【お笑い峰打ちコラム】愛のかたち、相のかたち。
今日も隣で笑ったり怒ったり。そんな毎日を過ごすうちに互いに見つめ合うことはすっかり減ってしまった。でも大丈夫。二人はいつだって同じ方向を見ているから。たまにはよそ見をしたくなることもあるけれど、離れてしまいたくなることもあるけれど、一番しっくり来るのはあなたの手。なんでやねん、のあなたの手。
お笑いコンビの関係性は夫婦に似ている。星の数ほどある相方候補からたった一人を選び出し、または抗いきれない運命に導かれるように出会うところから始まり、互いをただ一人の相手としてともに歩いていく。生涯添い遂げることもあれば、途中で袂を分かつこともあるが、複数の相手との同時進行は許されない。男女の結婚とまるで同じだ。
NON STYLE(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)は石田が書いたネタに井上があまりにもケチをつけるのでストレスが溜まっているとのこと。それを解消するために石田は井上の写真を貼ったバットを持ってバッティングセンターに行くそうだ。車中で相方の鼻息にすら腹を立てる「フットボールアワー」後藤(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)は、周囲から相方である岩尾に対して辛く当たりすぎると忠言を受けている。既婚者の皆様方、わが身をふり返って思い当たることはないだろうか。
「リンカーン」(TBS系)では相方の嫌なところを裁判形式でぶちまけるコーナーが人気を博しており、その様はまるでおしどり夫婦がバラエティ番組に出てお互いの不満をほほえましく暴露しあっているよう。喧嘩するほど仲がいい、この言葉はお笑いコンビにも当てはまるのかもしれない。
オードリー(ケイダッシュステージ)はブレイク前、稽古中にキレて飛び出した若林に対し、春日が『これでお笑いを続けてください』と原付バイクで追いかけたことがあったという。そのときの春日の手に千円札が握られていたというエピソードは笑いを誘うが、傍から見ればばかばかしいけれど当人同士は大真面目という思い出は夫婦なら一つや二つあるはずだ。
「キャイ〜ン」ウド鈴木(浅井企画)が天野を“愛方”と称すほど熱い思いを持ち合わせているのは有名だし、「ドランクドラゴン」鈴木(人力舎)の塚地への依存も世間の知るところ。夫婦の数だけ愛の形があるのと同様、コンビの数だけ愛の形が存在する。
ふと、とある話を思い出した。「どつきどつかれて生きるのさ」、うめざわしゅん氏による漫画作品で、昨年9月に「世にも奇妙な物語 秋の特別編」(フジテレビ系)で映像化されている。
舞台は芸人のみならず一般人も“ボケ”“ツッコミ”と立場を分け、誰もが結婚ならぬコンビ“結成”のための相方を探している“独立国家”大阪。ツッコミである主人公が運命的な出会いをしたボケに一目ぼれし、なんとか彼と結成しようと奮闘するハートフルコメディだ。ばかばかしくも一生懸命なものに弱い私の涙腺は、ラストシーンで驚くほど弛緩してしまった。
現実のコンビ結成はそれほど劇的なものではないのだろうが、それぞれに大なり小なりドラマがある。たまにはそれに思いを馳せ、目を細めるのも悪くはない。
(編集部:三浦ヨーコ)
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「リンカーン」(TBS系)では相方の嫌なところを裁判形式でぶちまけるコーナーが人気を博しており、その様はまるでおしどり夫婦がバラエティ番組に出てお互いの不満をほほえましく暴露しあっているよう。喧嘩するほど仲がいい、この言葉はお笑いコンビにも当てはまるのかもしれない。
オードリー(ケイダッシュステージ)はブレイク前、稽古中にキレて飛び出した若林に対し、春日が『これでお笑いを続けてください』と原付バイクで追いかけたことがあったという。そのときの春日の手に千円札が握られていたというエピソードは笑いを誘うが、傍から見ればばかばかしいけれど当人同士は大真面目という思い出は夫婦なら一つや二つあるはずだ。
「キャイ〜ン」ウド鈴木(浅井企画)が天野を“愛方”と称すほど熱い思いを持ち合わせているのは有名だし、「ドランクドラゴン」鈴木(人力舎)の塚地への依存も世間の知るところ。夫婦の数だけ愛の形があるのと同様、コンビの数だけ愛の形が存在する。
ふと、とある話を思い出した。「どつきどつかれて生きるのさ」、うめざわしゅん氏による漫画作品で、昨年9月に「世にも奇妙な物語 秋の特別編」(フジテレビ系)で映像化されている。
舞台は芸人のみならず一般人も“ボケ”“ツッコミ”と立場を分け、誰もが結婚ならぬコンビ“結成”のための相方を探している“独立国家”大阪。ツッコミである主人公が運命的な出会いをしたボケに一目ぼれし、なんとか彼と結成しようと奮闘するハートフルコメディだ。ばかばかしくも一生懸命なものに弱い私の涙腺は、ラストシーンで驚くほど弛緩してしまった。
現実のコンビ結成はそれほど劇的なものではないのだろうが、それぞれに大なり小なりドラマがある。たまにはそれに思いを馳せ、目を細めるのも悪くはない。
(編集部:三浦ヨーコ)
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