プライム（東京都渋谷区）は2016年6月1日、インターネット野菜宅配事業「こころ、かよう。野菜の便り。土佐野菜」をスタートした。コミュニケーションを重視した消費者体験により、単なるネット販売とは一線を画したC to Cのような野菜通販となっている。


「こころ、かよう。野菜の便り。土佐野菜」メインイメージ

同4月に始めた「高知産限定の野菜通販サイト」への反響が想像以上に大きかったため、「こころ、かよう。野菜の便り。土佐野菜」へリブランディングし、本格スタートに至った。

コンセプトは「土佐の婆ちゃんからの野菜の仕送り」。同サイトを通じて注文すると、ダンボールに高知で採れた野菜のほかに、「土佐のお婆ちゃんからの便り」や「土佐野菜を使ったレシピ」「お裾分け」が届く。野菜だけでなく、ダンボールや梱包に使用する材料まですべて高知企業産だ。


まるで「土佐の婆ちゃんからの野菜の仕送り」みたい

同社は「高知の農家さんの収益を2割アップさせたい」という思いから、農家から2割高く買い取る販売ネットワークを構築した。「土佐野菜」を通じて増えた2割分の収益をJAS有機栽培の有償認定申請に充てることで野菜の値段が上がり、同社としても「より良い野菜」を提供することができる。さらに、消費者にとっては良いものが安く手に入り、農家にとっては収益アップにつながり、より良い野菜が作られ、それをまた消費者に提供できる好循環が生まれる。

高知は農環境に恵まれており、農作物に欠かせない要素である水・気温・太陽・雨がいずれも日本トップクラス。日本でも稀有な地理環境で、南側は黒潮が流れる太平洋に囲まれ、北側は森林に覆われる特殊な地形。特に農作物にとって大事な水を作り出す森林の割合が84％と日本一を誇り、きれいで栄養豊富な大小様々な河川によって育まれている。海側の平野の北に広がる森林では、一年中温暖な平野部と寒暖差の激しい山間部の両方で農業が営まれており、旬をずらすことで年間を通して安定的に農作物が収穫できる。

通常、農家と消費者の間にはいくつもの業者を介すが、輸送の時間がかかるため野菜の鮮度が落ちたり、安価に野菜を消費者に届けるため、農家に安い賃金しか払えなかったりする。このプロセスを「土佐野菜」がまとめることで、通常配送に収穫してから3、4日かかるところを翌日に届けることが可能となる（一部地域を除く）。

同社の代表は「現状、農業は決して恵まれた経済環境とはいえない状況ですが、この産直の流通経路が増えて『儲かる農業』が確立し、就農者が増加することで、結果的に『日本農業の活性化』にもつながると期待しています」とコメントしている。