イラン戦までのローテーションなら鈴木のほか、大島、南野、山中ら出番のなかった選手たちの出場が濃厚だ。

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 1月26日(火)の16時30分(日本時間22時30分)、日本は勝てばリオ五輪出場を決められるイラクとの準決勝を迎える。
 
 イラクとはチーム立ち上げから2戦して2敗。一昨年のU-22アジア選手権での準々決勝、アジア大会でのグループリーグで敗れた因縁の相手だ。
 
 その天敵との決戦、2日前の練習では、遠藤、亀川が足の付け根、豊川が腰に違和感を抱え、別メニュー調整に。また、発熱のため、22日の準々決勝・イラン戦以降、姿を見せていない井手口は、この日もホテルでの待機となった。
 
 遠藤、亀川、豊川は大事に至らなそうだが、先発メンバーを予想するならば、ここまでローテーション制を採用している手倉森監督のもと、準々決勝のイラン戦で出番のなかった、もしくは出場時間が短かったメンバーが起用されることになるだろう。該当するのは大島、山中、南野、豊川、鈴木、浅野といったメンバーだ。
 
 特に注目なのが、股関節回りの炎症から復帰した鈴木だ。もし2トップを採用した場合、2日前のイラン戦で120分を戦い抜いたオナイウを休ませる可能性は大で、浅野は流れを変える切り札として取っておきたい。すると鈴木の状態さえ整えば、久保との2トップが考えられる。
 
 一方、対戦相手のイラクで気を付けたいのは、両サイドハーフを務める10番のホスニとA代表にも名を連ね“イラクのメッシ”と評される11番のフマムだ。ともにドリブル突破を得意としており、日本の両SBには細心の注意が求められる。
 
 加えて、準々決勝のUAE戦を視察した手倉森監督が「(イラクは)サッカーを壊す、そういうことをしてくる印象を受けました。早めにパワープレーに切り替えて18番を入れて力ずくでゴールをこじ開ける形も取っていた」と評したように、途中出場から2ゴールの起点となった長身FWのA・フセインも要注意人物となる。
 
 前述した3人を筆頭にスピード、パワーの両面を持つイラクの攻撃陣を日本の守備陣がどう抑えるか、この点が準決勝の鍵となりそうだ。
 
 ただ、グループリーグの第2戦から3試合連続失点中と、イラクの守備陣は安定感を欠いている。事実、準々決勝でもUAEに多くのチャンスを作られ、サイドからの攻撃で先制点を献上した。またセットプレー時にマークがルーズになるシーンも見受けられ、日本が付け入る隙は十分にあると言えよう。
 
「イラクに対しては三度目の正直と言うことで、なんとかねじ伏せたい」と指揮官は力強く語り、今度こそリベンジをしたいとの気持ちはチーム全員が抱えている。その想いを結実できるか。
 
 もし、敗れたとしても続く3位決定戦で勝てば、五輪の切符は勝ち取れるが、対戦相手はカタールか韓国となる。開催国のカタールは地元の大声援を受け勢いに乗っており、韓国は日韓戦となればいつも以上のパワーを発揮してくるはず。それを考えると、やはり準決勝で世界への切符を掴んでおきたい。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)