喫煙が規制されていますよ。条例の場合には、科料を課すことしかできませんが、法律が制定されれば刑事罰を科すこともできるようになります」

「『幸福追求権の侵害』という主張はおかしい」

家庭内や自家用車の中では、何をするのも自由ではないのか。しかし岡本弁護士によると、「法が家庭に介入しないという考え方は古い」という。

「ドメスティック・バイオレンスや児童虐待が問題になってからは、法も家庭に介入していくという流れになっています」

家庭内や車内での喫煙は児童虐待ととらえることもできる。

「受動喫煙の被害を受けた子どもは、乳幼児突然死症候群に5倍かかりやすくなります。喘息を発症する確率も上がります。こうしたことが科学的に証明されていますから、子どもの前で煙草を吸うことは、児童虐待だとも言えるのです」

ネット上では、「『幸福追求権』の侵害ではないのか」といった声も上がるが、岡本弁護士は「子どもを健康被害にあわせてまで煙草を吸うのが幸福ですか?おかしな議論だと思います」と一蹴した。