USB接続の周辺機器

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「USB」はパソコンの周辺機器を接続するためのインターフェイスとしてすっかり定着しただけでなく、パソコン以外にもデジタルカメラやビデオカメラ、家庭用ゲーム機にも搭載されるくらいに一般化している。また、USBは単に周辺機器を接続するだけなく、携帯電話やポータブルゲーム機などの内蔵バッテリーを充電する手段としても利用されるようになっている。

これほど身近になったUSBだが、その誕生や、なぜ充電までできるのか? など、どのような技術や仕組みなのかを答えられる人は少ないだろう。今回は、知っているようで意外と知らないUSBの世界を探ってみよう。

■汎用性を追求したUSB
USBの正式名称は、「ユニバーサル・シリアル・バス(Universal Serial Bus)」。パソコンに周辺機器を接続するためのバス規格のひとつだ。「Universal(汎用)」という名前があらわすとおり、USBはさまざまな周辺機器を接続できる。
USB接続の無線マウスUSB接続のメモリーカードリーダー
USB接続の無線マウスUSB接続のメモリーカードリーダー

USBの誕生は、今から12年ほど前までさかのぼる。当時のパソコンは、周辺機器を接続するためのインターフェイスとして、シリアル端子(RS232C端子)やパラレル端子(プリンター端子)、PS/2端子などの規格が存在し、それぞれ規格が違うだけでなく端子の形状も異なっていた。また、当時の周辺機器はホットスワップ(活線挿抜)※1に非対応で、PS/2端子を除いて電源も別に確保する必要があった。
※1 パソコン本体の電源を入れた状態での周辺機器の着脱

このような状況を踏まえ、インテルやマイクロソフト、NECなどが中心となり策定されたのインターフェイスがUSBという訳だ。USBは当初からホットプラグをサポートしたインターフェイスとして注目を集め、WindowsではWindows 98(Windows 95 OSR2は暫定的な対応)から、Mac OSではMac OS 8.1から正式にサポートされた。
USB接続のWebカメラUSB接続のホット&クールプレート
USB接続のWebカメラUSB接続のホット&クールプレート

現在では、NPO法人であるUSB Implementers Forum, Inc. (USB-IF) がUSBの仕様の策定や管理を行っている。

■USBを支える技術と仕組み
USBは、ホストをルート(root)として、USBハブと周辺機器をツリー構造で接続する。理論上は、ひとつのバスに対して最大127台までのUSB機器※2を接続して同時に使用できる。ホットプラグに対応しているUSB機器であれば、家電のようにいつでも自由に着脱できるが、USBフラッシュメモリーのように着脱時にUSBデバイスを停止させる手順を踏まないと、画面に警告を表示する機器も存在する。
※2 USB規格に対応したパソコン向けの周辺機器
USB接続のDVD-RAMドライブUSBフラッシュメモリー
USB接続のDVD-RAMドライブUSBフラッシュメモリー

USBでは、通信データはパケット化※3されて送信され、USBハブとデバイスは動作中それぞれ独立したバスアドレスを持ている。バスアドレスは、USB機器がホストに接続された際に自動的に割り当てられる目印のようなもので、このアドレスが違うことから最大127台までのUSB機器を同時に使用できる訳だ。
※3 複数のデータをひとまとめにしたもの

●一つではないUSBの規格 - USB 2.0から3.0へ
USBは規格の違いでいくつかの種類が存在する。USB1.0は1996年1月に発表された最初のUSB規格だ。通信速度は最大12Mbpsで、USB対応の周辺機器も数えるほどしかなかった。その後1998年9月にUSB1.1が発表され、USB1.0の仕様書をベースに電源管理などに改良を加えられた。この頃からUSB対応の周辺機器が徐々に増え始めている。

USB2.0は現在主流となっているUSB規格であり、一般でUSBという場合USB2.0を指すことが多い。USB2/0はUSB1.1との下位互換性に加え、USB1.0の40倍高速となる最大480Mbpsの通信モードをサポートしている。今後登場してくるUSB3.0は現在策定中の規格であり、従来のUSB2.0/1.1規格との互換性に加えてUSB2.0より10倍高速な通信速度などを実現するものだ。
表1.USBの種類と特徴
規格主な特徴
USB1.0最大12Mbps。
USB1.1最大12Mbps。電源管理などを改善。
USB2.0最大480Mbps。USB1.1との互換性を保持。
USB3.04.8Gbps以上。USB2.0との互換性を保持。

