JVCケンウッドは、JVCブランドのコンポーネントオーディオシステム「EX-NW1」を2016年12月中旬より発売する。特にスピーカーは、ウッドコーンスピーカー史上最小クラスとなる名刺サイズを実現しており、机上でもコンパクトに設置できるデスクトップオーディオ製品となっている。価格は65,000円(税別)。

JVCブランドの「EX-NW1」

CDより横幅が小さいフルデジタル処理のアンプ

デスクトップオーディオに最適化した、高音質かつコンパクトな設計の「EX-NW1」は、ステレオスピーカーとアンプ内蔵のメインユニットで構成された、コンポーネントオーディオシステム。最大出力は10W+10W(JEITA 4Ω)。入力端子は、前面のUSB-A(USBメモリー用)と、背面のUSB-B(パソコン接続用)に加えて、光デジタル(角型)やアナログ(ステレオミニ)も装備。USB経由なら192kHz/24bitまで対応する。再生可能ファイルは、FLAC、WAV、MP3、WMAで、DSDには非対応。また、ワイヤレス接続としてBluetooth 2.1+EDRもサポート。対応プロファイルはA2DPで、再生コーデックはSBC/AVRCP。NFCを搭載しておりペアリングも簡単に行える。

CDドライブを省いたメインユニットは、110(幅)×51(高さ)×182(奥行)mmと超小型。重量も425gで、手で簡単に持ち運びできてしまうほどのコンパクトボディを実現している。

音質面では、独自のデジタルアンプに加えて、入力段からスピーカー出力までフルデジタル処理できる回路設計となっており、音質の劣化を最小限に留めた。また、オーディオ用の電解コンデンサーを使うなどして高域の伸びをよくしているほか、銅メッキネジや異種金属ワッシャーなど、部品レベルでの振動対策も行われている。

なお、前面にはヘッドホン端子も搭載。スピーカー出力と独立させることで、高性能なヘッドホンアンプとしても使用可能だ。

500mlのペットボトルより軽いボディのため、手で簡単に持ち運びできる。手に持った瞬間あまりの軽さに驚いた

幅110mmのボディの裏面には、スピーカー出力端子のほか、USB-A、USB-B、光デジタル、アナログオーディオの各入力端子がまとめられている

名刺サイズのマイクロウッドコーンスピーカー

本機は前述の通り、スピーカーにもウッドコーン史上最小クラスとなる、本体サイズ76(幅)×131(高さ)×110(奥行)mmのフルレンジスピーカーを採用。キャビネット前面部の面積はなんと名刺サイズという小ささ。

ドライバーユニットは、直径30mmのフルレンジ凹型ウッドドーム振動板を採用。ボイスコイルの前後のストロークを保持するダンパーは、従来のコルゲーションタイプから蝶型に切り替えることでリニアリティを向上させた。さらに低音域にはあえてパッシブラジエーター方式を採用することにより、バスレフ方式で発生しやすいダクト(ポート)からの風切り音ノイズを低減している。

新規凹型ウッドドーム振動板を採用したドライバーユニット

新規凹型ウッドドーム振動板を採用したドライバーユニット

直径30mmのフルレンジの凹型ウッドドームドライバー。親指のサイズと見比べてみると極めてコンパクトになっていることがわかる。内部が見えるようになっている左側のドライバーでは、フィルム状の蝶型ダンパーが確認できる

また、小型ドライバーの駆動力を補うために、エンクロジャーの響きを最大限利用する内部デザインもポイント。従来のウッドコーンスピーカーで採用された熟成スプルース響棒に加えて、今回のモデルでは新たに熟成チェリー響棒も追加。これによりスピーカー面より後ろに定位しやすい小型スピーカーの音像を前側に出させるという。響棒の組み合わせるサイズ比率で音質が変化するため、1mm刻みで音質検討を重ねて仕上げたとのことだ。また、ドライバーユニット後部にはメイプルウッドブロックを貼り付け。不要振動を抑えるとともに、解像度や空間表現の向上にも貢献しているという。

従来のウッドコーンスピーカーで採用された熟成スプルース響棒に加えて、今回のモデルでは新たに熟成チェリー響棒も追加されている

そのほか、吸音素材としてメイプルチップを採用するほか、スピーカー本体を支える専用の傾斜スタンドを標準で採用。スタンドにも、重心バランスを整える真鍮製のおもり、金属特有の共振音低減のためのポロン材ドーナツリング、竹響棒、銅製ワッシャー、ステンレス製ネジなど、多用な素材を併用することで音質に磨きをかけた。

傾斜のついた専用スタンド。ドライバーユニット後部にはメイプルブロックが貼り付けられている

傾斜のついた専用スタンド。ドライバーユニット後部にはメイプルブロックが貼り付けられている

スタンド底面には、重心バランスを整える真鍮製のおもり、金属特有の共振音低減のためのポロン材ドーナツリング、竹響棒などが設けられている

なお、本モデルのマイクロウッドコーンスピーカーはハイレゾ再生対応品ではない。けれども実際にハイレゾ音源(96kHz/24bit)とCD音源(44.1kHz/16bit)を聴き比べてみると、その違いを十分実感できるレベルで再生できている。

普段から音楽制作現場でウッドコーンスピーカーを使用しているビクタースタジオのスタッフによると、「小口径のフルレンジドライバーのため不得意なこともあるが、それでもハイレゾ音源を十分楽しめる能力を持っている」とアピールした。

ちなみに、マイクロウッドコーンスピーカーの単品販売は現時点では予定していないとのこと。また、メインユニットのアンプは、同時に発表されたケンウッドブランドの「KA-NA7」をベースに開発されたものとなっており、基本的な仕様は共通だが、こちらには銅メッキネジや異種金属ワッシャーなどの振動対策は施されていない。音質のチューニングも異なるとのことだ。こちらの単体価格は38,000円(税別)だ。

ケンウッドブランドの「KA-NA7」

ケンウッドブランドの「KA-NA7」


>> JVC、デスクトップサイズの小型コンポ「EX-NW1」を12月中旬より発売! の元記事はこちら