本物そっくり「電子タバコ」 JR北海道が禁止で論議呼ぶ
先端から赤い光、紫煙に似た水蒸気――。こんな本物そっくりの電子タバコが客の誤解を生むとして、JR北海道が電車内やホームなどで使用禁止にした。これに対し、電子タバコ利用者らから反発が出て、論議になっている。
「害がないので、いいんじゃないか」
「ぱっと見ると、いかにもタバコを吸っているように映ります。列車内で電子タバコを使って、真似してタバコを吸う方が出ると困るんですよ」
JR北海道の広報部では、2009年5月1日から電車内や駅の禁煙エリアで電子タバコを禁止した理由をこう話す。
電子タバコは、本物そっくりの電子機器で、吸い込むと香料などを含む水蒸気が出る仕組み。吐き出すときに紫煙状になって、喫煙気分を楽しめる。液体ニコチン入りもあるが、日本では、薬事法上販売できず、個人輸入でしか手に入らない。
中国・香港の業者が2004年に開発したとされ、07年ごろから世界各地で販売されている。中国製品がほとんどで20種類前後があるとみられ、日本では、最近になって通販サイトやディスカウントショップで扱いが増えてきた。価格は、3000〜1万円超ぐらいだ。
JR北海道によると、車掌が電車内で最近になって使用ケースを目にするようになり、09年3月に3件、4月に3件を確認した。広報部では、「実際に、苦情やトラブルなどの例はありませんが、こうしたことがある前に電子タバコを禁止することにしました」と説明する。少なくとも鉄道会社では、初めての試みという。
ネット上では、4月30日に発表されると、電子タバコ禁止を巡って賛否両論に。JR北海道にも、1日の実施後、禁止に反発する声が2、3件ほど寄せられた。それは、こんな意見だったという。
「害がないので、いいんじゃないか」
「喫煙者に対して、あまりにも冷たい」
業者「似ていない商品は、売れない」
電子タバコは、ほかでも問題になっているのか。
JR東日本の広報部に聞くと、対策を取らなければならないような目立った苦情やトラブルは聞いていないという。担当者は、「個人的には、東京都内の電車内やホームで電子タバコを使っている方を見たことはありません。現在は、特段制限の対象になっていませんし、具体的に禁止を検討するなどの話も出ていません」としている。
一方、電子タバコの販売業者は、JR北海道の禁止措置をどう考えるのか。
USB充電タイプを2009年3月25日から発売したサンコーでは、広報担当者が初めて聞いたとしながらも、特に困惑することはないとした。
「お客さまには、こうして使って下さいと特に呼びかけていませんが、公共の場所で使うと誤解されますので、ご自宅で使われていると思います。基本的には、お客さまの自己判断に任せています」
なぜ本物に似せて作ってあるのかについては、こう説明する。
「形がタバコに似ている方が、吸っているような気分になります。禁煙のために使うなら、こちらの方が楽に続けることができるからです。似ていない商品は、売れないでしょうね」
電子タバコは、吸うと先端に火がついたように赤く光り、吐き出す水蒸気も本物の紫煙に近い。従来タイプの禁煙パイプに比べて確実に進化しており、禁煙グッズの中では一番人気だという。電子タバコについて、特に苦情などは寄せられていないとしている。
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