白鵬の成績は中国相場と関連している? 日本経済と大相撲の無視できない関係
あなたは「ジンクス」を信じるだろうか。
スポーツ選手がハマるという2年目のジンクスをはじめ、世の中にはいろんなジンクスがある。それらは科学的根拠に乏しいことが多いのだが、同じ予兆に同じ事象が重なれば、「何か相関があるに違いない」と思わざるを得ないし、法則性が隠されていることもある。
■ジブリ作品のテレビ放送が日本経済を動かす?
経済におけるジンクスといえば、「ジブリの法則」が有名だ。これは、スタジオジブリの作品が日本テレビの「金曜ロードSHOW!」で放送されると、その日または翌週月曜日に海外の相場が大荒れになるというものである。だいたいは円高ドル安、株安に傾くということが多い。
これは、アメリカの雇用統計発表がちょうど毎月第一金曜日に行われるからという因果関係があるといわれている。とはいえ、「バルス祭り」は意外なものを「破壊」してしまっているようだ。
■他にもあるぞ!日本経済の「ジンクス」
こうした経済のジンクスは「ジブリの法則」だけではないようだ。元J.P.モルガン証券などでトップアナリストとして活躍してきた経済アナリストの塚澤健二氏は『未来からの警告! 2017年 超恐慌時代の幕が開く』(集英社刊)において、「相場の変動を予測ために注目すべき事象」をいくつか紹介している。
(1)大相撲力士の成績を見れば相場が分かる
2016年1月場所では大関・琴奨菊が初優勝。日本人力士としては10年ぶりの優勝だった。しかし3月の大阪場所では8勝7敗に終わり、綱取りには至らなかった。
実は、この大相撲と株式相場は深く相関していると塚澤氏は述べる。千代の富士が君臨した1980年代は内需バブルに日本がわき、若貴フィーバーや曙、武蔵丸といったハワイ出身力士たちが火花を散らした1990年代は内需・アメリカ関連のボックス相場に相応した。そして、2000年代に入り、朝青龍や白鵬というモンゴル出身の横綱が圧倒的な強さを示すと、モンゴルの隣国である中国関連相場が動いた。
これだけではない。ブルガリア出身の大関・琴欧州が初めて優勝した2008年、1ドル1.60ユーロという史上最高の値を付けた。しかし、琴欧州が引退した2014年3月に引退すると、ユーロ/ドルは急落してしまう。
塚澤氏はこの「ジンクス」に応じて、琴奨菊の大阪場所の結果が日本株の先行きを暗示していると述べる。また白鵬も同じで、彼が引退するときに「中国バブル崩壊」が重なるかもしれないのだ。
(2)円高は「40年サイクル」
塚澤氏の経済予測の背景になっているのは「サイクル論」である。相場の歴史を振り返ると、1970年代はゴールド・石油などの「コモディティ」の時代、1980年代は「株式・土地」の時代、1990年代は「債券」の時代、そして2000年代は「コモディティ」の時代に戻り、2010年代は「株式・土地」の時代と繰り返している。
この投資テーマは30年のサイクルでまわっているが、もう一つ、塚澤氏が見つけたサイクルがあるという。それは「円高」サイクル40年説だ。
1931年に当時の大蔵大臣・高橋是清が、金輸出再禁止』で金本位制をやめたときに1ドル3.96円だった円の価値は、そこから下落。そして、1971年8月のニクソン・ショックまで「1ドル360円」の固定相場制時代が続いた。
ところが、ニクソン・ショックによってドル不安が広がり、変動相場制に移行すると、今度は円高に反転。2011年には1ドル75円台にまで円高が進んだことは記憶に新しいだろう。1931年、1971年、そして2011年と40年周期で円相場の「折り返し」が起きていることは、注目に値すべきことではないか。
(3)消費税増税と政党の奇妙なジンクス
「アベノミクス」の停滞から消費税10%への引き上げに対する先送り論が議論されているなか、いつ安倍晋三総理大臣がその判断を下すか、注目を集めている。
さて、これまで日本は2度の消費税増税を経験してきた。1997年の「3%→5%」、そして2014年の「5%→8%」である。ここには奇妙な共通点がある。消費税増税の法案を通した政党は、その後名前を消しているのだ。
1997年の増税では、1994年11月に日本社会党の村山富市政権で法律を成立させている。しかし、1996年1月に村山内閣が総辞職した後、社会民主党へ改称が決まり、政党名は消滅。2014年の増税は、2012年8月に民主党の野田佳彦政権が法案を通したが、2016年3月に維新の党との合併によって民進党が発足し、民主党の名は消えた。
となると、10%の増税はどうなるのか。増税の法案を通したのは民主党の野田佳彦政権である。この観点から「民進党」はどのような動きをするのか、注目せざるを得ない。
■経済の「予測」はこれからを生き延びる上で重要だ。
これらを「こじつけ」と一蹴することはできるかもしれない。しかし、「歴史は繰り返す」ものであり、その法則性は無視できないところがあるはずだ。
特に投資しててる人たちは、この先、世界はどのように動いていくのかということを見極める力を持たなければ成功はできないが、そこには過去と現在の分析は必要不可欠となる。
本書で塚澤氏は「サイクル」を大きな切り口に、大胆な経済予測を展開する。それはスリリングなものであり、示唆に富む情報が散りばめられている。
(新刊JP編集部)
スポーツ選手がハマるという2年目のジンクスをはじめ、世の中にはいろんなジンクスがある。それらは科学的根拠に乏しいことが多いのだが、同じ予兆に同じ事象が重なれば、「何か相関があるに違いない」と思わざるを得ないし、法則性が隠されていることもある。
■ジブリ作品のテレビ放送が日本経済を動かす?
