新田vs小松
<お断り>今大会の準々決勝以降は、愛媛CATV「平成27年度秋季四国地区高等学校野球大会 愛媛県大会中継」スコアラー及びデータ提供業務のため、写真掲載が非常に困難であることを深くお詫びします。その代わり放送席視点から見える試合のポイント等を立体的に伝えられるよう、努力してまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
それは新田先発・背番号「10」藤 友暉(1年・177センチ61キロ・右投右打・松山市立余土中出身)の粘投で3対1・新田リードで迎えた8回裏・新田の攻撃時のことである。
この回、これまでチェンジアップ・スローカーブにスライダーを交えながら、最速138キロ・130キロ前半のストレートを巧く使って強打・新田打線を3点に抑えていた小松エース・馬越 康輔(2年・165センチ68キロ・右投右打・今治市立伯方中出身)が、一気にギアを上げた。
ストレート主体の配球に球速は130キロ中盤へ。キーマンの3番・眞田 康弘(2年・中堅手・174センチ68キロ・右投左打・松山ボーイズ出身)を捕邪飛に打ち取ったボールはうなりをあげていた。そこには8回まで10安打を放ちながら、1点しか奪えない打線を勇気付ける意図が明らかに見えた。
しかし「新人戦にも出ていない」(岡田 茂雄監督)状況から4番に抜擢された工藤 耀介(1年・右翼手・左投左打・172センチ72キロ・松山ボーイズ出身)は果敢にこのストレートを狙った。はたして3球目。馬越が渾身を込めて投げた自己最速「139キロ」を捉えた工藤の打球はドン詰りの飛球になって左前へ。「あれは大きかったですね」指揮官が振り返った通り小松エースはショックを隠せない表情だった。
新田はその後、暴投・二ゴロで二死三塁。そして6番・黒川 貴章(1年・三塁手・右投右打・178センチ69キロ・愛媛ボーイズ出身)が4打数4安打3打点目の右前適時打を放った時点で、5年ぶり8度目の決勝戦進出と秋季四国大会出場はほぼ決したのである。
「今のチームは1人1人が引っ張れる力を持っている」。打撃では右打席に専念するほどのスランプも華麗な守備でピンチを救い続けた主将1番の三上 幹太(2年・遊撃手・右投両打・164センチ63キロ・愛媛ボーイズ出身)が胸を張るように、常に2年生・1年生関係なく現在の実力を最大限発揮しようとする新田。特に秋、このようなチームが強いことは過去の例が物語っている。
(文=寺下 友徳)
関連記事・2015年秋季大会特設ページ・あの学校の取り組みは?!愛媛県の野球部訪問を一挙紹介!