内村航平の体脂肪率は2%台! 筋肉質すぎると免疫力が下がるって本当?

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世界選手権で史上初となる個人総合6連覇を果たし、団体総合の金メダルも手にした体操の内村航平選手。一部の報道によれば、その体脂肪率はなんと2%台だそう。いくらトップアスリートとはいえ、ちょっと低すぎなのではと心配になるほどです。体脂肪が少ないと免疫力が下がるという話もありますが、実際はどうなのでしょうか?

成人男性の適性体脂肪率は10〜19%


体脂肪率路は、その人の全体重に脂肪が占める割合のことです。適正体脂肪率は、男性で10〜19%、女性で20〜29%と言われています。体脂肪率は下記の計算式で求められます。

●体脂肪の重さ(?)÷体重(?)×100=体脂肪率(%)

とはいえ、体脂肪だけの重さは通常はわかりません。最近は、体重計や体組織計などで体脂肪率を簡易的に測れるものがあるので、これを利用するのが手っ取り早いでしょう。

体脂肪率が低ければ良いわけではない


体脂肪は内臓を保護し、人間が生きていくうえで必要なエネルギーを貯蔵する役割があります。寒暖時の体温調節のほか、免疫や性機能などのホルモン分泌なども担っています。

最近では、ダイエットや美的観点などから体脂肪は少ないほど良いという風潮がありますが、本来は体脂肪は必要なものです。脂肪がつきすぎるのが身体によくないのと同様に、体脂肪率が低すぎるのも健康的とは言えません。

具体的には、体脂肪率が低すぎると、体温の低下やエネルギーを作り出す筋力の低下を招きます。特に女性の場合は、ホルモンバランスが崩により生理不順や無月経、早発性閉経などを招く可能性があります。

アスリートの体脂肪


もちろん、一般人とアスリートでは事情が異なります。特にオリンピック出場を目指すようなトップクラスの選手たちは、パフォーマンスを最大化するための身体づくりをするため、体脂肪率に関する考え方も自ずと違ってきます。

内村選手のように、基準値を大幅に下回っている場合がほとんどです。競技によっては、体脂肪の数値が低いほうが有利なものはあります。例えば、まさに器械体操のように瞬発力や高出力を必要とする競技では、体脂肪率が低いほうが有利のようです。

公表値では、サッカーの長友佑都選手は約3%、プロ野球のイチロー選手は約6%、フィギュアスケートの羽生結弦選手は約3%、浅田真央選手は約7%、テニスの錦織選手は約6%となっています。内村選手の2%は、この最たるものでしょう。

一方、持久力を必要とする競技は、ある程度の体脂肪が必要です。また、シンクロナイズドスイミングは体をなるべく水に浮きやすくする必要があるため、筋肉より軽い体脂肪が多いほうが競技に有利と言えます。

体脂肪を減らすには


では、私たち一般人が体脂肪を減らすにはどうしたらいいでしょうか? 体脂肪が増えるのは、食べたもののカロリーが、消費するカロリーを上回っているからです。つまり、体脂肪率を低くするするには、食べる物のカロリーを抑えるか消費するカロリーを増やすのが原則です。そう考えると、「食事と運動」というシンプルな答えに行き着きます。

とはいえ、単純に食事回数や量を減らしても、栄養バランスが悪くなり、体脂肪よりも筋肉が減少してかえって体脂肪率が上がることにもなりかねません。そこで、次のことがポイントになります。

●3食バランスのいい食事を心がける

●タンパク質を摂る

良質なタンパク質を毎食30〜40g摂ると、新陳代謝を促進できるとのことです。
体脂肪率が高い場合はカロリー制限をすると効果が出ます。ただし、痩せている人が摂取カロリーを制限すると筋肉が燃焼してしまうので注意が必要です。

筋トレで体脂肪率を減らす


運動は、筋トレと有酸素運動が効果的です。筋肉が少ないことで体脂肪率が高くなっている場合が多いので、筋トレを行いましょう。自分の体で筋肉が少ないと思われる部分を重点的に鍛えるのがいいですね。

早く体脂肪率を下げるには、有酸素運動よりも無酸素運動で、筋肉をつけるほうが比較的短時間に効果が出ます。筋肉が動くことで周囲にある脂肪が消費され、それが筋肉に置き換わって、体脂肪が落ちるのです。

有酸素運動は、無理せず、少し息が弾み、軽く汗が出る程度の運動でOKです。ウォーキングやジョギングならば、1回に30分〜1時間程度でいいでしょう。空腹時に運動すると脂肪が消費されやすくなるので、運動前は何も食べずお腹を空かせた状態のほうが効果的です。

執筆:南部 洋子(看護師)
監修:岡本 良平(医師、東京医科歯科大学名誉教授)