宮本一粋(撮影:野原誠治)
 2007年2月、名曲との呼び声も高いシングル「エーデルワイス」でデビューを果たし、7月にはSTUDIO 4℃の下に日本のアニメーションが誇る天才たちが集結した同名映画のエンディングテーマ「Genius Party」を手掛けた二千花。流麗なピアノの旋律に乗せて無垢な愛を歌ったサードシングル「あたらしい水」を携え、2008年6月に自らの名を冠したファーストアルバム「二千花」を発表した彼らが11月26日、美しくも儚い愛を叫ぶニューシングル「愛情」をリリースした。

第1回「ギリギリなのに人を愛せている、人間の強さ」(2008年11月26日)

――2曲目の「A Happy New Day」は、いつ頃に制作された曲ですか?

宮本:レコーディングしたのは、9月の終わりから10月ですね。

――「愛情」のカップリングとして、2曲目はどういう曲を入れようか話されましたか?

宮本:多分、普通はシングル曲がバラードだと、カップリングは割とリズムがあるような曲を入れると思うんですけど、そこはいい意味で裏切ろうということになって、ちょっとゆったりした曲を。「愛情」は一対一の歌なんですけど、「A Happy New Day」は「わたしたち」という、今までの二千花にはなかなか無い、新しい広い世界のことを歌っているので。同じ「ゆったり」でも歌詞の意味だったり視野の違いで、全く違うものにしたいというのもあって。アレンジもちょっとスペイシーで、広がる感じで、「宇宙船」から始まりますもんね。「愛情」は「中に」という感じですけど、「A Happy New Day」は「外に」という感じで。

――確かに「愛情」とか今までの二千花は、一人一人の内面の世界を描いてきた印象がありますが、今回の「A Happy New Day」は今まで以上にスケールの大きい、俯瞰した地球規模の視点だったり、浮遊感のあるアレンジだったり、7分間の大作ですね。

宮本:歌が終わってからが長いですね。レコーディングは、楽器の3人(ドラム:白根賢一、ベース:岩井英吉、ギター:野村陽一郎)が「せーの!」で録ったんですよ。そのテイクがすごく良くて、そこも「共作」という、「私達」みたいな感じで(笑)。

――歌詞に「悲しいニュース」とありますが、日常で目にしたニュースについて、メンバー間で話すことはありますか?

宮本:すごくありますよ。特に音楽をやっている人がどうなったとか、音楽以外のすごく残酷なニュースとか、移動中に陽一郎くんと話したり。私は普段からニュースを見るのが習慣なので、「あれ、どう思う?」みたいに話して、意見を聞いたり。

――直接的に世界平和を歌うまでいかなくても、自分たちが音楽活動を続けていくことによって、何かが変わっていったり、誰かに影響を与えられたらいいなと思うことはありますか?

宮本:大きな夢ですけど、私も音楽があったからこそ、ちゃんと立って生きているというのはすごくあるから。音楽じゃなくてもいいから、私が頑張っている姿というか、こうやって出させてもらっている姿を見て、「自分もちょっと頑張ってみるか」とか思ってくれたら。「戦争は駄目だ!」って言われても、「何をしたらいいんだろう?」みたいな、難しいじゃないですか。それよりも、一人一人が生きることを頑張る方が絶対にみんなができると思うし、自分とすごく向き合って生きることによって、小さな平和が広がると思うので。

――二千花には、国境や人種に捕われることのないコスモポリタン的な視点もあるんですかね?

宮本:多分、そうだと思います(笑)。

――勝手な想像ですけど、なんとなく陽一郎さんとか、そういう話にうるさそうですね。

宮本:うるさいですね(笑)。陽一郎くんは自分の考えがすごくハッキリしている人だから。

――「愛情」にも「宇宙」という言葉がありますが、宇宙や星などに興味はありますか?

宮本:あります!宇宙旅行に行きたいんですけど、プラネタリウムがすごく好きで、もちろんあんな星空を本当の夜空で観れたらいいんですけど、なかなか日本にいて、都会では観られないので。でも、高校1年生の時に、どうしても流れ星がたくさん観たくて、北海道へ一人旅に行って。「オーロラが観れるかも!?」みたいな(笑)、オーロラハウスというホテルに宿泊するような施設があって、そこで2日間粘ったんですけど、全く見れず…。でも、星はすごかったから、いい思い出なんですけど(笑)。

――でも、北欧とかに行っても、必ず観られるわけではないみたいですね。

宮本:天候によっては難しいらしいですね。フィンランドとかカナダの方とかは、オーロラがかなり観られるらしいですよ。もちろんニューヨークに行って最先端の音楽だったり、ファッションを感じるのも好きなんですけど 、やっぱり根本的な、人間である、生きている感じを受けるのは自然かなと思って。夜空だったり、もうありえないぐらい広い海とかを観たいんですけど、そこはなぜか一人で行きたいんですよ(笑)。