今度は「貼り薬」。認知症治療に朗報(写真は、ノバルティスファーマのホームページ)

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   アルツハイマー病型認知症の治療薬が続々と発売されるなかで、からだに「貼る」タイプの治療薬の製品販売が、国内で初めて承認されることになり、早ければ2011年夏にも発売される見通しになった。2011年2月21日に開かれた厚生労働省薬事・食品衛生審議会の医薬品第1部会で了承されたことで、審議会の正式承認を待つ。

   「貼り薬」なので、これまで薬が飲み込めなかったり、薬を飲むことを嫌がったりする患者にも、飲み忘れることなく治療できるようになる。また、貼り替えが1日1回で済むため、介護する人の負担軽減にもつながると期待されている。

認知症の治療薬は国内4例目

   今回の「貼る」治療薬(経皮吸収型)は、ノバルティスファーマ(東京都)が「イクセロンパッチ」、大阪市の小野薬品工業が「リバスタッチパッチ」の製品名で売り出す。薬効成分はいずれも「リバスチグミン」で、両社が共同開発し、2010年3月に厚労省に申請していた。

   承認までに約1年かかり、アルツハイマー型認知症の治療薬としては国内で4例目となる。ただ、同様の薬は、海外ではすでに81か国で承認されているので遅いくらいだった。

   背中や腕、胸などに貼ることで、皮膚からアセチルコリン分解酵素阻害剤を徐々に吸収し、血液をめぐって脳内の記憶伝達物質の分解を防ぐという。ノバルティスファーマは「禁煙に使うニコチンパッチと同じ要領なので、からだに貼るだけ」と説明する。

   主に軽度と中等度の認知症患者を対象としている。

「物忘れ」引き起こす物質を減らす

   アルツハイマー型認知症の治療薬は2010年秋以降、急ピッチで承認が下りている。中等度と高度の患者用として認められたのが第一三共製薬の「メマリー」。軽度と中等度用としてはヤンセンファーマの「レミニール」があるが、いずれも経口薬だった。

   それまで処方されていた薬は、エーザイの「アリセプト」だけ。アルツハイマー型の症状である「物忘れ」を引き起こす原因は、記憶機能に関係ある「アセチルコリン」という物質が減少することにある。その「アセチルコリン」を、薬の主成分である「塩酸ドネペジル」で、間接的に増やして進行を抑えようというのだ。

   今回の「貼り薬」は「リバスチグミン」の成分によって同様の効能が期待されている。経口薬に「貼り薬」が加わり、医師も処方の選択肢が広がることになる。

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