12日、日本外国特派員協会で講演した日本航空の西松遥次期社長(撮影:吉川忠行)

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6月の株主総会後に就任が予定されている日本航空<9205>の次期社長・西松遥専務が12日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で講演し、「大きな飛行機での運行が多すぎ、国内線含めてダウンサイジングして便数を増やす方向。エアバス380(A380)型は現在のところ検討の対象外」と話した。

 欧州の記者からエアバス導入について問われ、西松専務は「国際線の競争相手がA380を導入した場合に、検討しなおすことがないわけではない」と答えた。性能と経済面を総合的に勘案した結果、今の状況があると強調しながら「米国に部品供給センターがあり、連続性で考えると欧州で展開することはコスト高になる。現在10機種以上あり、コスト効率をよくするために減らすことはあっても、増やす予定はない。新機種のパイロット訓練には半年ほどかかり、新しいものには手を出しづらい」と繰り返し説明した。

 ローコストキャリア(格安航空会社)については「大都市に第2、第3空港がある欧州と異なり、日本では新規参入する会社も羽田空港を使っている。新規参入組は、客数の多いドル箱路線に参入しているだけで、少しは安いが低料金のビジネスモデルが確立しているとはいえない。“おいしいとこ取り”しようとしているに過ぎない」と語った。

 羽田空港隣接地に、1985年の日航ジャンボ機墜落事故の残存機体などを展示した「安全啓発センター」を設置したことについて、西松専務は「開設について遺族から賛否両論あったが、20年という歳月を経た今、展示が次の事故防止に役立てられればと思う。当事者として勇気のいることで衝撃的なものもあるが、百聞は一見に如かずで、悲惨さを認識する重要性を改めて感じた」と述べた。【了】