経済におけるジンクスといえば、「ジブリの法則」が有名だ。これは、スタジオジブリの作品が日本テレビの「金曜ロードSHOW!」で放送されると、その日または翌週月曜日に海外の相場が大荒れになるというものである。だいたいは円高ドル安、株安に傾くということが多い。
■他にもあるぞ!日本経済の「ジンクス」
こうした経済のジンクスは「ジブリの法則」だけではないようだ。元J.P.モルガン証券などでトップアナリストとして活躍してきた経済アナリストの塚澤健二氏は『未来からの警告! 2017年 超恐慌時代の幕が開く』(集英社刊)において、「相場の変動を予測ために注目すべき事象」をいくつか紹介している。
(1)大相撲力士の成績を見れば相場が分かる
2016年1月場所では大関・琴奨菊が初優勝。日本人力士としては10年ぶりの優勝だった。しかし3月の大阪場所では8勝7敗に終わり、綱取りには至らなかった。
実は、この大相撲と株式相場は深く相関していると塚澤氏は述べる。千代の富士が君臨した1980年代は内需バブルに日本がわき、若貴フィーバーや曙、武蔵丸といったハワイ出身力士たちが火花を散らした1990年代は内需・アメリカ関連のボックス相場に相応した。そして、2000年代に入り、朝青龍や白鵬というモンゴル出身の横綱が圧倒的な強さを示すと、モンゴルの隣国である中国関連相場が動いた。
これだけではない。ブルガリア出身の大関・琴欧州が初めて優勝した2008年、1ドル1.60ユーロという史上最高の値を付けた。しかし、琴欧州が引退した2014年3月に引退すると、ユーロ/ドルは急落してしまう。
塚澤氏はこの「ジンクス」に応じて、琴奨菊の大阪場所の結果が日本株の先行きを暗示していると述べる。また白鵬も同じで、彼が引退するときに「中国バブル崩壊」が重なるかもしれないのだ。
(2)円高は「40年サイクル」
塚澤氏の経済予測の背景になっているのは「サイクル論」である。相場の歴史を振り返ると、1970年代はゴールド・石油などの「コモディティ」の時代、1980年代は「株式・土地」の時代、1990年代は「債券」の時代、そして2000年代は「コモディティ」の時代に戻り、2010年代は「株式・土地」の時代と繰り返している。
この投資テーマは30年のサイクルでまわっているが、もう一つ、塚澤氏が見つけたサイクルがあるという。それは「円高」サイクル40年説だ。
1931年に当時の大蔵大臣・高橋是清が、金輸出再禁止』で金本位制をやめたときに1ドル3.96円だった円の価値は、そこから下落。そして、1971年8月のニクソン・ショックまで「1ドル360円」の固定相場制時代が続いた。
ところが、ニクソン・ショックによってドル不安が広がり、変動相場制に移行すると、今度は円高に反転。2011年には1ドル75円台にまで円高が進んだことは記憶に新しいだろう。1931年、1971年、そして2011年と40年周期で円相場の「折り返し」が起きていることは、注目に値すべきことではないか。
(3)消費税増税と政党の奇妙なジンクス
「アベノミクス」の停滞から消費税10%への引き上げに対する先送り論が議論されているなか、いつ安倍晋三総理大臣がその判断を下すか、注目を集めている。
さて、これまで日本は2度の消費税増税を経験してきた。1997年の「3%→5%」、そして2014年の「5%→8%」である。ここには奇妙な共通点がある。消費税増税の法案を通した政党は、その後名前を消しているのだ。
1997年の増税では、1994年11月に日本社会党の村山富市政権で法律を成立させている。しかし、1996年1月に村山内閣が総辞職した後、社会民主党へ改称が決まり、政党名は消滅。2014年の増税は、2012年8月に民主党の野田佳彦政権が法案を通したが、2016年3月に維新の党との合併によって民進党が発足し、民主党の名は消えた。
となると、10%の増税はどうなるのか。増税の法案を通したのは民主党の野田佳彦政権である。この観点から「民進党」はどのような動きをするのか、注目せざるを得ない。
■経済の「予測」はこれからを生き延びる上で重要だ。
これらを「こじつけ」と一蹴することはできるかもしれない。しかし、「歴史は繰り返す」ものであり、その法則性は無視できないところがあるはずだ。
特に投資しててる人たちは、この先、世界はどのように動いていくのかということを見極める力を持たなければ成功はできないが、そこには過去と現在の分析は必要不可欠となる。
本書で塚澤氏は「サイクル」を大きな切り口に、大胆な経済予測を展開する。それはスリリングなものであり、示唆に富む情報が散りばめられている。
(新刊JP編集部)