えー、問題を解くどころか、何が書いてあるかさえも理解できません。実はコレ、高校の入試問題なんですって

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 長野県下の高校受験生が悲鳴を上げた3月7日に行なわれた公立高校入試の数学の設問が異様に難しく、自信をすっかりなくした受験生が試験会場や廊下で泣き出すケースが続出したのだ。

 長野県内の中高生向け学習塾の数学講師があきれる。

「中学3年生には難しすぎる! 県内で使用されているすべての数学教科書をチェックしたわけじゃないけど、少なくとも私が受け持っている中3生の教科書にはこんな難問、どこにも載っていませんよ。これでは数学で点数を稼ぐつもりでいた生徒にとって、あまりに不利です。公立高校の入試はあくまでも、生徒が教わった範囲で解ける問題を出すべきじゃないですか?」

 自信喪失のあまり、その後のテストを投げてしまうケースもあったという。

「当日は数学の後に社会、理科、英語のテストが予定されていました。ところが、あまりにも数学のデキが悪すぎたため、もはや合格は望めないと、その後のテストを解く気力をすっかりなくした生徒もかなりいたと聞いています」(長野県内の公立中教諭)

 そのほかにも、テスト翌日からぷっつりと学校に来なくなってしまったケース、その後の私立高校のテストがメロメロになってしまったケースなども報告されている。

 これじゃ選抜のためというより、自信喪失のためのテストだ。事態を重く見た長野県教職員組合は3月16日、県教育委員会へ抗議文を出すに至った。長野県教職員組合の担当者が語気を荒らげる。

「県内の20%ほどの中学校を聞き取り調査したところ、ほとんどの学校でテスト中に生徒が泣き出したなどのケースが報告されました。難問出題の背景には、全国学力テストがあったと考えています。というのも、この全国テストで長野県の中学生は応用問題のデキがよくなかった。そこで教育委員会は応用問題をきちんと解けるようになってほしいと、あえてこんな難問を出したのでしょう。とはいえ、ここまで受験生を戸惑わせる出題は問題です」

 いったい、どれほどの難問だったのか? 本誌記者がチャレンジしてみた。

 数学の大問は4つ。そのうち、教職員組合の担当者が問題視するのが「問3」の一次関数問題だ。文章を読んでみる。

「点O、O’を中心とし、周の長さが12cmの2つの円を底面とする円柱がある。それぞれの底面の周上に点A、Bがあり、線分ABは線分OO’に平行である」

 なんだ、これは? 本当に日本語なのか? いくら読んでも文意が頭に入ってこない。そのうち頭がチリチリと熱くなり、ついに脳ミソがポンと弾けてしまった。まったくわからん! わからないのは記者がアホだからという声もないわけではなかったが、気づかないフリして長野県教育委員会に聞いてみた。

――難しすぎますよね! やりすぎですよね!

「基本的に学習指導要領の範囲内で解ける問題だったと認識しています。意図的に難しくしたわけでもありません。きちんと読めば、わかるはずです」(教学指導課)

 なんと、あまりの悪問で入試トラウマを抱える中学3年生を続出させたというのに、まったく悪びれる様子がない。15の春を泣かせてはいけない。長野県よ、来年の数学はまっとうな問題にすべし!

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