王者・専修大学の7番は今季の関東リーグで一番注目されていると言っても過言ではない。昨季の関東一部リーグでチームの半分近い得点を演出した長澤和輝(4年・八千代)のことだ。
 毎試合、厳しいマークが彼には付くが、どのチームとてそれは例外ではない。その理由は単純だ。攻撃に必要な全ての能力を、高い次元で兼ねそろえているのである。それも全国に大学リーグが複数ある中で最もレベル高いこのリーグにおいて、匹敵するものがいないと言っても過言ではないほどに。ボールを受けるときには次のプレーを決断しており、それをミスせず実行できる足元の技術を持つ。そして何より、その決断した先のプレーがどれも"その状況における最適解"なのである。第2節の東洋大との一戦でも、それは幾度と無く見られた。もちろん毎度のことのように厳しいマークが付いたが「去年からやられているので」と全く気にする様子は見せない。激しいチェックが来る中でも次のプレーを相手の予測より数歩早く実行し、そのたびに客席からはため息が漏れていた。難問に対して毎度のごとく正解をはじき出すその姿はサッカーというスポーツが簡単に見えてしまうほど。

ピッチで王者の攻撃を司る長澤の左腕には今季、キャプテンマークが巻かれている。これに対しては「去年の雄也くん(鈴木 現Honda FC)とか一昨年の庄司くん(現 町田ゼルビア)とは違う。ああいうキャプテンではないです、自分は。なのであれを真似しようとは思っていなくて。自分がキャプテンをやっている分、(下田)北斗や(本名)正太郎やテル(仲川輝人)、今まで試合に絡んできた選手たちが、キャプテンは俺だけど、みんなでサポートしようという雰囲気を感じられるので。すごくありがたく思っていますよ」と、特に重く受け止めている気配はないようだ。

今年は3ヶ月の期間限定でJ1・横浜F・マリノスに特別指定選手として加入しているが、進路は決定した訳ではなく、そこに関してはあくまでも慎重な姿勢を貫いている。「試合に出ることを優先して下のカテゴリのクラブを選択するのも1つだけど、行けるのであれば上のクラブに行きたいと思っている。色々考えてます(笑) 」 心にある種の余裕も見られる。

次節、専修大が相対するは慶応義塾大学。昨季の成績を見れば格下と見てもおかしくない。しかし、それでも決して油断はしない。それもこの2試合でのチームのパフォーマンスが決して納得の行くものではなかったからであろう。
「慶応義塾大は松下純土選手とか武藤嘉紀選手だったり、全日本で一緒にやっている選手もいる。個の力があると思うので、今節で出た問題を改善して次節に臨みたい。専修の持ち味である攻撃的なサッカーをしたい」十分、この昇格組との開幕2連戦でその攻撃性は見せることが出来ていたとは思うが、この男にとってはまだまだらしい。飽くなき向上心を持つこの男の向かう先、そして行く末はどこまで高いところなのだろうか。絶対に目を離してはいけない存在だ。

【writer】
Reona Takenaka

【プロフィール】
平成元年生まれのロンドン世代。2011年よりCSParkのサッカーライターとして本格的に活動を始め、今年度は引き続き関東大学リーグの取材をしつつ、『EL GOLAZO』にて湘南ベルマーレの担当記者を務める。twitterでは記事とのギャップが垣間見える。

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