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「とても良い映画だった。何度も笑い、何度も泣いた」
現在公開中の映画『パレードへようこそ』に感動の声が続々と寄せられている。本作は、 80年代の英国を舞台に、ウェールズの炭坑労働者とロンドンのゲイ&レズビアングループが起こした奇跡の実話を映画化した感動物語だ。

【『パレードへようこそ』そのストーリーは?】


1984年、サッチャー政権下の荒れるイギリス。ロンドンで暮らす活動家の青年マークは、炭坑労働者たちのストライキに心を動かされ、彼らを支援する為に仲間たちと募金活動を始める。が、全国炭鉱組合に寄付を申し出ても無視されてしまう。その理由は彼らがゲイだから。しかし、ある日寄付を受け入れてくれる炭鉱が見つかった。マークと仲間たちは、炭鉱夫たちに会いに、ウエールズの奥地へと向かうが、そこには予期せぬ展開が待っていた。

【昨年のゴールデングローブ賞にもノミネート!】


イギリスの炭鉱を舞台にした映画といえば、『リトル・ダンサー』『ブラス!』などが思いつくが、本作はそれらの名作にも勝るとも劣らない仕上がりで、海外メディアも大絶賛、さまざまな映画賞を受賞し昨年のゴールデン・グローブ賞作品賞へのノミネートも果たした。

本作の魅力はイギリスで起きた社会問題を扱いながらも、決して堅苦しくなく、それどころか登場人物たちのユーモア溢れるやり取りに何度も笑い、何度も胸が熱くなるところだ。

周囲の偏見に傷つき、自身のアイデンティティーと葛藤する若者たちの姿は、決して同じ境遇ではなくとも、日々何かしらコンプレックスを抱えがちな私たちに大きな共感を与えてくれるし、そんな彼らがそれらの苦難を乗り越え、前に進む姿は何よりも大きな勇気と感動をもたらしてくれる。

【魅力的なキャスト達と心踊る80年代ミュージック】


そんな実話をカラフルに彩るのは、個性豊かで、とびきりチャーミングなキャスト達。『ラブ・アクチュアリー』のビル・ナイら、英国ベテラン勢と今後要注目の若手俳優たちの競演は見逃せない。

さらに、イギリスでヒットした80年代ナンバーが随所に盛り込まれ、それらの曲が“ゲイ”がキーワードになっているのもお楽しみのひとつ。

「一本の映画が世界を変えられる。と思わずにはいられない」(ローリング・ストーン誌)とも言わしめた本作、今、大きな何かと闘っている方、目の前の問題を突破したい方、現実と理想のギャップに苦しんでいる方はもちろん、気軽に笑って、時には泣いて元気をいっぱいもらいたい方にぜひご覧頂きたい。

ゲイ&レズビアンといえば、2015年4月、渋谷区で同性パートナーシップ条例が成立したばかり。この流れを受け「LGBT」という言葉にも注目が集まっている。「LGBT」とはレズビアン(女性に惹かれる女性)、ゲイ(男性に惹かれる男性)、バイ・セクシャル(両性愛者)、トランスジェンダー(性同一性障害を含む身体と心の性が一致しない人)の頭文字を取った総称であり、セクシャル・マイノリティ(性的少数者)を指す。
もし本作をご覧になって、もっとLGBTについて知りたいという方がいたら、その参考のひとつにLGBT当事者であり、杉山文野さん(本作の記念シンポジウムにも出演)が自身の人生について語った「ダブルハッピネス」をオススメしたい。性同一性障害と共に歩んだ青春時代が明るいタッチで描かれ、読み終わった頃には多くの気づきと前向きな力がもらえる一作だ。
(mic)