ウェブにおけるタイアップとステマ風ネイティブアドの境界線|やまもといちろうコラム
やまもといちろうです。気の長い男です。
界隈のちょっとした有名人に徳力基彦さんという顔の長い人がいるのですが、昨今のウェブ業界で話題になっていたステマ風味のネイティブアド問題について論じていたブログが話題になっていました。
タイトルも本文も長くて滅入る人も多いかもしれませんが、書かれていることはとてもまっとうで、要するに「業者からカネをもらってメディアが提灯記事を掲載するにあたっては、これは広告であることを明示しなければ読者に対してメディアは騙したことになる」という話であります。その通りですね。
とはいえ、ネットに限らずタイアップ広告というのはテレビでも雑誌でも溢れており、またカネは払われていないけど記者と業者が親しくてベッタリな記事を書く傾向があったり、昨今のスタートアップ業界でも知り合い同士が褒め合ってインナーサークルを作って空中浮揚しているケースなどもあり、メディアの姿勢と中立性の問題と、メディアの信頼性の問題がごっちゃになって議論されることもまた多そうです。
一方で、カルチャーニュースサイト『CINRA』を運営している、杉浦太一さんという人がご自身のブログで騒動について言及されていて興味深いです。
広告の頭にもし「これは広告です」って書いてあったら、もう京都になんか全く行きたくなくなります。
弊社ごとですが、CINRAが運営している『CINRA.NET』というカルチャーサイトのインタビューは、90%以上、タイアップです。
など、メディアに対する取り組みの真剣さは良く伝わるのですが、タイアップでやってるんだったらちゃんと【広告】って入れないと単なるステマの提灯記事であって、駄目なんじゃないのと感じます。「CINRAという媒体は業者からカネを寄越されて記載しているメディアなんだな」という理解になってしまいますし、いまの規模であればどうでもいいかもしれませんが、本気で彼が思うような偉大なメディアに成長していく過程で誰かがフルスイングで燃やしにいく展開になりはしないかいまから心配です。
せめて、広告主体者は表示しないと駄目でしょうね。
先月発表されたJIAAの、ネイティブアドのガイドラインを読まれるとこの問題のかなりの部分がすっきりと輪郭を露にすると思いますし、ご関心のある方は一読されることをお勧めします。
著者プロフィールブロガー/個人投資家
やまもといちろう
慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数
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