長年働いたパフォーマー7人が「偽装請負」主張 ディズニーランド側「そうした事実はない」
東京ディズニーリゾートで7〜17年間パフォーマーとして働いていた人たちが、請負業者から雇い止めになり、不満を訴えている。偽装請負であり直接雇用してほしいとしているが、運営会社のオリエンタルランドでは、「偽装請負していた事実はない」と反論している。
ディズニーリゾートでは、約2万人の人たちが働いており、その9割ほどがアルバイトなどの非正規労働だ。
ステージマネージャーから日常的に仕事の指図
今回不満を訴えたパフォーマー7人は、東京都内の請負会社に所属し、1年ごとの有期契約で働いていた。屋内のショーやイベントで竹馬のようなものに乗るなどして、パフォーマンスをしていたそうだ。
7人が加入する個人加盟型の労組「なのはなユニオン」によると、ショーのリニューアルに伴って、請負会社企画のパフォーマンスがなくなり、2014年3月31日と4月6日をもって雇い止めになった。
これに対し、7人は、形式的には請負労働だったものの、実際には、オリエンタルランドから指揮・命令を受ける派遣労働だったと訴えている。もしこれが事実なら、職業安定法第44条違反になる。
なのはなユニオンによると、7人は、オリエンタルランドのステージマネージャーから日常的に仕事の指図を受けていた。台本や振り付け通りにやらないと注意され、アドリブも原則として禁止された。リハーサルを行って、出演者を選別もされたという。
請負契約では、オリエンタルランドが労働時間の管理もできないが、ショーの合間に待機している時間は労働と見なされず、入園者が少ないとシフトが6時間でも2時間で帰されたとしている。
雇い止めを通告された7人は、オリエンタルランドに非正規で直接雇用されている1人とともに、2月3日になのはなユニオンの支部として「オリエンタルランド・ユニオン」を結成した。
東京・千葉両労働局「法令違反はない」
オリエンタルランド・ユニオンでは、3月に入って、直接雇用を訴えて、オリエンタルランドに団体交渉を求めた。しかし、雇い止めは請負業者の問題になるなどとして、拒否されたという。そこで、ユニオン側は2014年4月28日、7人の就業実態は違法な偽装請負だったとして、厚労省の東京労働局に申告した。
7人のうち1人は、時給950円で17年間働いたといい、月に5万円ほどしかならないときもあったという。このため、かけ持ちでアルバイトなどをしている人が多かったそうだ。
なのはなユニオンによると、非正規で働く人たちは、7人のように請負労働も一部でいるが、多くはオリエンタルランドの直接雇用だという。しかし、直接雇用されているオリエンタルランド・ユニオンの1人も、レストランに働いているが、入園者が少ないときは早く帰されるなどと不満を訴えている。一部報道によると、昇給や訓練への報酬などでアルバイトの待遇が十分でないともされている。
もっとも、報道によると、オリエンタルランドでは、アルバイトの先輩から後輩へ丁寧に教える伝統があり、年に一度、社長らがアルバイトをもてなすサンクスデーも設定されている。「おとぎの国」は、つらい労働ばかりではないようだ。
オリエンタルランドの広報部では、偽装請負との指摘について、「そうした事実はございません」と否定した。東京・千葉両労働局からは、今回の申告について、「法令に違反する事項はない」との見解を示されたことを明らかにした。ステージマネージャーが日常的に指示していたかなどについては、「そのような主張については、お答えする立場にないです」と言う。直接雇用のアルバイトへの待遇については、「具体的なケースではないので、お答えできません」としている。