世界ランク262位に浮上したマリア・シャラポワ【写真:Getty Images】

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世界262位浮上もやまない論争、今度は世界5位ハレプが全仏出場の可能性批判

 ドーピング違反による1年3か月の出場停止処分から復帰したポルシェ・グランプリ(シュツットガルト)で4強入りした元世界ランク1位、マリア・シャラポワ(ロシア)。復活への第一歩を刻み、次は全仏オープン出場に注目が集まっているが、最新のランキングで262位にとどまった30歳が全仏のコートに立つためにはワイルドカード(主催者推薦)が必要となる。しかし、ライバル選手から「ドーピングを行った選手にワイルドカードを与えることは許されてはならない」と反発の声が上がっていると海外メディアが報じた。

 米テニス専門誌「Tennis」電子版では、ポルシェGPで決勝進出すれば、世界ランク175〜180位まで上昇するとみられていたが、準決勝で敗れたことで250位にも到達することができなかったと記述。全仏オープンの出場権は今週発表の世界ランクを元に決定され、200位以内の選手が大抵の場合出場権を得ると説明しており、この結果、同大会に出場するにはワイルドカードが必要になった。

 米スポーツ専門テレビ局「ESPN」は「シュツットガルトでの結果はマリア・シャラポワ論争の火消しとはならない」との見出しで特集。フランステニス連盟は禁止薬物を使用した選手がワイルドカードを得ることに関して見解を示しておらず、連盟は16日にFacebookのライブ配信で決断を明らかにする予定だとしている。

 だが、選手からは反発の声が上がっている。同記事では、世界ランク5位のシモナ・ハレプ(ルーマニア)がシュツットガルトで語った見解を紹介した。

「子供たちのために、若い選手のために、ドーピングを行った選手にワイルドカードを与えることは許されてはならない。マリア・シャラポワだけに限った話ではなく、ドーピングがこれまでに発覚した全選手に関して」

 このように批判し、ドーピングが発覚したシャラポワが全仏の舞台に立つことに否定的な考えを持っている。

シャラポワはグランドスラムだけにこだわらず「マドリッドもローマも重要」

 ただ、「Tennis」によれば、批判が付いて回るシャラポワだが、メジャー大会出場だけを見据えているわけではないという。

 シャラポワは今後、マドリッド、ローマの大会にもワイルドカードで出場予定で、この2試合の結果がウィンブルドン出場を左右することになると説明。マドリッドで準決勝に進出すると350ポイント、ローマで準決勝に進出すると300ポイントが得られ、この2つを合算すると世界ランクは104〜112位まで上昇することが見込まれるが、この結果はウィンブルドン出場の可能性を高めることになるという。

 しかし、シャラポワ自身は「現時点ではマドリッドもローマも、グランドスラムと同じくらい重要だと思っています。こういった戦いをこなしていくことが今の私には必要なんです」とグランドスラムだけにこだわらず、実戦の場を積んでいくことの重要性を強調した。

 ドーピング違反が発覚する前にはグランドスラム5勝を挙げているロシアの妖精。うち2勝を全仏でマークしているが、ワイルドカードで得意の舞台に立つことはできるのか。賛否の声が上がっている今後の動向が注目される。