これまでのUSB規格は、基本的に下位互換性は保持されているが、上位互換はサポートしていない。したがってUSB1.1/1.0端子を搭載するパソコンでは、一部の例外を除いて、USB2.0規格の周辺機器は使用できない。どうしても使用したい場合には、USB2.0端子を備えた拡張カード(PCIMCAカードまたは内蔵型の拡張ボード)を別途購入する必要がある。古いパソコンを購入する場合には、USB規格のバージョンもシッカリと確認しておきたい。

USBの規格には、上記以外にも無線接続の「Wireless USB」という規格もある。Wireless USBもインテルやマイクロソフトが中心となり策定した規格で、有線USBと同様に最大127個までの周辺機器を接続でき、128ビットAESで暗号化されたデータをUWB技術※により転送する。3mで最大480Mbps、10mで最大110Mbpsの転送速度を目標として設計されているが、登場したばかりの規格であるため対応機器はまだ少ない。

●一つではないUSBの転送モード
ふだん何気なく使っているUSBには、機器ごとに異なる転送モードが使用されている(表2)。表2を見れば明らかなように、USBフラッシュメモリー、ハードディスクなどの機器は、もっとも高速なモードで使用される。
表2.転送のモードと特徴
転送モード速度主な周辺機器
Low Speed1.5Mbpsキーボード、マウス
Full Speed12Mbps プリンター、スキャナー、ゲームマウス
High Speed480MbpsUSBフラッシュメモリー、ハードディスク

●いくつもあるUSB端子の形状
USB端子は、同じUSB規格であっても下記の写真のように形状の異なる端子がいくつも存在する。A端子は主にホスト側に使用される端子で、パソコンや家庭用ゲームに周辺機器を接続する際に使用される。B端子は主にクライアント側に使用される端子で、プリンターやスキャナーなどの周辺機器を接続する際に使用される。mini A/B端子は小型の端子であることから、主にデジタルカメラやポータブルゲーム機などを接続する際に使用される。
USB A端子USB B端子左がUSB mini A端子、右がUSB mini B端子USB mini ABソケット
USB A端子USB B端子左がUSB mini A端子、右がUSB mini B端子USB mini ABソケット

標準的なUSBは、端子の形状が異なっていても、表3のピン配置を採用している。
表3.USB端子のピン配置と機能
ピン番号パソコン側機器側
Vcc(+5V)Vcc(+5V)
D-D-
D+D+
GNDGND

※Vcc:電源、D+/D-:信号、GND:グランド

■USBでなぜ充電できるのか? -電源給電端子としてのUSB
USBでは、供給電圧は5V、最大電流はローパワーデバイスで100mA、ハイパワーデバイスで500mAと規定されている。外付けハードディスクの中には、5V 500mAhを超える大容量の電流を必要とする製品があり、通常は電源付きのUSBハブを必要とするが、2股のUSBケーブルを使用して代用する場合もある。ただし、こういったケーブルはパソコンの機種によっては正常に動作しないこともある。
USB接続のハードディスク電源付きのUSBハブ2股のUSBケーブル
USB接続のハードディスク電源付きのUSBハブ2股のUSBケーブル

表3からも、USB端子には電源用の配線が備わっているので、USB端子の本来の使い方からは逸脱するが、同じ電圧を持つ周辺機器を充電する用途にも使用できるという訳だ。

たとえば、多くのケータイは内蔵バッテリーの充電は5Vの電圧が採用されているので、携帯の充電端子に適合したUSB充電ケーブルを用意することでUSB端子から充電することができるのだ。ニンテンドーDS LiteやPSPも同様に、それぞれの機器に対応したUSB充電ケーブルを購入することでUSB端子からの充電が可能となる。
ケータイ用のUSB充電ケーブル。コネクタは、左からFOMA用、cdmaOne用、PDC用ニンテンドーDS Lite用のUSB充電ケーブル
ケータイ用のUSB充電ケーブル。コネクタは、左からFOMA用、cdmaOne用、PDC用ニンテンドーDS Lite用のUSB充電ケーブル

ただしUSB端子からの本体充電は、一部の機種を除いて機器メーカーの保証外となっている。万が一、USBからの充電を行って機器が壊れた場合、無償保証が受けられなくなることもあるので注意して欲しい。


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USB Implementers Forum, Inc. (USB-IF)

編集部:関口哲司
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