TOEICスコア別「1週間で1000語」英単語をラクに覚えるコツ
■TOEICの人気講師がアドバイス
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企業研修トレーナー。元国際基督教大学専任講師。TOEICテスト対策のエキスパートで、講演は年間約250日、著書は90冊以上。中上級者の指導に定評があるが、実は400点以下の初級者に効く処方箋も多い。
大学受験予備校・英語講師。企業での英語指導・講演も多数。2006年以降のTOEICはほぼ毎回受験で満点獲得。英語/TOEICの『世界一わかりやすい』シリーズは、累計50万部以上のベストセラー。
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■単語の知識だけで正答できる問題も
TOEICの勉強は、まず何から手を付ければよいか――この問いに3人の講師は、一致して「単語・文法」を挙げた。そもそも知らない単語ばかりでは、設問文を把握することすらままならない。逆にたとえ全文を完璧に理解できなくても、前後の単語を知っていれば推察で読み解ける余地が生まれようというもの。
さらに言えば、リスニングには聴かなくても、リーディングには読まなくても、単語や文法の知識だけで正解を導ける設問が少なからずある。TOEICはとにかく問題量が多いテストなので、時間配分が勝負を決する。見ただけで答えられれば、その分の時間を他の問題に充てることができる。
必要となる語彙数は目標スコアに比例するが、どのレベルの学習者も次回テスト(1カ月後として)までに1000語の上積みを目指したい。ヤル気があれば1週間で覚えられる量だ。あとは3週間かけて記憶を定着させる作業を繰り返す。
一方、文法については初級レベルで「中学英語」、中級以上でも「高校英語」のおさらいで十分だ。誰もが一度は習ったはずの内容なので、一通りやれば思い出せるだろう。その代わり知識に穴のないよう、しっかりと固めておきたい。文法は基礎中の基礎。ここを疎かにしては、どこかで必ず壁にぶち当たる。侮ってはいけない。
■【初級】現在のスコア400以下
―ロバート・ヒルキ氏がアドバイス
既知の単語を手掛かりに、同義語で増やしていこう!
知っている単語は多いほどいいけど、手当たり次第に覚えていくのは効率が悪い。すでに知っている語を手掛かりにsynonyms(同義語)で増やしていくのがおすすめです。例えば「目標」は“goal”ですが、target、aim、objectiveもほぼ同じ意味で使われます。この4つをまとめて覚えれば別々に暗記するより遥かに少ない労力で済むでしょう。テストでは設問文中にあるキーワードの同義語を選べばそのまま正解という問題もあるから、これは得点に直結する覚え方です。
あとcollocation(連結語)も覚えてほしい。日本で「チャゲ」と言えば「アスカ」がくるように、英語にも必ずセットになる語の組み合わせがあります。not onlyにはbut also、populationの大きさならlargeかsmallであるという具合に。これも知っていれば前後を読まなくても、5秒で正解をマークできます。
【1】同義語辞典はMicrosoft Wordに入っている!
同義語を探すには同義語辞典が便利だが、パソコンに「Word」が入っていれば付属で搭載されている。英単語を入力し右クリックもしくはメニューから類義語辞典を選択すれば、一覧がズラッと出てくる。
【2】『徹底例解ロイヤル英文法改訂新版』
綿貫 陽、須貝猛敏、宮川幸久、高松尚弘著/旺文社
英文法書のベストセラー。ヒルキ氏が40冊以上の参考書を購入し、徹底的に比較検討して「これがベスト」と選んだ名著!
【3】『改訂版TOEIC TEST 英文法出るとこだけ!』
小石裕子著/アルク
初心者向けの内容とボリューム。5日程度で1冊を終えて、スコアアップにも直結する。Part5と6の対策はこれでバッチリ!
■【中級】現在のスコア400-600
―関 正生氏がアドバイス
受験英語は使いものになる。昔の記憶を掘り返せ!
単語は経験上「覚えて→忘れて→思い出す」を1カ月に6回繰り返せば定着します。まずは1日200語ずつを5日間やって1000語を覚えてください。とはいえ最初はうろ覚えで覚えた単語も片っぱしから忘れているはず。そこで6日目からは初日の200語に戻って覚え直します。これを30日間やると計6回繰り返すことになり、目標の1000語が完全に定着します。単語は毎日コツコツ少しずつより、短期間にまとまってドカドカッと覚えるのがよい方法。フレーズで覚えるとか発音を聴きながらなど、いろんなメソッドがありますが「こうじゃなきゃダメ」というのは一切なし。自分に合ったやり方がベストです。
文法は受験英語のメソッドが最も洗練されていると思いますが、項目の優先度は教科書通りではありません。受動態.接続詞.関係詞が最重要。次に形容詞/副詞/分詞/時制/助動詞/仮定法/不定詞を仕上げましょう。動名詞/比較/冠詞/名詞/代名詞/前置詞はTOEICではさほど重要ではないので、後回しにしてOKです。
【1】『総合英語Forest 7th Edition』
石黒昭博監修/桐原書店
文法事項がそれぞれ「基本→理解→詳細」で構成されている。みっちり復習するにも、わからないときに調べるにも使える良書。
【2】『世界一わかりやすいTOEICテストの授業[Part5&6文法]』
関 正生著/KADOKAWA
TOEIC[Part5・6]の疑似問題を解き、解説を読んでいくと基礎となる英文法の知識が身に付く作り。攻略法もばっちり。
【3】『世界一わかりやすいTOEICテストの英単語』
関 正生著/KADOKAWA
覚えやすい構成、短い例文、実践的な訳語にこだわった単語本。記憶のとっかかりになるコメントやビジュアルが助けになる。
■【上級】現在のスコア600-800
―中村澄子氏がアドバイス
マーケティング用語も増加中! 質の高い語彙増強を
私の教室では最初に「1週間で私の単語本を全部覚えてきなさい」と言っています。たかだか1000語覚えるのに特別な方法が要りますか? それはほぼ「覚悟の問題」です。ただし、600点以上の上級者ならすでにある程度の語彙は備えているはず。ならばこの先はやみくもに数だけ増やしてもいけません。めったに使われない語ばかりでは、せっかくの努力がムダになりかねません。できれば単語本は実際のテストで使われた語を、頻出順に潰していけるものがあるといいでしょう。また古くからあるベストセラーより、最新の動向を踏まえた新刊を選びたいところです。
とはいえ、直近のテストでは語彙のレベルもさらに引き上げられており、マーケティングや会計の用語まで出ています。最新の単語本でもそこまでフォローされているかどうかは微妙です。800点以上を狙う人はリーディングの勉強で『THE FINANCIAL TIMES』などを読む中で、重要単語と思われる語を自分でリストアップして覚えていくのがいいでしょう。
【1】『総合英語Forest 7th Edition』(左)
石黒昭博監修/桐原書店
『徹底例解ロイヤル英文法改 訂新版』(右)
綿貫 陽、須貝猛敏、宮川幸久、高松尚弘著/旺文社
TOEIC用と冠した文法書もあるが分詞構文や第5文型を扱ったものがない。大学受験用で定評のあるものを1冊持っておこう。
【2】『TOEICテスト英単語出るのはこれ!』
中村澄子著/講談社
パート別に頻出の単語が1150語網羅されている。例文は短くてわかりやすく、かつ実用的。類語・派生語も十分だ。
【3】『TOEICテストパート5、6出るのはこれ!』
中村澄子著/講談社
Part5・6に出る文法・語彙に絞った一冊。やさしい問題.難しい問題の見分け方、解き方のノウハウを親切に解説してある。
(渡辺一朗=編集・構成 山本祐之=撮影)