勝負ごとに臨んだり、勇気が必要な場合などに、お酒を飲んで“気合い”を入れることがあるが、中国のある窃盗犯は、自身を鼓舞するために犯行前に飲酒。強い眠気に襲われて犯行現場のそばで熟睡してしまい、逮捕されたという。

中国メディア青島新聞網などによると、窃盗事件が起きたのは10月16日、青島市の徳興路にある物流会社の社員寮でのこと。寮で暮らす社員の劉さんは15日の深夜、枕元に置いていたケータイと財布が盗まれていることに気が付いた。寮内にはほかの人もいたが、みんな熟睡していたため、窃盗犯の侵入には誰ひとり気付かなかったそうだ。

劉さんは警察に通報したが、これといった手掛かりは見つからない。そうこうしているうちに、翌日の夜、再び窃盗事件が起きてしまう。やはり劉さんと同様、就寝時に枕元に置いていた社員のケータイと財布が消失。同じ寮で、しかも2日連続で窃盗事件が起きたことから、警察も捜査に本腰を入れるようになり、現場検証が入念に行われることになった。

すると、警察がまだ現場検証をしている最中に、「酔っ払いの男が会社の倉庫で寝ている。まったく起きないので見て欲しい」との一報。警察が倉庫を訪れてみると、確かに男性が大いびきをかいて熟睡しており、従業員の話から、この男性はかつてこの会社で働いていて、解雇された元従業員だと判明した。

警察と従業員はひとまず男性を起こそうと、身体を担いで倉庫の外に出たが、その際に男性のズボンのポケットから1台のケータイが落下。それは先ほど「盗まれた」と通報があったばかりのケータイで、これを怪しんだ警察がポケットを探ると、中からは盗まれた財布も見つかった。

目を覚ました男性を警察が事情聴取したところ、しっかりと“物的証拠”を押さえられていることもあり、あっさりと犯行を自供。張という名のこの31歳の男性は、故郷から出稼ぎにきてこの会社で働いていたものの、無断欠勤などですぐに解雇され、その後、日雇い労働者として食いつないでいた。ところが、あるときに寮のカギがまだ自分の手元にあることに気が付き、窃盗を決意するに至ったそうだ。

ただ、いざ窃盗に入るとなると急に怖くなり、寮近くのレストランで1リットルの酒を飲んで“気合い”を注入。第一の犯行が思いのほかうまくいったことから、翌日も酒を飲んで犯行に及んだのだが、そのときは前日以上に酒を飲み、犯行後に強い眠気に襲われて敷地内にあった倉庫で眠りについてしまったという。