雲南省昆明市の中高等学校で5月12日に行われた地震発生時の避難訓練が、共産党・政府幹部の視察を優先した意味のない訓練だったとして、中国で形式主義や権威主義を問題視する声が高まった。中国青年報などが報じた。

 同件は、インターネットのチャットに避難訓練の実態を批判する書き込みがあったことで、注目された。生徒のひとりが明らかにしたという。訓練は他校に示す模範として2008年に発生した四川大地震の日に行われ、共産党・政府幹部が視察に来た。

 生徒らは警報が鳴ると同時に教室を出て、最も近い階段に向かったが、赤い帽子をかぶった「当番の生徒」がいて「ここは通れない。あっちの階段に行くように」と指示されたという。そのため、少数の階段に生徒らが殺到して外に出るのに10分もかかった。

 使われなかった階段は6カ所もあり、閑散とした階段の途中に党・政府の幹部がいて、談笑していた。投稿によると、生徒が使った階段は込み合って、非常に危険な状態だった。人が次々に転倒したりしたら「本当の地震以上に、死傷者が出たに違いない」という。

 生徒が嘆くのは、それだけでない。「1週間後に、さらに高級な党・政府幹部が視察に来る。こちらが、正式の訓練となる」ことが分かったという。生徒は「高級幹部が来たら、地震のときでも『あっちから逃げろ』となる」、「演習(訓練)なのか、演劇なのか」などと、書き込んだ。(編集担当:如月隼人)



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