■ GLの3試合目

ドイツで開催されている女子W杯のグループリーグBの3戦目。ニュージーランド、メキシコを下して2連勝で、2位以内を決めている「なでしこジャパン」が、FIFAランキング10位のイングランドと対戦。日本は、イングランドに勝つか、引き分けると首位通過となるが、敗れるとイングランドが首位通過となって、日本は2位通過となる。

すでにグループリーグ突破を決めているため、メンバーを入れ替えてくることも予想されていたが、佐々木監督はメンバーを代えず、ニュージーランド戦やメキシコ戦と全く同じスタメンを起用してきた。システムは「4-2-2-2」。GK海堀。DF近賀、熊谷、石清水、鮫島。MF阪口、澤、大野、宮間。FW永里、安藤。大黒柱のMF澤はメキシコ戦でハットトリックを記録している。

■ 0対2で完敗

「引き分けでもOK」の日本だったが、3試合目ということもあって序盤から動きが重くて低調。持ち味のパスサッカーを見せられない。すると、前半15分にロングボールの対応をDF熊谷は誤ってFWホワイトに裏を取られると、見事なループシュートを決められて先制を許す。日本は前半38分にDF近賀がゴール前でフリーになってシュートを放つが、枠外でゴールならず。最大の決定機を逃してしまう。前半は1対0とイングランドがリードして終了する。

ビハインドの日本は、後半11分にFW安藤に代えてFW丸山を投入するが、あまり効果を発揮せず。すると、後半20分にも、左サイドからのクロスを起点にMFヤンキーに左足でシュートを決められて2点目を奪われる。

2点ビハインドの日本は、後半30分にMF阪口に代えてMF岩渕を投入。MF澤の1ボランチという超攻撃的な布陣に変更するが、改善の兆しは見られず。結局、そのまま「0対2」で終了。グループリーグは2勝1敗で2位通過となって、準々決勝で、地元のドイツと対戦することが決定した。

■ 次はドイツ戦

日本とイングランドの後に行われたドイツとフランスの試合でドイツが勝利したため、ドイツが3連勝でグループAの首位通過が決定。日本はグループBの2位となったので、準々決勝で地元のドイツと対戦することになった。大会前から、FIFAランキングで日本よりも上で、しかも「地元開催」であるドイツと準々決勝で当たることは避けなればならないと言われていたので、日本としては痛恨の結果となった。

フランスも強豪国の1つで、簡単な相手ではないが、2002年の日韓W杯の韓国側の試合を思い出すまでもなく、開催国をトーナメントで倒すというのは、相当に難しいことである。しかも、実力的には日本よりも上のドイツが相手となる。上位進出が期待されたなでしこジャパンだったが、ここで計算が大きく狂って、準々決勝で山場を迎えることになった。

■ 冴えなかった采配

すでに2位以内を決めていたので、「主力を休ませて準々決勝に備える。」という作戦も考えられたが、結局、同じイレブンがピッチに立った。「主力を出して、きっちりと首位で通過したい。」という考えも理解できるが、結果的には、「主力の疲労がたまってしまう。」、「望むような結果が得られなお。」、「サブ組を試すことができない。」と、最悪の展開になってしまった。

試合中の選手交代も上手くいかずに、最後に投入されたMF川澄はアクセントになったが、FW丸山とMF岩渕はなかなかプレーに絡めなかった。MF岩渕を投入するときに、ボランチのMF阪口を下げた采配も疑問で、MF澤の1ボランチというのも、全く効果的ではなかった。

■ 不安定なジャッジ

うまくいかないときは、何をしてもうまくいかないものであるが、この試合ではレフェリーのジャッジにも悩まされた。明らかに日本のコーナーキックだと思われるシーンが、2度、3度とあったが、ゴールキックの判定となって日本にコーナーキックは与えられなかった。日本にはMF宮間がいるので、セットプレーが大きな武器なので、明らかなミスジャッジは日本には痛かった。

今大会は、女子のW杯ということで、女性のレフェリーが笛を吹いているが、オーストラリアと赤道ギニアの試合でも「大誤審」があって問題になっている。男性のレフェリーでも誤審は多いので、男性レフェリーの方が優れているということも言えないが、男性レフェリーの方が場数を踏んでいるので、安定感はある。注目度の高い大会で、誤審が続くようだと、「レフェリーは男性の方がいいのでは?」という声が出てきてしまう。

■ 試合後のインタビュー

この試合でちょっと気になったのは、試合後のインタビューである。佐々木監督、MF澤、MF宮間、FW永里、DF熊谷といった選手が、試合終了直後にインタビューを受けていたが、FW永里の受け答えは、あまり感じのいいものではなく、不快感を感じた人も多かっただろう。

試合終了直後なので、感情が高ぶっていることは十分に考えられるので、平常通りの受け答えができなくなるのも仕方がないし、女子選手の場合、男子の選手と比べてると、インタビューにも慣れていないので、ある程度は許容することもできるが、FW永里の受け答えは、インタビュアーに対する敬意も欠いていて、見苦しいものだった。

女子サッカーは、残念ながら、W杯や五輪のような大きな大会でしか注目されないのが現状で、今大会で初めて女子サッカーを観ているという人も多いはずであるが、こういうインタビューを見てしまうと、「応援しよう。」という気も薄らいでしまう可能性もある。優等生的なインタビューである必要性はないが、せっかくのアピールのチャンスで「モッタイナイナ」と感じてしまう。


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