5倍の部員数に立ち向かい見事な勝利を収めた名護商工

 2015年県春季大会。名護商工は、中部農林との合同チームで出場さぜるを得ないほど、部員数不足に悩まされてきたがその年の4月、一年生14人が新入部員として入ってきた。秋、1勝することは出来たものの2回戦でコールド負け。力不足が否めない感はあったが今年の春、豊見城南を相手に0対2と接戦を演じて自信を掴んだことが、このゲームでも出たのではないだろうか。

 名護商工は2回、振り逃げとレフト前ヒットで無死一・二塁から送りバントを試みるも失敗。だが一死後、二度目の送りバントが相手のエラーを誘い満塁とした。ここで得た、押し出し四球とさらなるエラーでの2得点が、ここまで重いとは、知念ナインは思っていなかったのかもしれない。

 総部員数22人の名護商工に対し、100名を超える大所帯の知念。その中の、選りすぐりの精鋭たちは初回から名護商工に襲いかかる。

 1回と3回の一死二塁、2回の無死一・三塁、4回と5回は二死ながら二塁まで走者を進めるなど、序盤全てのイニングで得点圏にランナーを貯めたが、田港 朝希と花城 滉孝のバッテリーを中心とした名護商工の粘りの前に、どうしても得点することが叶わなかった。

 しかし6回、知念はツーアウトから4番・山城 響が内野安打で出塁すると、続く新垣 太規がライトへ三塁打を放ち1点を返した。だがここで押しきれない。すると名護商工はその裏、四球とヒットなどで一死二・三塁。そして6番・幸地 飛勇磨がライトへ運び、追いすがる知念を再び突き放した。さらに名護商工は7回、無死一塁から1番・渡具 知武史にライト戦をしぶとく破るタイムリー三塁打が生まれ4点目をボードに刻んだ。

 知念は9回、二死ながら二塁へ進めて代打の宮城 隆弥が、ライトへ痛烈な当たりを放ち1点を返す意地を見せたがここまで。最後の打者をショートゴロに斬った田港 朝希が、10安打を浴びながらも2失点完投。要所を締めるピッチングで、チーム3年振りの夏の勝利を手繰り寄せた。

(文=當山 雅通)