広島カープの黒田博樹が引退 著書で明かしていた3年目の「どん底」

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セ・リーグ優勝を果たし、日本シリーズを控える広島東洋カープ。その大黒柱ともいえる黒田博樹投手が10月18日、今季限りでの現役引退を表明した。

2016シーズンは規定投球回に達し、10勝。先発投手として申し分ない働きを見せたが、その一方で身体は満身創痍の状態だったようだ。

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黒田投手は1996年にドラフト2位で入団。2007年シーズンのオフにFA宣言し、メジャーリーグに移籍するが、それまではカープのエースとしてチームを支えていた。

しかし、もちろん最初からエースだったわけではない。

ルーキーイヤーはかろうじて規定投球回に届いたものの、6勝9敗。2年目、3年目は規定回数に届いてもいない。四球の数は投球回数の約半分を数え、「剛球だがコントロールが良くない」というイメージの投手だった。

黒田投手の著書『決めて断つ』(ベストセラーズ刊)にはこんなエピソードが語られている。

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3年目のシーズンとなった1999年7月31日の広島市民球場(旧)での巨人戦。黒田投手は初回に4本のホームランを打たれ、6失点を喫する。

2回もマウンドに上がるが、アウトをひとつも取れずに降板し、満員のファンに無様な姿を晒した。球場から家まで歩いて30分ほどの距離、黒田投手は「本当に死なないと収まりがつかない、ダメだ」と思っていたそうだ。

そんなどん底の状態から這い上がり、カープのエースに育っていった黒田投手。

彼自身の中にあるのは「先輩や同期たちに追いつこう、辿りつこう」という想いだけだったという。そして、ストイックなその姿勢が花を咲かせたのだ。

残す登板は日本シリーズのみとなる。最後にどんなピッチングを見せてくれるのか。カープファンだけでなく、プロ野球ファン全体が注目をする試合になるだろう。

(新刊JP編集部/金井元貴)

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